小松左京さんについてもう少し。彼は大スペクタクルの長編で有名であるが、短編の名手でもある。もうひとつ大好きな短編集は、『旅する女』という短編集だ。『女』シリーズという一連のテーマ短編であるが、その名のとおり、女・女性というものを描いている。といっても、SFの巨匠、左京さんのことだがら、チンケな視点ではなく、とても大きな捉え方、奥深い味わいで作品を創っている。
私は中でも『秋の女』という作品が、穏やかでなぜか懐かしみを覚えて好きである。目だった展開のストーリーではなく、主人公の目からみた中年女性の姿を通して、『人類の女性』というものを考えている。
なんとなく陽だまりでのんびりしているような、不思議な味わいを持った小説だ。山陰山陽が舞台となっており、思わず旅行にそちら方面にいってみたくなるような誘惑もある。
この作品が特に好きになりだしたのは、ここ数年であるから、これはやはり私が作品の内容がわかる年齢になったということかもしれない。歳を経ないとわからないことというものがやはりあると思うのだ。
昔年のイケメン少年はどこにいってしまったのだろうか。すでにその面影は空のかなたである。
私は中でも『秋の女』という作品が、穏やかでなぜか懐かしみを覚えて好きである。目だった展開のストーリーではなく、主人公の目からみた中年女性の姿を通して、『人類の女性』というものを考えている。
なんとなく陽だまりでのんびりしているような、不思議な味わいを持った小説だ。山陰山陽が舞台となっており、思わず旅行にそちら方面にいってみたくなるような誘惑もある。
この作品が特に好きになりだしたのは、ここ数年であるから、これはやはり私が作品の内容がわかる年齢になったということかもしれない。歳を経ないとわからないことというものがやはりあると思うのだ。
昔年のイケメン少年はどこにいってしまったのだろうか。すでにその面影は空のかなたである。