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ndd a.k.a NO-DOUBTによるレビュー。音楽中心に徒然と。微力でもアーチストや表現者への還元に繋がれば。

ナガオカケンメイの考え / ナガオカケンメイ

2010年01月23日 | BOOK/MAGAZINE
ナガオカケンメイの考え
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ナガオカケンメイの考え / ナガオカケンメイ(アスペクト)

名古屋には無いんですが、D&DEPARTMENTのサイトとかもよく見ていて、以前トップランナーに出た回とかも観ていて休刊しちゃったけど「D:long life design」誌とかのコンセプトや気骨のある内容とかいいな~と思っていたんで中古書点で値打ち価格で見つけたので購入。

その風貌やキャリアとか、僕自身が自宅でも愛用しているカリモクやノリタケなどの60 VISIONシリーズの印象で「お洒落さん、デザインを語る!日々の素敵な出来事をブログで綴る(謎)」的なエッセイかと思いきや結構、というかかなりガチな男気系の、どちらかというとビジネス書に近いような内容で、いい意味で印象が変わりました。

サラっと読めるかなと思いきや、やっぱ人が自分の言葉で書いた文章を読むのは疲れるし、こちらも脳を回転しなきゃいかんね。「デザイン業界」の中にいると言いにくいんだろうなと思われることをズバズバ言ってたりもするから、Amazonとかでこの本の評価を低くレビューしている人はそのあたり痛いところをつかれたなって奴らなんじゃねーのかなと思いました。

実際のブログの文章をかなりそのまま使っているからか、読みにくい点はあるけど、その分言ってる内容にパワーというかwebならではのリアルタイム性(本になった点で過去だが)が乗っかってるから表現がストレート。

基本的にはデザイナーというより経営者としての視点が多く含まれているから、組織の中で働く人間全てが考えさせられるような内容が多かったです。日本フィルオーケストラのリハを観た時の話で、「仕事をする職場 = 本番」であり「練習」ではないと、オーケストラのフィルは「本番のための練習」のために、皆が裏で膨大な「練習」をしてその一瞬集まり、練習が終わるとサッと帰っていくというくだりには結構ガツンとやられました。

特に日本のインハウスの工業デザイナーやプロダクトデザイナーは叩かれがちだけに、反論もありそうだけど、逆に表層的な部分ではなく、どれだけ真剣に「デザインする」ということの定義をいわゆるデザイナーが考えているのかを問われた時にみんな回答できるのだろか?

本書の中にもありましたが「デザイナーに向けて語るデザイナー」が多すぎて、その権威の語りに賛同するだけで自分も権威の側に回っているような日本のインハウスの工業デザイナーやプロダクトデザイナーへの痛烈なアンチテーゼでもあり、webという分野であれ見た目が美しいが機能的ではないファインアートを作りたがる人が多いのは同じような課題なのかなと思いました。迎合ということではなくて本当の意味でのユーザー中心設計が前提にあって、プラスの部分でデザイナーにしかできない表現を出来たらなと思います。


→ナガオカ日記

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