機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

腫瘍はどのようにして低酸素に適応するのか

2016-08-15 06:06:16 | 
Low oxygen, high risk: How tumors adapt to become more aggressive

August 8, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/08/160808124042.htm

腫瘍の治療が非常に難しいとされる理由の一つは、いつどんな時に不利な状況にさらされても腫瘍がそれに適応できるからであり、そのような例の一つが低酸素、つまり酸素の欠乏である
しかし、この腫瘍を弱体化するはずの現象を悪性の細胞は相殺compensateすることが可能であり、それはより悪性の疾患としてのふるまいを刺激する


ウィスター研究所の科学者たちは、低酸素の腫瘍内で選択的に働く全く新しいメカニズムを突き止めた
それにより腫瘍細胞は低酸素の環境にもかかわらず盛んに成長thriveして増殖し続けることが可能になる

ウィスターの所長Presidentであり最高経営責任者/Chief Executive Officer(CEO)でもある筆頭著者lead authorのDario C. Altieri, M.D.と同僚たちは、
この経路の活性化がどのようにして神経膠腫/グリオーマglioma患者の好ましくない予後につながるのか、
そしてこの経路がどのようにして癌の治療標的として役立つ可能性があるのかを示した
この研究結果はCancer Cell誌で発表された

「低酸素状態は悪性腫瘍の成長のほぼ全てに共通する特徴であり、
これまで我々はこのふるまいの原因となる経路に焦点を合わせることがまったくできなかった」
Altieriは言う
彼はウィスター研究所がんセンターの所長directorでもあり、特別教授職のRobert & Penny Fox Distinguished Professorでもある

「我々の研究は腫瘍細胞が低酸素の環境下にもかかわらず生き残るだけでなく、それどころか分裂を続けるための新たな方法を指し示す
本質的には、これはずっと待ち望まれてきた正確な答えを提供する
不利な状態に直面した際の存続するために必要なエネルギーを、腫瘍細胞はどのようにして獲得するのか?という問いに対する答えを」


ミトコンドリアは細胞のエネルギーを作ることから『発電所powerhouse』として知られるが、低酸素によって誘発される腫瘍再プログラムの主な源はそのミトコンドリアである

Aktというタンパク質は細胞のシグナル伝達と代謝において鍵となる重要な役割を演じるが、AltieriのラボはAktが低酸素の間ミトコンドリア内に蓄積することを明らかにした
Aktの蓄積が起きると、PDK1というタンパク質の特定の箇所がリン酸化され、細胞の呼吸に必要な複合体は停止させられる
この経路はグルコースを分解する腫瘍の代謝を使い、そのエネルギーを使って細胞死を減少させて増殖を維持する


PDK1(Pyruvate Dehydrogenase Kinase 1): PDHを不活化する

PDPK1(3-Phosphoinositide Dependent Protein Kinase 1): Aktを活性化する


このミトコンドリア内のAktとPKD1との間のシグナル伝達は、神経膠腫の患者116名のコホートで分析された
シグナル伝達経路の活性化は様々なタイプの神経膠腫で徐々に増大しており、最も高い活性は膠芽腫glioblastomaの患者で見られた
膠芽腫は全脳腫瘍の約15パーセントを代表する、特に治療が難しいタイプの脳腫瘍である


Altieriのラボのassociate staff scientistで筆頭著者first authorでもあるYoung Chan Chae, Ph.D.は次のように言う
「我々は自らの研究結果にとても興奮している
なぜなら癌のAktを特異的に標的とする薬剤が既に存在するからだ
それらの薬剤はこれまで限られた臨床的な応答しかもたらさなかったが、さらなる調査により腫瘍が低酸素に適応する能力を損なうための実用的viableなアプローチとして再利用repurposeできるかもしれないと我々は考えている」


http://dx.doi.org/10.1016/j.ccell.2016.07.004
Mitochondrial Akt Regulation of Hypoxic Tumor Reprogramming.
ミトコンドリア内Aktによる低酸素腫瘍の再プログラムの調節

Highlights
・低酸素の間、活性化したAktのプールが腫瘍ミトコンドリアにリクルートされる
・低酸素においてミトコンドリアAktはPDK-1のスレオニン346(T346)をリン酸化する
・Akt-PDK1経路の活性化は、低酸素での腫瘍細胞の増殖を維持する
・AktによるPDK1のリン酸化は神経膠腫のネガティブな予後因子prognostic factorである


Summary
低酸素hypoxiaは悪性腫瘍的ふるまいを促進する普遍的なドライバだが、根底にあるメカニズムについては完全には理解されていない

我々はリン酸化プロテオミクスphosphoproteomicsによるスクリーニングを実施し、活性化したAkt/active Aktが低酸素の間ミトコンドリア内に蓄積し、ピルビン酸脱水素酵素キナーゼ1/pyruvate dehydrogenase kinase 1 (PDK1) のスレオニン346の箇所をリン酸化して活性化し、ピルビン酸脱水素酵素複合体を不活性化することを示す

続いて、この経路は腫瘍の代謝を解糖系の方向へと切替えてswitch、アポトーシスとオートファジーに拮抗し、酸化ストレスを低下させ、厳しい低酸素に直面しても腫瘍細胞の増殖を維持する

ミトコンドリアのAkt-PDK1シグナル伝達は神経膠腫患者の好ましくない予後マーカーならびに生存の短さと相関し、癌における『すぐに使用可能なactionable』治療標的を提供する可能性がある



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/4662ff6f458e49b820cafd6a8c991b0e
乳癌が低酸素を生き残るための新たな経路(PTP1B─┤RNF213→α-KGDDs)が発見される



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/40a1659f8b47d4725ea2ad4c2583e549
癌細胞は低酸素などのストレスで休止状態に入り、脂肪を蓄積して転移に備える



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/e66f633e000a98c97c5e8bddfa27ba74
酸素が正常な腫瘍は解糖系を停止させてミトコンドリアの代謝に依存する



関連記事
https://blog.goo.ne.jp/news-t/e/cce233b5cfcfa9bc5ab09af62ccdcff6
低酸素ならびにアデノシンが多い微小環境ではT細胞はA2Aアデノシン受容体を介して阻害される



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/ce587959b3b5c648a5587f04ed677dac
低酸素になるとHIFがALKBH5を通じてNANOGのmRNAからm6Aを脱メチル化し、増加したNANOGが癌幹細胞を増加させる



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/d16ba27c8f39c536b11eafaa6804ec93
脳腫瘍は低酸素になるとセリンからグリシンへの変換を促進するSHMT2の発現を上昇させてPKM2を抑制し、TCA回路に入るピルビン酸を減少させて酸素の消費を抑える



関連記事
https://www.sciencedaily.com/releases/2015/05/150507145325.htm
乳癌細胞は低酸素に曝露するとtRNAの断片を作り、特定のアミノ酸のtRNA断片(グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、チロシン)が多い癌細胞は転移しにくくなる
さらに、この断片を癌細胞に加えると増殖と進行が減少した
 

最新の画像もっと見る