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"不況ではなく我々は盗まれたのだ" 詐欺師・富独り占め 残り「99%」の連帯で経済の転換を 

2011-10-29 | その他の政治経済
 詐欺師呼ばわりされる所以


 赤旗2011-10-22 HP

 潮流

 「超」のつく有名大企業につとめる知り合いが、ぼやいていました。「定年後も働かないと…」▼彼は、50代の後半です。「年金をいつからいくらもらえるか、分からない」。だから定年後の仕事を探すという彼は、やっかいな持病をかかえています。悲壮感さえ漂わせる彼に、「無理はするな」と応じるのがやっとでした

▼「公明党だからできる。100年安心の年金を構築」。覚えておいででしょうか。もう、7年前になります。自民・公明の政権は、「100年安心」の年金改革だと、さかんに胸をはりました▼ところが、看板がはげ落ちます。説明と違い、年金の額は少なく保険料も上がる。のちに公明の厚労副大臣が、「100年安心」は「選挙戦術」でもあったと認めています。

救世主のように振る舞ったのが、民主党です。記録が失われた「消えた年金」をあばき、2年前の総選挙でこう公約します

▼「国民の信頼を回復する」「月額7万円以上の年金」「現役時代の安心感を高める」。民主党は、年金をめぐる有権者の自公への不信を追い風にして、政権をとりました。2年後、人々は民主党政権の「改革」案に不安を募らせます。今度は、記録は消えなくてもお金が消えます

▼たとえば、もし受け取り始める年が65歳から68歳に延ばされると基礎年金だけで約240万円が幻と消えます。政府が、詐欺師のように「年金」で人の心をもてあそぶ。これでは、かつての熱心さは「選挙戦術」だったかと疑われても、仕方ないでしょう。



2011年10月29日(土)「しんぶん赤旗」HP

 潮流

 フランスの画家ミレーの描いた「種まく人」は、みるからに力強い足取りで麦の種をまきます。一粒一粒の麦は、生きる糧を生みだす希望の種です▼野田首相の所信表明を聞きながら、ミレーの絵を思い出しました。首相は、仙台の詩人・大越桂さんの、「あったらいいなの種をまこう」とうたう詩を紹介し、よびかけました。「『希望の種』をまきましょう」

▼種を「希望の芽」に育て、やがて「希望の花」を咲かせよう、という首相。被災地で懸命に希望の種を探し、まこうとしている人々の耳に、野田流「種まく人」のたとえは、どのように響いたでしょう

▼首相は、所信表明でも、環太平洋連携協定(TPP)への参加に意欲満々です。岩手・宮城・福島の3県の被災地で、来年までに営農を再建できる人は3割にすぎない、といいます。そこへ、農産物の輸入を自由化するTPPの交渉話です。農家に、種まきすらかなわない日をもたらすかもしれないTPPなのに

▼首相は、増税も未来の世代の重荷を減らす「希望の種」であるかのように語りました。しかし、大金持ちや金あまり大企業ならともかく、庶民増税は、人々の手の中のわずかな「希望の種」からさえ無情にしぼりとってゆきます

▼ミレーは、「落ち穂拾い」も描きました。働いても十分な収穫を得られない貧しい農民や独り暮らしの女性が、畑に残された麦の落ち穂を拾う。野田首相の国づくりを許すなら、落ち穂拾いのように仕事と暮らしに困る人が、町でも村でもふえます


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主張

富の独り占め
「99%」の連帯で経済の転換を
  2011年10月26日(水)「しんぶん赤旗」HP


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 ニューヨークのウォール街で始まった貧困と格差に反対する運動が、アメリカ全土から世界に広がっています

 ウォール街のデモで掲げられた要求は、失業問題、高い学費や家賃、平和や環境の問題などさまざまです。共通点は「1%による腐敗と私利私欲をもはや容認できなくなった99%がわれわれだ」ということです(アメリカのニュース専門放送局CNNの報道)。

 日本でも、暮らしと経済は共通の問題に苦しめられています。

アメリカ以上の優遇で

 2008年の金融危機に際して米政府は大銀行・大企業に巨額の公的資金を投入しました。その大銀行・大企業の経営者が何億円もの報酬を受け取っています。他方で失業率が高止まりし、生活必需品の値上がりも加わって、庶民の困窮が加速しています。

 いまやアメリカでは上位1%の大資産家が国民の所得の25%を占めています。ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授は貧富の格差の深刻さを指摘し、「背景となっている問題は多くの国で共通している」とのべています。

 日本の富裕層はアメリカ以上に優遇されています。富裕層の所得の大部分を占める株式の譲渡益や配当にかかる税率が日本では異常な低さです。1億円の株式譲渡益にかかる実効税率はアメリカ26・4%に対して日本はわずか10%にすぎません。

 日本の富裕層の実態はあまり知られていません。ある調査では一時的な「成金」を除いた「ウルトラリッチ層」は人口の0・02%、保有する金融資産は約50兆円、国の税収に匹敵する規模に上るといいます(富裕層ビジネス研究会)。この資産に何倍もの「レバレッジ」(信用取引で元手以上の資金を動かすこと)をかけて運用しています。利益は想像するのも難しいほどの巨額ですが、払っている税金は庶民の預貯金利子にかかる20%の半分、たったの10%です。

 今年4~6月期の資本金10億円以上の大企業の内部留保は、08年の世界金融・経済危機前の最高額を2兆円も上回る257兆円で、史上最高に達しました。資本金10億円以上の大企業は全体の企業数の0・32%を占めているにすぎません。ソニーや日産の会長の年間報酬は、それぞれ9億円、8億円を大きく超えています。

 一方で、この時期に、働くものの所得(雇用者報酬)は、総額264兆円から254兆円へと10兆円も減らされました。非正規雇用を使い捨てにし、下請け単価を買いたたいて、大企業が富を独り占めにしている実態が浮き彫りになっています。

異常な不公平の是正を

 民主党政権はわずか10%という株式配当・譲渡益課税の優遇措置の延長を決めています大震災の復興にも社会保障にも財源が必要だというのに、財界の要求に従って法人税の大幅減税を計画し、所得税や消費税の庶民増税をやろうとしています。こういう政治を根本から改めて、異常な不公平を是正することが求められます。

 「1%による腐敗と私利私欲をもはや容認できなくなった99%がわれわれだ」―。上位1%のための経済システムと政治を、圧倒的多数の99%の国民の連帯で変えていこうではありませんか。






 命に関わる民間委託
山下議員 「やめるべきだ」
   2011年10月29日(土)「しんぶん赤旗」HP

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(写真)質問する山下芳生議員=27日、参院総務委


 日本共産党の山下芳生参院議員は27日の参院総務委員会で、大阪府泉南市立の小学校で7月、管理が民間委託されたプールで男児が死亡した事故を取り上げ、「人の命・安全にかかわる業務の民間委託はやめるべきだ」と主張しました

 山下氏は、同市では今年のべ37回の一般開放のうち、市の仕様書通り監視員が配置されていたのは5回であり、事故が起きた小学校では4人配置されるべきなのに当日1人しかいなかったことを指摘。事故直前に教育委員会が巡回していたのに監視員の配置をチェックしていなかった点をあげ、「行政が住民の安全に責任を負うという感覚が薄れている」「民間委託で現場と行政が遮断されている」と強調しました。

 川端達夫総務相は「地方公共団体が最終的な責任を有するという意識が希薄であったのは否めない。委託のあり方を検証したい」と答えました。

 山下氏は「『行政改革』という名で行政コストの削減が優先され、そのしわ寄せが子どもの命を守ることができなかった事態にあらわれている」と指摘。民間委託のプールの数や国の指針に沿った仕様書の作成状況、人数配置などを調査すべきだと要求しました。川端総務相は「再発防止の意味で大事な調査だ。検討したい」と述べました。




教科書は誰のもの ①~④ / しんぶん赤旗・JR京浜東北線与野駅に巨大看板 /赤旗wikipediaブックマーク 

2011-10-29 | 海外通信/外交/平和運動
 
 しんぶん「赤旗」wikipedia  当ブログ・ブックマーク⇒にも追加しました。

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 日本最大の政党機関紙「新しい視点は「赤旗」にある」1928年創刊 当時は治安維持法の下、非合法の地下新聞。



 2011年10月28日(金)「しんぶん赤旗」HPより

きょうの潮流

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 「特高の亡霊みたりデモの中」。最近、インターネットの川柳欄にのった作品です。「さようなら原発デモ」に材をとったものです▼特高とは特別高等警察のこと。小林多喜二の虐殺で日本中を震(しん)撼(かん)させました。戦争反対、生活擁護の国民の動きを監視し、弾圧しました

▼横浜事件もその一つ。1942年から45年までの3年間、神奈川県の特高警察により、雑誌の編集者、執筆者研究者らを芋づる式に検挙、日本共産党再建運動をでっちあげ、拷問をともなう取り調べをおこないました。戦時下最大の言論弾圧事件です

▼元被告らは無罪を訴えて再審を求めて裁判所に提訴。24年間にわたってたたかい続けました。昨年、裁判所は国家による犯罪を認めました。それを記録した本が3冊同時刊行されました。『全記録 横浜事件・再審裁判』『ドキュメント 横浜事件』『横浜事件・再審裁判とは何だったのか』(いずれも高文研)。「無罪の証明」として支払われた刑事補償金をつかっての出版です

▼驚かされたのは、初めて公開された拷問の実態を告発した32人の「口述書」。「小林多喜二がどうして死んだか知っているか!」「きさまらは殺してもかまわんのだ」と叫び、縛り上げ、殴る、ける、竹刀やこん棒で打ちのめしました▼この特高が大逆事件を機に創設されて今年で100年。特高は戦後廃止されましたが、民衆の運動への監視は形を変えて継続しています。原発なくせ、TPP反対の声が渦巻く昨今、「特高の亡霊」を許してはならない。



 赤旗 読者のページより 10月26日

 「赤旗」の看板ありがとう!  
     
      埼玉・春日部市 浅子かおい(医師 83歳)さんの投稿

 皆さん、知っていますか。 JR京浜東北線の与野駅に「しんぶん赤旗」の巨大看板が立っているのを!! 通りかかった私はえっと思って、でもあっという間に通り過ぎてしまいましたので、翌日もう一度見に行きました。
 長さ1間半、たて1メートル30センチほどの大きさです。 目が覚めるような大文字で書かれていて、パッと目に入ります。毎月大変な広告費でしょうに。”ありがとう!”私は心の中で叫びました。

 新聞1部でもとってもらうのが大変ですので、すごく励まされました。またこうして大々的に知らせることで、胸を張って皆さんもすすめられるのではないでしょうか。
 皆さん、ついでがありましたらぜひ与野駅に行ってみてください!!心躍る思いの看板です。


 
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 教科書は誰のもの ①~④  


来年度から使われる中学校の教科書で、侵略戦争を美化し憲法を敵視する育鵬社の歴史と公民の教科書の採択率がそれぞれ約4%になりました。前身の扶桑社版歴史教科書の約0・6%(2009年)から大幅増です。育鵬社版教科書とは何なのか。どのように採択されたのか、採択を許さない運動は・・・。

教育再生機構 戦前の政治・教育への回帰

 育鵬社の教科書は【日本再生機構】(八木秀次理事長)と、同機構が事務局となっている【教科書改善の会】(屋山太郎代表世話人)が事実上、つくりました。再生機構と改善の会は、今回の採択を「大躍進」としています。
 日本再生機構とはどんな団体なのでしょうか。同機構は「歴史と伝統を否定する『戦後教育』が、60年以上にわたって深く国民の心と体を蝕み(むしばみ)」(結成呼びかけ文)と、戦後の民主的な教育を攻撃しています。

「中枢侵す」

 呼びかけ文はさらに、「(戦後教育が)ついには国家の中枢を侵すにいたった」(同)とのべています。戦後の日本で積み上げられてきた民主主義や人権の尊重といった当然のことまでを、国家が「戦後教育」に侵された結果だとして否定するのが機構の立場です。
 例えば、八木氏は著書『国民の思想』や『公教育再生』の中で、日本政府も批准した子どもの権利条約をあげて、「『子どもの権利』が子どもをダメにする」と非難。分かる授業、楽しい授業をめざすことまで「子ども中心主義」とレッテル貼りして攻撃しています。

「自虐史観」

 その一方で八木氏は、教育を通じて国民を天皇への忠誠と侵略戦争に駆り立てた【教育勅語】を、「知識偏重への憂慮から出された」などと大きく評価するのです。

 八木氏は【ジェンダーフリー】(男女の社会的差別をなくすこと)の考えへの攻撃も繰り返しています。
国連の女子差別撤廃条約について「アメリカの左翼が国連に入って策動して条約をつくらせた」と中傷。全会一致で成立した日本の【男女共同参画社会基本法】を「『ジェンダーフリー』が全国に蔓延する」きっかけになったと非難し、男女平等を願う流れに敵対しています。

 さらに再生機構や教科書改善の会は、侵略戦争への反省の立場にたつことを「自虐史観」と攻撃します。
 しかし、日本が起こした戦争が侵略戦争で、アジア諸国民に甚大な被害を与えた許されないことだったとの認識は、国際的には当然のことです。日本政府も「植民地支配と侵略によって、とりわけアジア諸国の人々にたいして多大の損害と苦痛を与えた」(1995年、村山富一首相=当時=談話)とのべ、「反省とおわび」を表明しています。
 それを否定するのが機構の主張です。

「日本会議」

 再生機構と密接な関係にあるのが改憲団体「日本再生」です。
 機構の役員をみると日本会議の役員との兼任が目立ちます。機構の顧問である石井公一郎・ブリヂストンサイクル元社長、小田村四郎・元拓殖大学総長、廣池幹堂・モラロジー研究所理事長はそれぞれ日本会議の顧問、副会長、代表委員を務めています。一方、日本会議の椛島(かばしま)有三事務総長は「教科書改善の会」の代表委員、小堀圭一郎副会長は再生機構の代表委員です。他にも機構と会議両方の代表委員を兼ねている人物が8人もいます。

 日本会議は憲法改悪、天皇中心国家の再建をめざす人々が糾合してつくった団体です。今回の教科書採択に向けても、育鵬社版教科書採択のために地方組織を動員しました。
 再生機構が否定するのは侵略戦争への反省と戦後民主主義であり、「再生」しようというのは戦前の教育と国家体制です。それは育鵬社版歴史・公民教科書に鮮明に表れています。


侵略戦争を゛自衛のため〝
育鵬社歴史教科書


 育鵬社版の歴史教科書は太平洋戦争について、「日本は・・・この戦争を『自存自衛』の戦争と宣言」と書いています。日本はやむを得ず戦争をした、日本の戦争は「自存自衛」のためだった―と描こうとしているのです。

「自存自衛」

 育鵬社版の前身である扶桑社版歴史教科書の教師用指導書を見ると、この教科書で何を教えようとしているのかが鮮明にわかります。指導書に書かれた授業の具体例では、教師が「日本の戦争の目的はなんですか」と問いかけ、生徒に「自存自衛」と答えさせることになっています。

 日本の戦争が領土拡張と外国支配のための侵略戦争であったというのは、戦後の国際社会や日本国憲法の前提になっている認識です。育鵬社の教科書はこれを否定しようとしています。

 他社の教科書は日本の戦争目的が侵略と資源の強奪であったことを明確に書いています。 「日中戦争が長期化していた日本は・・・東南アジアに武力による南進を始めました。・・・石油やゴムなどの資源を獲得しようとしたのです」(東京書籍)
 「日本は・・・石油などの資源を求め、東南アジアへ軍隊を進めようとしました」(帝国書院)

 さらに育鵬社の歴史教科書は、日本の戦争が「東南アジアやインドの人々に独立への希望をあたえました」と書いています。欧米の植民地支配からアジアの国々を解放することが戦争の目的だったと描き出そうというのです。 事実はどうでしょうか。

 日本は台湾や朝鮮を植民地にし、アジアの国々を次々と占領しました。現地の資源を収奪し、過酷な労働を強い、虐殺まで行いました。他社の教科書はそのことを次のように書いています。
 「アジアの人々は、当初、日本軍に植民地解放の期待をかけました。しかし、占領地では、住民に厳しい労働をさせたり、戦争に必要な資源や米などの食料を強制的に取り立てたりしたほか、占領に反対する住民を弾圧することもありました。このため、ベトナム・フィリピン・ビルマなどでは、日本軍に抵抗し、独立を目ざす運動が強まってきました」(教育出版)

 「当初は日本軍を解放軍として歓迎した民衆や政治指導者も、のちには日本を新たな支配者ととらえるようになり、占領地では抗日闘争がくり広げられた」(清水書院)

日本軍美化

 育鵬社版歴史教科書は沖縄戦の書き方も特異です。 「日本軍は沖縄県民とともに必死の防戦を展開し、米軍に大きな損害をあたえました」
 沖縄の民衆を戦争に巻き込んで多数の犠牲を出した日本軍を美化するものです。さらに、「米軍の猛攻で逃げ場を失い、集団自決する人もいました」とし、「自決」を強制した日本軍を免罪しています。 若者に犠牲を強いた「特攻隊」を美化するコラムもあります。日本は悪くなかったと侵略戦争を美化・合理化する育鵬社歴史教科書は、子どもたちに死を恐れずに戦争に行けと教えることにつながります。



大日本帝国憲法を美化
育鵬社公民教科書


 育鵬社公民教科書の最大の特徴は憲法の扱いです。
 育鵬社版は戦前の大日本帝国憲法を「アジアで初めての本格的な近代憲法」と評価。「古くから大御宝(おおみたから)と称された民を大切にする伝統と、新しく西洋からもたらされた権利思想を調和」されたものとしています。

天皇が絶対

 しかし、大日本帝国憲法は、天皇を絶対的な権力者とし、国民をその「臣民」(臣下としての民)と位置づけていました。「臣民」の権利は法律の定めた範囲でしか認められませんでした。

 他社の教科書は詳しく書いています。 
「天皇が主権者と位置づけられ・・・国民の権利は、天皇が恩恵としてあたえられる『臣民の権利』とされ、どの程度保障されるかは法律で決めることができました。政府を批判する活動や本の出版が禁止されたりしました」(日本文教出版)
 「天皇が主権をもち、その地位は神聖なものとされました。国民にはいくつかの自由や権利が認められていましたが、その範囲を法律で制限できるとしていたことから、人権の保障は不十分なものでした。・・・1925年に治安維持法が制定され、思想や言論が厳しく制限されました」(教育出版)

 育鵬社版は、大日本帝国憲法を持ち上げる一方で、現在の憲法については、GHQ(連合国軍総司令部)にむりやり受け入れさせられたように描いています。

 現憲法が定めた平和主義の扱いも育鵬社版は特異です。一応「平和主義」のタイトルで見開き2ページを使っていますが、その3分の2は自衛隊にかんする記述です。さらに、各国の憲法を引き合いに国民の「国防の義務」を強調しています。
 他社の教科書は、平和主義が侵略戦争への反省に基づいたものであることを明確に書いています。 「日本は、第二次世界大戦において、他の国ぐにの多数の人々を殺傷し、莫大な被害をあたえた。またわが国の多くの人びとが戦場で兵士として死傷し、戦闘に加わらなかった無数の人びとも、傷つき命を失った・・・この認識と反省のうえに、日本国憲法は戦争放棄を定め、国民の大多数がこれを支持した」(清水書院)

改憲に導く

 一方で育鵬社版は、わざわざ「憲法改正」という項目を設け、2ページをさいています。「各国の憲法改正回数」という表を載せ、「各国では必要に応じて比較的ひんぱんに憲法の改正を行っています」と説明。「自衛隊がPKOなど他国軍と共同で活動しているときに、万が一、他国軍が攻撃された場合でも、日本の自衛隊は相手に反撃することができないとの指摘があります」と書いています。中学生を改憲に誘導する意図がみえます。

 大日本帝国憲法を美化し、現憲法の改悪へ誘導する公民教科書。戦前の政治・教育への回帰をめざす日本教育再生機構の狙いが端的にあらわれています。
 子どもと教科書全国ネット21の俵義文事務局長は「『つくる会』系教科書は子どもたちのためにつくられたものではない。政治運動の道具としてつくられたものだ」と指摘しています。



自民党「本気」の介入
安倍氏祝福メッセージ


 9月21日。台風15号が日本列島に上陸し、大きな被害を出したこの日の夜、東京都内で「育鵬社版教科書の採択報告と懇親の夕べ」が開かれました。主催したのは、実質的に育鵬社版教科書をつくった日本教育再生機構と教科書改善の会です。

党をあげて

 育鵬社版教科書「大躍進」の祝賀会であるこの夕べに、自民党の安倍晋三元首相が祝福のメッセージを寄せました。「日本人の美徳と優れた資質を伝える教科書が今後4年間で約25万名の子供たちの手に届くことになったのは、教育再生の基盤となるものと確信します」

 自民党が育鵬社版教科書の採択に党をあげて手を貸したことを象徴するできごとです。

 安倍元首相は5月に教育再生機構などが開いた「育鵬社教科書出版記念行事」に参加してあいさつ。「育鵬社が今夏の採択で大きな成功を収めるように、一緒になって頑張りましょう」(教育再生機構の機関誌『教育再生』6月号)と露骨に育鵬社版の採択率アップを呼びかけました。

 育鵬社への支援は安倍氏の個人的な行動にとどまりません。
 同党は5月、全国に向けて「中学校教科書への取り組み」についての通知を出しています。再生機構は『教育再生』7月号にその通知の内容を掲載。「自民党が今回は教科書で本気だ」などと書いています。
 それによると通知は、中学の歴史・公民教科書の大半は「教育基本法の理念・精神が十分反映されたものとは言えず、誠に遺憾」とし、「首長らに『自衛隊を違憲とする教科書についてどう思うか?』などと率直に考えをただす」ことなどを地方議員に求めています。

 自民党はさらに政務調査会発行のパンフレットを「議会質問用参考資料」として地方議員向けに出しています。「国旗・国歌」「自衛隊」「拉致問題」などについて、事実上、育鵬社が有利になるような質問例を掲載し、地方議員が議会で取り上げるように指示したものでした。

議連が総会

 2月には自民党の国会議員有志でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(通称・教科書議連)が総会を開きました。
 同議連は1997年に結成され、日本軍「慰安婦」の記述をなくすよう教科書会社に圧力をかけるなどしてきました。今夏の教科書採択に向けて活動を再開したのです。

 同議連の新会長となった古屋圭司衆院議員は4月22日の衆議院拉致問題特別委員会で民主党の中野寛成拉致問題担当相(当時)に、育鵬社の公民教科書の拉致問題に関する記述を示し、「どういう印象をもつか」と質問。中野担当相は「育鵬社、よくここまで書いていただいたなという意味では敬意を表したい」と答えました。

 再生機構はさっそく『教育再生』5月号にこのやりとりを掲載。宣伝に利用しました。
 地方議会でも日本会議地方議員連盟のメンバーらが中心になって自民党のパンフレット通りの質問。「改正教育基本法の目標を達成するために、最も適した教科書の採択を求める決議案」などを出し、圧力をかけました。
 育鵬社版教科書は自民党の不当な介入の中で、各地で採択されたのです。

(つづく)