アートセラピストのイギリス便り

アートセラピスト間美栄子のシュタイナー的イギリス生活のあれこれを綴った友人知人宛のメール通信です。

第六十九話 麦畑の金色の海

2010-07-16 18:20:34 | 子育て

*イギリスは北海道のような所、といってもよく、広々としたところを歩いていると気分がすっかりよくなります。干草は刈られて大きなロールがところどころに転がされています。
昔、ある夏、羊の毛刈りをさせてもらったことがありました。リズムよく、肌すれすれにはさみを滑らせて毛を刈ったのはおもしろかったなぁ。

第六十九話 麦畑の金色の海

なずなは高校を卒業し、大学入試もピアノの最終グレードの試験も終わり、いまや、まったくのフリーダムを満喫しています。それにともない、私も子育てから引退し、新たな人生の局面へとかわりつつあります。
ちらちらと、子供のころのなずなの姿が思い出されて、古い映画のようでなつかしい。

麦畑の金色の海
そのなかを ちいさななずなが歩いていく
風に吹かれ 胸をはり 微笑を浮かべながら


なずながまだ赤ちゃんだったある日、大学病院から、神経芽細胞の尿の精密検査をしなければならないという電話が来ました。がんであったらどうしようと夜も眠れず考えた答えが、「今日一日を楽しむことが人生だ」ということでした。

大学病院の小児科病棟の同じ部屋には、原因不明の病気で入院している子供や、長期の入院の親子が何組もいましたが、つきそいのおかあさんやおばあさんは,みな笑顔で親切なので、さぞ大変だろうにすごいなぁ、と感心させられたものです。

この数日の検査入院から学んだことが私たちのその後の人生に大きな影響を与えたのでした。
このときから、子育ては将来を考えて、立派であるとか、賢いとか、成功とか、美しいとか、ではなく、どんな状況でも笑顔でいられる強さなのだとおもったのです。

夜眠りに着く前には、「きょうも楽しかったかい?」となずなにたずね、18年を暮らしてきましたが、それもなんだか、美しい夢のように、あっというまに通り過ぎたように感じます。
これからも、麦畑の金色の海を眺めるたび、何を眺めるにつけ、楽しかった子育て時代のことを思い出すのでしょう。

(間美栄子 2010年 7月15日 http://blog.goo.ne.jp/nefnefnef)



最新の画像もっと見る

post a comment