ハグハグの日々 Ⅳ  ~ 南日本海人、ライダー変身

ご訪問有難うございます。南日本海人、夏山裕のブログです。家族を愛し、人生に感謝して、日々をハグしながら送っています。

瞬間冷却

2010年03月12日 | 夢と妄想、時々まぼろし
 南日本海人、こわがりやではないが、ひとつ恐ろしいものがある。それは、「不在の存在」と私が勝手に名付けた概念である。
 ずいぶん昔だが、確か萩尾望都という女性マンガ家の作品で、『11人いる』というタイトルのものがあった。原作を読んだことがないので恐縮だが、テレビでドラマ化されてインパクトを受けた。
 うろ覚えだが、宇宙船のなかで、乗組員が10人しかいないはずなのに、いつの間にか、11人いて、しかも、その誰もが知っている顔で、誰が余分なのかがわからないというホラーSFだったと思う。これはSF界で言う「座敷わらしテーマ」であるが、この「いないはずの存在がそこにいる」という概念が、実は南日本海人の恐怖のツボに一番はまるのである。
 いい歳をして、なぜそんなことを思い出したかというと、昨夜の家の出来事からなのである。
 私と家人は普段6畳の和室で寝ている。その和室には仏壇などもあるが、普段はすだれを下させてもらっている。昨夜の零時過ぎぐらいだったと思うが、私は寝入り端で、うとうとしていたところである。家人のほうも同じようにうつらうつらしていたところだったと思う。
 突然、家人が小さく声を発したのだ。
 「あそこに何かいる!」
 ぎゃあ、やめてくれやめてくれ、何を言うんだ君は。私はそのとんでもない発言に、瞬間的に目が覚めた。
 「なになになに。何言ってるの?」
 家人が部屋の隅の方を見ている。
 うわあ、やめてったら…。背筋がぞーっとするではないか。
 その時、音がした。ガサガサ、とか、ガシガシとか、ギチギチとかいう音だ。なんだ、ネズミか何かじゃないか! ネズミでもたいへんなことだが、この場合、通常、音を聞いて不審に思ったものが発する言葉は、
「何、あの音?」とか、「何か聞こえるよ」とか、「ネズミじゃない」とかいうところが妥当であろう。絶対に、「あそこに何かいる!」などという、全身が総毛立つようなセリフを口にしてはいかん! 
 中年のおじさん、恐怖でお○っこをちびりそうになったではないか。
 そういえば、この音、少し前にも聞いたのを思い出した。どうやら、完全にネズミなどの小動物が何かをかじるような物音だ。
 さっそく駆除をしなければならないな、とその時心に決めた次第である。
 しかし許せないのは、家人の不穏当な表現の発言だ。私を心臓まひで亡きものにしようとしているのではないかと勘繰ることができるぐらいの、言い間違いだ。
 「あそこに何かがいる」というのは、絶対にこの場合にはあてはまらない表現だ。強く抗議するものである。
 以上、「不在の存在」の恐怖を久しぶりに思い出したという話である。

 心臓に悪いから、やめてよ。

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