アートセラピストのイギリス便り

アートセラピスト間美栄子のシュタイナー的イギリス生活のあれこれを綴った友人知人宛のメール通信です。

第八十八話 現代史映画「存在の耐えられない軽さ」

2011-05-15 21:50:34 | 社会

                    映画Three colours- blue」ジュリエットビノッシュ

  

 

*我が家の庭では春から順に、れんぎょう、八重桜、カメリア、と花木が咲きつづけていて、今は日本にはない毒のあるマメ科の黄色い花の木バーナムがたくさんの花をぶら下げています。わたしは日本の原発事故のことを考えると落ち込んでしまい、ぼんやりと花を見て座っていることが多かったりするこのごろです。

なずなはイタリアを6週間旅しているところで、これまでは電話で話していたのが、それもないとなると、やっぱりさみしく、「これが空の巣症候群か」というかんじ。

 

 第八十八話 現代史映画「存在の耐えられない軽さ」

 

映画ショコラの主人公(ジュリエットビノッシュ)は小さな女の子を連れて流れてきた、ちょっと魔女のようなチョコレートの秘伝を代々受け継ぐシングルマザー。

私もなずなとふたりイギリスに流れ着いたときはマクロバイオティックをしていて、なんだか黒い料理や黒いパンなど食べていたので、映画ショコラを見たときは自分たちのことみたいに感情移入したものでした。

 

さて、そのジュリエットビノッシュが若いころ出演したチェコが舞台の映画で、「存在の耐えられない軽さ」という長編があります。http://www.youtube.com/watch?v=1wtFIt5PVS4&feature=related

田舎娘のテレザ(ジュリエットビノッシュ)は出張に来たプレーボーイ脳外科医トマーシュに出会い、いきなり押しかけ結婚をするのですが、このトマーシュには愛人がいるのでした。テレザにはそれが耐えられない。

時代はソ連の強圧にプラハが苦しんでいるころ。政府批判を書いたトマーシュは脳外科医の仕事を失い、窓磨きとなるのですが、徹底した「軽さ」のトマーシュはそれをまったく苦にもしないところがすごい。

 

現在の東電原発事故以後の日本の状況を見ていると、まさに、歴史の大きな転換期にあると感じます。そんな時、テレザのようにカメラを戦車に向けて証言者となれるのか。トマーシュのように職を捨ててでも自分の考えを表現していけるのか。一人ひとりの勇気が変化への力とつながっていくようにおもいます。

 

私の職場の同僚でチェコからきた三十代の人が言っていました。「ほんとに社会が変わっていくのは私たちの代が死んでから、共産主義を経験していない次の世代からだろう」と。

私たちもみな日本の教育を受け、日本の社会で育って、「洗脳」されているので、この日本の政治、社会管理システムを疑い、変えることはなかなか出来ない。でも、この東電原発事故では、そのシステムがいかに人間をおろそかにしているのかをあからさまにして、いまや誰にでもおそろしさが見えるようになった。

 

次の世代まで待てない危機的な状況にある現在、どうか、一人ひとりの声をTwitterでも、Facebookでも使って伝え合ってください。少なくとも日本では言論の自由があるのですから。

 

間美栄子 2011年 515  http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef

 

P.S, ジュリエットビノッシュが主演した映画でも特にいいのは、フランス映画の「Three colours- blue」交通事故で夫とこどもを亡くした女性の心の様を細かく描写しています。http://www.youtube.com/watch?v=jJetkmTWxQc



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