goo blog サービス終了のお知らせ 

+ NDD DISC REVIEW +

ndd a.k.a NO-DOUBTによるレビュー。音楽中心に徒然と。微力でもアーチストや表現者への還元に繋がれば。

■Mitchell Froom / A Thousand Days

2009年04月02日 | JAZZ/FUSION
A Thousand Days

Mitchell Froom / A Thousand Days
(JAZZ/AMBIENT)
評価:★★★★★

細君でもあるスザンヌ・ヴェガやロス・ロボスなどのプロデュースで知られるミッチェル・フルームによるピアノソロ作品。表題や「1965」といった曲名が示すように、過ぎ去りし愛と喪失の日々をしずかに回想する極私的な掌篇集とのことでドイツのみでひっそりリリースされていたらしいのですが、知る人ぞ知る名盤的にチラオホラと見聞きするのでずっと気になってた作品。

便宜上JAZZにカテゴライズしたがいわゆるJAZZピアノものではなく、どちらかとゆうと環境音楽っぽいけど決してアンビエントにはなっていないギリギリの境界線を彷徨う独特の世界観。その立ち位置なんかからもゴンザレスの名作「ピアノソロ」を連想する人も多いかもしれません。

美しい旋律で構成された1曲2~3分程度の小品集。非常に内省的なのだがロマンチック過ぎず適度な温度感。まさしく冷静と情熱の間というところ。

ピアノ以外には微細な音響的なSEが鳴っているだけなのだが、「あっ」と思わせられるフレーズに満ちていて、とても映像喚起的でもあり、聴く人によって思い浮かべる情景も異なるのであろう。そう言った意味では都会の雑踏の中i-podで道をずんずん歩くための友にもなり得るが、やはり家の生音の良さを引き出すオーディオで聴くと最高。

「何かいいCD無い?」とたずねてこれを薦めてきたら、間違いなく僕は惚れますね。

ア・サウザンド・デイズ

■Yusef Lateef / "Eastern Sounds"

2008年12月29日 | JAZZ/FUSION
Eastern Sounds

Yusef Lateef / "Eastern Sounds"
(JAZZ/SPIRITUAL JAZZ)
評価:★★★★☆

廉価で見つけたら買おうと思っていたコルトーレーンにも影響を与えたとも言われるオーボエ、フルート奏者Yusef Lateefが名門PRESTIGEに残した名盤。アナログのオリジナルは万越え系です。

HIP HOP/BREAK BEATSサイドからはNujabesが"The Final View"でサンプリング(っつーよりカヴァーだね)したLove Theme from "Spartacus"があまりにも有名で、自分もこの曲以外はちゃんと聴いたことなかったのですがアルバム通して素晴らしい作品です。

前述のLove Theme from "Spartacus"の儚い美しさはバリー・ハリスのピアノ演奏によるところも大きいのだがユセフ・ラティーフがこのアルバムのモチーフとしている"東洋"への情景がフルートやオーボエに乗り移り凡百なスピリチュアルJAZZとは一線を画す作品となっている。

聴けばなるほどコルトレーンのインパルス期やファラオサンダースにも通じるものが確かにあるなと。現代のCLUB JAZZシーンでもCALMなどのクリエーターにもその魂は受け継がれている。

他にもM-4 "Don't Blame Me"など大人の夜JAZZ傑作アルバムと言える名作。

Eastern Sounds


エヴァンスのバージョンのLove Theme from "Spartacus"も最高ですよ。

Bill Evans's Finest Hour
Bill Evans's Finest Hour
posted with amazlet at 08.12.29
Bill Evans
Verve (2001-06-05)
売り上げランキング: 23309


■MICHEL CAMILO & TOMATITO / "Spain"

2008年08月16日 | JAZZ/FUSION
Spain

MICHEL CAMILO & TOMATITO / "Spain"
(JAZZ/LATIN)
評価:★★★★☆

ドミニカ共和国出身のピアニストであり、作曲家でもあるミシェル・カミロとスペイン現代フラメンコギタリストのソトマティーとのダイナミックなデュオが、その演奏で複雑にお互いを刺激し合い、アフリカ文化とイベリア半島を交差させた。

とはAmazonでの当作品の説明文の文頭なのだが言い換えると二人のラテンの血の流れる音楽家・演奏家によるJAZZとスパニッシュギターの邂逅。共に超絶技巧のバカテク系なのだがラテン特有の濃い感じに陥らずに、あくまでスリリングにクールに隠れた情熱を忍ばせる大人のLATIN JAZZ。

僕も旅行で行ったことはあるのですがスペインにはかつて世界を総ていた歴史やキリスト教やイスラムなど様々な文化や歴史が入り混じっていたり、ピカソやガウディみたいな不世出の天才を数多く輩出している国でもあり芸術にも西洋のトラディショナルなものとは少し違う文化があって、この作品はそんなスペインの夜の部分を表現しているかのような官能美を感じます。

M-1 "Spain Intro"でもう標準以上に良いことはわかるのですが、個人的には超絶技巧故に表現可能な流麗かつ偉大なスペインのクラシカルなセゴウ゛ィアやパコ・デ・ルチアらの持つ洗練への憧れ、愛を感じたのは僕だけでしょうか。

Spain

■Bill Evans / "Undercurrent"

2007年12月16日 | JAZZ/FUSION
Undercurrent
Undercurrent
posted with amazlet at 08.12.29
Bill Evans
Blue Note Records (2002-06-13)
売り上げランキング: 383
おすすめ度の平均: 5.0
5 一番好きなジャズアルバム
5 デュオの傑作 これにあり
5 さあ漂おう
5 スコット・ラファロ死後のインタープレイの方向性
5 ビル・エヴァンスの付けるタイトルはいつも暗示的

(JAZZ)
評価:★★★★☆

希代のジャズピアニストビルとギタリストジム・ホールの競作。水面に沈む女性のジャケ抽象的で意味深い。タイトルも日本語で底流。

ビルといえば「My Foolish Heart」「Waltz for Debby」など内省的で美しくてどこか悲しげなピアノ曲を連想しがちですが、今作はジャズのプレイヤーの真髄とばかりに事務ホールとインタープレイによるスリリングな名盤。

一曲目のスタンダード「My Funny Valentine」がとにかく素晴らしくピアノの美しい旋律と会話するジャズギター。いぶし銀のプレイがしびれます。映像で観てみたいほど。素晴らしいJAZZのアルバムというものはやはりプレイヤーの発する熱や魂を見事に録音物に封じ込めたものを指すのだということですな。

Undercurrent

■Hamel / "Wouter Hamel"

2007年12月02日 | JAZZ/FUSION
ヘメル
ヘメル
posted with amazlet at 09.03.22
ウーター・ヘメル
P-Vine Special (2007-11-07)
売り上げランキング: 1413

Hamel / "Wouter Hamel"
(JAZZ/BLUE EYED SOUL/AOR)
評価:★★★★☆

グレヒのnodic先生に教えてもらったニューカマーへメルのデビュー作にして傑作。最近愛聴している一枚。老若男女問わずお洒落さんにも絶対オススメな冬仕様なJAZZY POPです。

なんと言っても今作はプロデューサーがあの希代の才人ベニーシングス。それだけでも心躍るのですが、このイケメンの兄ちゃん声も超美声!新世紀のチェットベイカーと勝手に名づけました、ハイ。少しだけハスキーで甘いシルキーボイス。アナログな質感を残すアレンジも古き良きブルーアイドソウルを感じるが音は非常に今的!

とは言えチェットベイカーほど哀愁系ではなくもっとハピネスでメロウ。M-1からJAZZYでソウルフルな極上POPSで「ああ、これは良いわ!」とわかります。スウィングナンバーからメロウバラッドまで優しくて暖かくてメロウな秀曲揃い。

お洒落な森ガール口説くにはこの冬最適ですよ、そこの眼鏡系!ただしエグザイルとか聴いてる様なOLさんには効果ないです。多分。

こちらのベニーさんの傑作もマストだがね。

I Love You
I Love You
posted with amazlet at 09.03.22
Benny Sings
Sonar Kollektiv (2005-10-04)
売り上げランキング: 64370