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思いつくままに…

老夫婦

2013年05月27日 | そう感じました…

難しい仕事を終えて飲んだ三軒目のハシゴで

立派なホテルのバーで一杯も良いね

と相棒が言うので

皇居が望める、何年か前に出来た贅沢そうなホテルに入った


上層階にある、バーと言うよりは大きなサロンであった

「止めようよ、一杯づつで良いじゃない」と言うのに

相手は「1本7,000円也」

のシャンペンを注文した

旨いのかどうなのか、を判るほど飲み慣れていないので

勿体無いな…の気持ちは払拭されなかった


ふと、外を見ようと、窓辺の眺めの良さそうな席に目をやると

上品で感じの良さそうな老夫婦がいた


「もう十年程したら、そんな飲み方も言いな…」

と、帰ってから妻に言うと

「そこまで二人で続けばね…」

と、あしらわれた
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優香(2)

2013年05月25日 | そう願います

モハメッドが戻って来たのに合わせて

訪問団一行の全体会議が催された

都合の付いた八割ほどの関係者たちが集まった


その中で「妹優香捜索」の話しが全員に通達された

驚きの声が収まるのを待って、健一とちよが紹介され、大切な友人である事をモハメッドが話した

母親から届いた「優香関連の品物」が回され全員に一覧され、写真のコピーが銘々に渡された


続いて、情報部が現在までに入手出来た情報を伝えた

「記憶喪失」の話しが出ると、再びどよめきが起きた


それらしい人物がいた場合の連絡体制が伝えられて、その日の会議は終わった


エミ王女が健一に近付いて来て

「妹さんだと確認出来ると良いね」

と、元気付けた


モハメッドは、後から健一の部屋にやって来て

「例の吉雄の事だけど…」

と前置きして、情報部が得た情報を次のように語った


(続く)
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来るべきもの

2013年05月15日 | それだけの事です…

親の家を売りに出した

十日ほどの間に二三の引き合いが有った

いづれも受け入れられるものでなかった


一方、まだ片付けも残っており、未練も捨て切れていない

しかし、外圧も有り、遅かれ早かれ手放さざるを得ない


いづれ来るべき時が来る

しかし、早過ぎなければ良いが…とも思う心が惨めだ


電話が鳴ると「来たか…?」と身構える


いづれ来るべき時を待たざるを得ない状況はイヤなものだ


取り下げれば済む話しだが

取り下げられない状況下で覚悟して待たざるを得ない、待たざるを得なかった人々の

いる事、いた事に思いを馳せて

我がままを封じなければ…
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優香

2013年05月11日 | 知りたい

母真佐からの小包が届いたのは、それから一週間程してからであった

開けると

妹の優香の身の回り品や子供の頃から大事にしていたもの、そして十枚ほどの写真が同封されていた

これで、準備は整った

後は、自分の覚悟と度胸が要求される…


王宮ではエミ王女一行の訪問準備が始まった


お付きの女性随行員が十名ほど、男性随行員が数名、そして警護人が男女合わせて二十名ほど、となった

健一は比較的自由に行動出来るようにと、随行員の末席に位置づけられた


情報部員が得た写真が回って来た

民族衣装を着て、顔は目の部分を除いてベールで覆われているので、何とも判別が難しい

ただ、目元は東洋人のものだ…


ちよも随行して、エミ王女と健一との間の連絡員として、また必要に応じて日本語の通訳として役立つようにと、王女のそば近くに居る事になった

予期せぬ事になったちよに健一は

「断ってもいいんだよ」と言った

「大丈夫です」と気丈な返事が返って来た


有り難かった…


(続く)
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洗濯物

2013年05月04日 | そう願います

話しをした事も無いし、挨拶を交わした事も無い

こちらの窓を開けると

斜め下に向うのマンションのベランダが見えるだけ

いつも大判のバスタオルがたくさん干されていた

八十歳前後のおじいさんが干したり取り入れたりしているのが時々見えた

早朝には娘さんらしい人も干していた

おばあちゃんが介護されているのだな、と想像していた


それが一週間ほど前に終わった

洗濯物が変わった

バスタオルが無くなった

きのう早朝に娘さんを見かけた

引っ越したのではなさそうだ


「おじいさん、長い間ご苦労さんでした」

と、小さくつぶやいた

そして、また洗濯物が元に戻る事が有れば良いが…

とも思った
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