+ NDD DISC REVIEW +

ndd a.k.a NO-DOUBTによるレビュー。音楽中心に徒然と。微力でもアーチストや表現者への還元に繋がれば。

■スチャダラパー / "THE BEST OF スチャダラパー 1990-2010"

2010年08月15日 | HIP-HOP/BREAK BEATS
THE BEST OF スチャダラパー1990~2010
スチャダラパー スチャダラパーfeaturing小沢健二 スチャダラパー+木村カエラ スチャダラパー feat.TOKYO No.1 SOUL SET
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スチャダラパー / "THE BEST OF スチャダラパー 1990-2010"
(JAPANESE HIP-HOP)
評価:★★★★☆

U-20世代にはいったいスチャダラってどれほどの認知度があるのかな?なんて考えたりもするけどこの2枚組みベスト盤で初期の曲から聴き返してみるとこの人達ってホントごっつあファンキーなB-BOYだし完全にHIP HOPだわ。

SOUL SETとかカセキサイダーとかとLB系の括りにされていて、シリアス路線の90年代後半には「さんぴんCAMP」にも不参加だったり、良くも悪くもブギーバックの印象が大きすぎて、マッチョ系HIP HOPの目の敵にされてたけど初期をまとめたDISC-1なんかのサウンドプロダクションとシニカルなリリックはデラソウルとかネイティブタン周辺やNICE&SMOOTHにも通づるし。

ブギーバックのヴァース「このメンツ、このやり方、この曲でロックし続けるのさ」なんてメチャB-BOYイズムだし。Jラップ史上最高のサマーアンセム「サマージャム '95」のボビーハッチャーソン使いなんてド渋ミドルスクールシット、コスリをフックに使った構成もプリモ先生の影響ありあり。

DISC-2を聴くとシンコのトラックメイキングが職人級だというのがさらあにわかる。ネタのチョイスもキラーループ系ではなくド渋のシンプルでミニマルかつファンキー路線。ビートはますます太く跳ねてるし、ドラムのプログラミングの上手さは「アーバン文法」「ドリジナルコンセプト」あたりを聴けばわかるはず。

個人的には商業的なセールスはともかく「ライツカメラアクション」はマジで全Jラップファンに聴いて欲しいJAZZYアブストラクトHIP HOPの傑作と思ってます。スモーキーなギターループベースのトラックにフック部分でのエレピとフック終わりのエレキギターのサンプリング。日常を演劇の延長で全ては演技であると設定したクールでキレのあるリリックもスチャの中では異色。

まあとにかく彼らは間違いなくB-BOYなのである!

THE BEST OF スチャダラパー1990~2010

■コトリンゴ / "trick & tweet"

2010年08月14日 | J-POP
trick & tweet
trick & tweet
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コトリンゴ / "trick & tweet"
(J-POP)
評価:★★★★☆

蒼井優ちゃんみたいにちょっとふわっとしていて乙女な感じは森ガールで、AIGLEとか着て屋久島とか行っちゃうのが山ガールでおなじ自然の「森」と「山」でこうも意味合いが違うのもなんですが、コトリンゴは完全に前者が好んで聴くはず(謎)

男でコトリンゴが好きとかいうとキモ男扱いになるのかもしれませんが、いいんですっ(慈英風)。特にこの3rdもセールス的にはどうかわかりませんが、プロがしっかり作ったいわゆるちゃんとした音楽です。流石は教授のcommons発、クオリティ相当高いです。

矢野顕子から毒を抜いたようなコトリンゴの声とそれを活かしきった敏腕プロデューサーとゲスト陣、安藤裕子が詩提供のM-3"友達になれるかな?"なんかは本人が歌ってもハマリそうですが、意外とコトリンゴにも合いますね、この世界観。

まあピアノだけでもサポートメンバーで客演してるくらいなのでやっぱピアノ前面に出している曲たちが個人的には惹かれました。美しいピアノのメロディと旋律、自身とピアノとの会話を歌詞の主題にもしたM-4"予感"はそういう意味では秀逸。

ゲストのSAKEROCKとのM-8"でたらめサンバ"はトロンボーンや木琴の音色の織り成すSAKEROCKの世界にコトリンゴが迷い込んだようなキュートなほろ酔いソング。タイトルどおり全然サンバじゃないし(笑)

アルバム中最高と勝手に決め付けたのが僕が愛して止まないSSWおおはた雄一さんが作詞作曲したM-9"ふたり"。恋人と季節を手を繋いで歩く風景とおおはたさんのギターとコトリンゴのピアノ、「あなたがいなかったらわたしは寂しくなることさえできない」なんて詩もコトリンゴがサラッと歌うことでベッタリしなくて本当にシンプルで素敵な桜の季節に聴きたくなるアコースティックな名曲。

trick & tweet