森永卓郎氏「構造改革をどう生きるか」より
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/141/index1.html
では、なぜ相続税の増税がここに来て浮上してきたのか。それは、自民党議員の多くが、遅かれ早かれ消費税を引き上げたいと考えているものの、ただ消費税を引き上げただけでは影響が大きすぎるからである。
なぜなら、消費した金額にかかる消費税という税制は、低所得者に厳しい「逆進的な税制」だからだ。
例えば、低所得者は収入の約8割を消費にまわすと言われている。となると、現在、消費税率は5%であるから、収入の4%(8割×5%)を消費税として納めている計算になる。
ところが、高額所得者は収入に対する消費額はそれほど多くない。仮に、収入のちょうど半分を消費にまわしているとすると、収入の2.5%(5割×5%)しか消費税として納めていないことになる。
このように、実質的な収入に対する税率として考えると、消費税率は金持ちにとって圧倒的に低いことになる。累進課税どころか、単一税率でもないのだ。圧倒的に低所得者を直撃する逆進的な税制なのである。
これはわたしだけが言っていることではなく、税制にかかわる人ならば誰もが指摘する点であり、当然ながら税調も理解している。だからこそ、その批判をかわすために、相続税を課税強化しようというのだと、わたしは理解した。
つまり、低所得層に厳しい消費税の税率引き上げをする前に、金持ちに厳しい相続税の増税を行うことによって、バランスを取り、格差を是正しようというわけだ。
わたし自身も、相続税の課税を強化することで、社会保障財源を確保するべきだとこれまで主張してきた。だから、ようやく自民党税調も、まともな税制改正を打ちだしてきたなと一瞬喜んだ。
ところが、報道をよく読んでみると、現在税調が考えている相続税増税というのは、とんでもない代物だったことに気づいたのだ。
(中略)
さて、そうした前置きをしたうえで確認したいのが、小泉内閣時代の2003年に実施された相続税率の大幅引き下げである。
このとき、最高税率が70%から50%へと大幅に引き下げられたが、この措置に対して、ほとんど批判が出なかったのは今もって不思議でならない。というのも、このときに引き下げの対象となったのは、遺産の総額が3億を超えている部分だけである。つまり、3億円以上の資産を残した大金持ちだけを優遇した税率引き下げだったのだ。
わたしは、自民党税調が今回「相続税増税」に触れたというニュースを読んで、当然のことながら、この最高税率を元に戻すことで、格差是正を図ろうとするのだと思った。
ところが、7月1日の朝日新聞に掲載された相続税の増税策を読んで驚いた。そこには「相続税は、課税最低額の引き下げ案が有力」と書かれていたのだ。
(引用終わり)
表題の「消費税上げたり、相続税課税最低限引き下げたり、ラジバンダリ(笑)」というのは、お笑いレッドカーペットで人気のあるお笑いコンビ、ダブルダッチの「ラジバンダリ!」というネタが元なのですが、この言葉は、歌手のaikoがコンサートで使用したのをきっかけに、若者たちの間でそうとう流行っているようです。
それにしても、相続税を増税するといって、課税最低限を引き下げるとは恐れ入りました(笑) これで零細企業の跡継ぎの人たちは、親が死んだ時点で廃業を覚悟しなくてはならなくなりましたよ。
これで分かるのは、自民税調は何も考えていないのではなく、かなり固定化された執念めいたものを持っているということです。
それは、「金持ちを税制優遇して、貧乏人からカネを取る」という非常に鮮明な税制構造です。
消費税も、昔のような物品税を復活するというのなら話はわかりますが、貧乏人は給料を全部使って、金持ちは消費に回さずに多くを貯金できるという消費性向に対して、食料品を含めた一律課税をかけるわけですから、消費税とは、完全な逆進性の税制なわけです。
これだと、本来あるべき累進制を横に置いて置いて、所得税課税だけの一律固定にした方が金持ちの課税負担が上がってしまうという、なんともお馬鹿な話にすらなってしまうのですが……。
「いいかげん気付よ、この馬鹿国民っ!」
って言いたいところを、我慢したり、落胆したり、ラジバンダリ(笑)
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/141/index1.html
では、なぜ相続税の増税がここに来て浮上してきたのか。それは、自民党議員の多くが、遅かれ早かれ消費税を引き上げたいと考えているものの、ただ消費税を引き上げただけでは影響が大きすぎるからである。
なぜなら、消費した金額にかかる消費税という税制は、低所得者に厳しい「逆進的な税制」だからだ。
例えば、低所得者は収入の約8割を消費にまわすと言われている。となると、現在、消費税率は5%であるから、収入の4%(8割×5%)を消費税として納めている計算になる。
ところが、高額所得者は収入に対する消費額はそれほど多くない。仮に、収入のちょうど半分を消費にまわしているとすると、収入の2.5%(5割×5%)しか消費税として納めていないことになる。
このように、実質的な収入に対する税率として考えると、消費税率は金持ちにとって圧倒的に低いことになる。累進課税どころか、単一税率でもないのだ。圧倒的に低所得者を直撃する逆進的な税制なのである。
これはわたしだけが言っていることではなく、税制にかかわる人ならば誰もが指摘する点であり、当然ながら税調も理解している。だからこそ、その批判をかわすために、相続税を課税強化しようというのだと、わたしは理解した。
つまり、低所得層に厳しい消費税の税率引き上げをする前に、金持ちに厳しい相続税の増税を行うことによって、バランスを取り、格差を是正しようというわけだ。
わたし自身も、相続税の課税を強化することで、社会保障財源を確保するべきだとこれまで主張してきた。だから、ようやく自民党税調も、まともな税制改正を打ちだしてきたなと一瞬喜んだ。
ところが、報道をよく読んでみると、現在税調が考えている相続税増税というのは、とんでもない代物だったことに気づいたのだ。
(中略)
さて、そうした前置きをしたうえで確認したいのが、小泉内閣時代の2003年に実施された相続税率の大幅引き下げである。
このとき、最高税率が70%から50%へと大幅に引き下げられたが、この措置に対して、ほとんど批判が出なかったのは今もって不思議でならない。というのも、このときに引き下げの対象となったのは、遺産の総額が3億を超えている部分だけである。つまり、3億円以上の資産を残した大金持ちだけを優遇した税率引き下げだったのだ。
わたしは、自民党税調が今回「相続税増税」に触れたというニュースを読んで、当然のことながら、この最高税率を元に戻すことで、格差是正を図ろうとするのだと思った。
ところが、7月1日の朝日新聞に掲載された相続税の増税策を読んで驚いた。そこには「相続税は、課税最低額の引き下げ案が有力」と書かれていたのだ。
(引用終わり)
表題の「消費税上げたり、相続税課税最低限引き下げたり、ラジバンダリ(笑)」というのは、お笑いレッドカーペットで人気のあるお笑いコンビ、ダブルダッチの「ラジバンダリ!」というネタが元なのですが、この言葉は、歌手のaikoがコンサートで使用したのをきっかけに、若者たちの間でそうとう流行っているようです。
それにしても、相続税を増税するといって、課税最低限を引き下げるとは恐れ入りました(笑) これで零細企業の跡継ぎの人たちは、親が死んだ時点で廃業を覚悟しなくてはならなくなりましたよ。
これで分かるのは、自民税調は何も考えていないのではなく、かなり固定化された執念めいたものを持っているということです。
それは、「金持ちを税制優遇して、貧乏人からカネを取る」という非常に鮮明な税制構造です。
消費税も、昔のような物品税を復活するというのなら話はわかりますが、貧乏人は給料を全部使って、金持ちは消費に回さずに多くを貯金できるという消費性向に対して、食料品を含めた一律課税をかけるわけですから、消費税とは、完全な逆進性の税制なわけです。
これだと、本来あるべき累進制を横に置いて置いて、所得税課税だけの一律固定にした方が金持ちの課税負担が上がってしまうという、なんともお馬鹿な話にすらなってしまうのですが……。
「いいかげん気付よ、この馬鹿国民っ!」
って言いたいところを、我慢したり、落胆したり、ラジバンダリ(笑)