紫外線による突然変異は皮膚癌の多くを引き起こす
Ultraviolet light-induced mutation drives many skin cancers, researchers find
「我々の研究によれば、皮膚癌の発症は他の癌とは異なる。たった1つの突然変異が、ゲノム・カタストロフを引き起こす」、スタンフォード医科大学のポールKhavari医学博士は言う。
皮膚扁平上皮癌はヒトで2番目に一般的な癌である。
KhavariたちはKNSTRNの特定の領域が皮膚扁平上皮癌の約20パーセントで変異していることを発見した(黒色腫では約5パーセント)。
「KNSTRNはこれまで癌遺伝子として知られていなかった。KNSTRNは日光によって活性化され、皮膚扁平上皮癌の発症を引き起こす。」
Khavariたちは正常な皮膚と扁平上皮癌のDNA配列を比較して、腫瘍だけで生じた突然変異を探した。
彼らは336の候補遺伝子を発見し、中でも最も頻度が高かった上位2つはCDKN2AとTP53だった。それらは扁平上皮癌と関連することがすでに知られていた。
そして3番目に多く変異していた遺伝子はKNSTRNだった。
KNSTRNは動原体の形成を助けるタンパク質をコードする。動原体によって染色体が正しく分離しない場合、娘細胞のDNAの数は余分になるか失われる。
染色体の数が異常な細胞は異数体(aneuploid)として知られ、しばしば機能に障害が起きる。異数体は細胞の合図を読み誤り、不規則にふるまう傾向がある。
異数性は癌の多くのタイプの発症に向かう決定的な早期の段階である。
KNSTRN遺伝子の突然変異は、DNAの狭い範囲の中でのただ1つのヌクレオチド、シトシンからチミンへの特異的な置換に起因した。
この置換は細胞が高エネルギーの紫外線による損傷を修復しようと試みたことを示す。
「この紫外線ホットスポットの突然変異は我々が調査した他の癌のいずれでも発見されなかった」、Khavariは言う。
「それらは皮膚癌だけで生じる。」
紫外線により誘発されるKNSTRN突然変異は、光線性角化症(actinic keratosis)のおよそ20パーセントで発見された(光線性角化症はしばしば扁平上皮癌に進行する前悪性皮膚疾患である)。
しかし、正常な皮膚の122のサンプルではKNSTRN突然変異はまったく存在せず、この突然変異が扁平上皮癌の発症において早い段階のイベントである可能性が高いことを示す。
学術誌参照:
1.皮膚扁平上皮癌における動原体遺伝子KNSTRNの再現性の点突然変異。
Nature Genetics、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/09/140907181722.htm
<コメント>
日光によって変異が起きやすい、ホットスポット(突然変異の多発点)を持つ遺伝子が明らかになったという記事です。