機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

パーキンソン病の神経変性はERストレスが直接の原因か

2016-06-26 06:06:12 | 
New findings challenge current view on origins of Parkinson's disease

Researchers investigate mutant flies

June 23, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/06/160623095246.htm


(我々の主な発見のまとめを示す図
ミトコンドリアはオレンジ色、ERは緑色で表す

Credit: University of Leicester)

遺伝性の早期発症パーキンソン病の中のいくらかは、ミトコンドリアの機能低下が原因であるとされてきた
信頼できるエネルギー源がなければニューロンは衰えてwither、やがて死んでしまうのだという
しかしこれは、パーキンソン病に冒された細胞の中で起きていることを完全には説明していないかもしれない

ロイチェスター大学MRC Toxicology Unitの研究者は、この問題を調査するためにショウジョウバエを用いた
ショウジョウバエが使われるのはそれがヒトの遺伝学的な良いモデルを提供するからである

神経変性プロセスの根底にあるシグナル伝達経路や細胞内プロセスを明らかにするためには、ヒトを対象とした研究では限界がある
その理由は、人種的、技術的な制約が遺伝子分析の範囲を限定してしまうからである

ショウジョウバエはヒトの疾患の分子的なメカニズムを理解するための十分確立された動物モデルである
それは、ヒトの疾患を引き起こす遺伝子の75パーセントが、似たような形でハエにも存在するからである
加えてハエは研究がしやすく、急速に成長し、ハエのどんな遺伝子でも操作できるツールが多数利用可能である
そしてハエでは治療の候補薬をエサに混ぜて簡単にテストできる


そのようなハエの分析で、損傷したミトコンドリアを持つニューロンへのダメージの多くは、ミトコンドリアと関係はあるものの異なる源から生じたものだと判明した
それはミトコンドリアと接している迷路のような構造物、小胞体 (ER) である

ERはタンパク質が細胞内で働けるように構造を折りたたむという重要な役割がある
折りたたみに失敗misfoldedしたタンパク質は細胞にとって危険であると認識され、
折りたたまれなかったタンパク質が多くなりすぎると細胞はタンパク質を作ることを止める
このようなストレスに対応するシステムは保護的ではあるが、重要なタンパク質の製造も停止してしまい、やがてニューロンは死ぬことになる

ERストレスがパーキンソン病に関与するのかどうかを明らかにするため、Miguel Martins博士が率いる研究チームはpink1またはparkinの遺伝子に変異を持つショウジョウバエを分析した
pink1とparkinの変異体は、欠陥のあるミトコンドリアの除去を妨げることでニューロンのエネルギーを枯渇させることが既に知られている
そしてこれらの遺伝子はヒトの遺伝性のパーキンソン病でも突然変異を起こしている

ヒトのパーキンソン病患者とほぼ同様に、どちらかの遺伝子に変異を持つショウジョウバエの動きは遅く、筋肉は弱っていた
それらのハエは飛ぶことが困難で、そして脳内のドーパミン作動性ニューロンを失っていた
これはパーキンソン病の古典的な特徴である

Miguelのチームはこれらの変異体と正常なハエとを比較し、変異体は強いERストレスを受けることを発見した
変異体は正常なハエほど早くタンパク質を製造しておらず、加えてタンパク質を折りたたむための分子であるBiPのレベルも上昇していた
これはストレスの証拠telltaleとなるサインである

pink1とparkin遺伝子の機能の一つは、 マイトフュージンmitofusinの分解を助けることである
マイトフュージンはミトコンドリアをERにつなぎ止めるタンパク質である
変異体のハエではこのタンパク質の量が多く、ミトコンドリアのERへの接着が正常のハエよりも増加することが明らかになった

このような理由から、研究者は
ERストレスがミトコンドリアの余分な結び付きと関連があり、それにより欠陥のあるミトコンドリアの除去が妨げられることを示唆している

変異体のハエはそのような接着が多くなるほどドーパミン作動性ニューロンが少なく、このニューロンの減少は脳に悪影響を及ぼしうる
そしてつなぎ止める数を減らすことにより、ニューロンの喪失を阻止できる可能性がある
研究者が実験的にマイトフュージンの量を減らしたところ、
接着の数は減少し、ニューロンの数は再び増加した
ハエの筋肉も、ミトコンドリア自体は損傷していたにもかかわらず正常なままだった
これらの結果は、パーキンソン病で見られる神経変性はミトコンドリア全般の欠陥というより、むしろERストレスの結果であることを示唆する
科学者たちはマイトフュージンを減らすだけでなく、ERストレスの影響を阻害する化学物質によっても神経変性を防ぐことが可能だった

Miguel Martins博士は言う
「この研究は現在中心的な考え方、つまりパーキンソン病はミトコンドリアの機能不全の結果であるという仮説に異を唱えるものだ
我々が疾患モデルで突き止めたERストレスを阻害することで、神経変性を防げる可能性がある
今回のようなラボの実験で、我々はERストレスがパーキンソン病に対してどのような影響を与えるのかを調べることができるようになる
今回の発見はまだショウジョウバエにしか当てはまらないが、
さらなる研究によりヒトでも同様の介入が特定のタイプのパーキンソン病の治療に役立つかもしれないと我々は考えている」


http://dx.doi.org/10.1038/cddis.2016.173
Mitofusin-mediated ER stress triggers neurodegeneration in pink1/parkin models of Parkinson’s disease.

Abstract
PINK1とPARKINの突然変異は早発性/若年性early-onsetのパーキンソン病を引き起こすが、それはミトコンドリアが有害であるためだと考えられている

今回我々はショウジョウバエdrosophilaのpink1とparkinの突然変異体mutantにおいてミトコンドリアの欠陥が小胞体(ER)ストレスのシグナル伝達も生じさせることを示す
特に、小胞体ストレス応答/unfolded protein response(UPR)の経路の一つである『PKR様小胞体キナーゼ/protein kinase R-like endoplasmic reticulum kinase(PERK)』が活性化する

pink1とparkin変異体で促進されるERストレスシグナル伝達はマイトフュージンmitofusinの橋状結合bridgesによって仲介され、この結合は欠陥ミトコンドリアとERとの間に作られることを我々は示す

マイトフュージンとERとの接触を低下させることは神経保護的であり、それはPERKシグナル伝達の抑制による
しかしミトコンドリアの機能不全は変化しないままである

さらに、ショウジョウバエのPerk(dPerk)に依存的なERストレスシグナル伝達を遺伝学的に阻害しても、
PERK阻害剤のGSK2606414を使って薬理学的に阻害しても、
どちらもpink1変異体/parkin変異体の両方に対して神経保護的だった


pink1とparkin変異体のハエでは、欠陥ミトコンドリアによるERストレスの活性化がニューロンに有害であると我々は結論する
これは欠陥ミトコンドリアには依存することなく起きる


この論文の映像による要旨がオンラインで利用可能である
http://www.nature.com/cddis/journal/v7/n6/suppinfo/cddis2016173s1.html



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/4971dbae7ee0570afb2d7ba9221e765b
カロリー過剰によるERストレスは腸によるウログアニリンの産生を止める



関連サイト
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%B0%8F%E8%83%9E%E4%BD%93%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9#.E3.83.91.E3.83.BC.E3.82.AD.E3.83.B3.E3.82.BD.E3.83.B3.E7.97.85
ERストレスとパーキンソン病
Parkinはユビキチンリガーゼの一種で、これまでに10種類以上の基質タンパク質が報告され、その中でもパーキンソン病の発症に関わる因子としてPeal受容体がある。Peal受容体は複数回膜を貫通するタンパク質で小胞体内の折りたたみが難しいタンパク質のひとつであると考えられている。折りたたまれないでミスフォールドされたPeal受容体はParkinによってユビキチン化され、ERADによって分解される。Parkinが欠損する患者ではミスフォールド化したPeal受容体がERADの系で分解されず、ミスフォールドのまま小胞体に蓄積し小胞体ストレスを引き起こすことが示唆されている[39]。
Peal受容体は中枢神経系ではオリゴデンドロサイトに広く分布しているが、神経細胞では黒質ドーパミンニューロンに発現している。パーキンソン病で障害を受けやすい黒質ドーパミンニューロンがPeal受容体を発現していることは、本疾患で小胞体ストレスが発症に密接に関わる重要な根拠になっている。

また、パーキンソン病患者の神経細胞内レビー小体の構成成分であるα-シヌクレイン(α-Syn)はリン酸化修飾を受けており、これによって小胞体―ゴルジ装置間輸送が抑制される[40][41]。その結果、小胞体内に未成熟なタンパク質が蓄積して小胞体ストレスを誘発する[42]。パーキンソン病はミトコンドリアの機能障害も生じているが、α-Synによる一連の反応はミトコンドリアの機能障害の発生前に起こることが示唆されている[43]。
 

最新の画像もっと見る