gooブログはじめました!

思いつくままに…

第一関門

2014年09月06日 | ありがたい!

会が進んで、食事が進んだ

見ていると
ミミ王女は「左利き」のようである

これで第一関門突破だ
と健一は嬉しく思った

自分が覚えている範囲では
「首筋根元から右肩方向に二三センチぐらい離れた辺りにゴマ粒ほどのホクロが1センチほど空けて二つ」並んでいる
「左手の甲に米粒の半分ぐらいのホクロが薬指の根元から2センチほど下方向に離れて一つ」有る

あいにくいづれのホクロも小さいので
健一の座席からは見えない

顔かたちは十年前とは違って
すっかり大人の女性になった今では
優香かどうかは判定し難い

雰囲気も日本人離れしたレディになっており
もし優香だったとしたら
余程礼儀正しく幸せに育てられた様子で
先ずは一安心出来る

「左利き」であった事は
同行者の皆にも知らされているので
エミ王女も既に気付いてくれている事と思う

後は、タンスパーティーで確かめよう、と
健一の胸は膨らんだ


(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

思い

2014年06月27日 | ありがたい!

ちよがドアまで送って来て

「エミ王女はそれはそれは心から優香お嬢さんの連れ出しが上手くいく事を願っていらっしゃいます」

「・・・・・・.」

「高橋本家でお世話になった事と楽しかった数日間の滞在を大事にしてらっしゃいます」

「・・・・・・.」

「それとは反対に、神隠しに遭った優香お嬢さんの不幸に心を痛めていらっしゃいます」

「・・・・・・.」

「何とか無事会えて、高橋の御両親の手元に戻す事が出来ないか…  その為なら、自分に出来る事は何でもする、というお気持ちです」

「・・・・・・.」

「それが、自分が窮地の時に日本で世話になった健一坊ちゃんと御両親に対するお礼返しなの… と何度もこの私に言っています」

「有難い事だ… 王女に災いが及ばなければ良いが、と気にしているのだ」

「王女は自分の事よりも健一坊ちゃんの喜ぶ姿を大事にしていらっしゃるようです」

「そうか…」


(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

配慮

2014年06月03日 | ありがたい!

割り当てられた「控え」の部屋は三つが続いたスウィートだった

真ん中の主室にエミ王女、そして数人のお付きと警護の者が入り、両翼の一方にその他の女性随行員が、他方に男性が入った

三つの部屋は中で繋がっているが、そのドアは主室からは開くが、両側の部屋からは開かない構造になっていた

午餐会用の服装に着替えて、主催者からの案内を待っていると
「エミ王女が会いたいから、来るように」との連絡が来た

行ってみると、大きな衣装箱の前に居た王女が
「健一、妹さんを秘密裏に連れ出す際には、この箱を使ったら…」
と提案した

「判りました」と、気遣いに感謝した

「それから、午餐会の席順だけど、私の近くの方が妹さんが良く見えるだろう」
との心遣いをしてくれた

末席からでは見えにくいだろうとの配慮だ
主賓にはその周りに五人までお付きの席が配されているので、との事

本人との話しは自由に動けるダンスパーティー時でなければ無理だが、先に様子が判っていた方が良い


(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

隣国

2013年04月19日 | ありがたい!

更に二三日が経ってから

「エミ王女様がおいでになります」

との前触れが有って、

王女が健一の部屋に入って来た

「健一、良いアイデアが浮かんだの…」

「何でしょう?」

「実は隣国の王子の誕生パーティへの招待状が来ていたのを思い出したの」

「・・・・」

「私が行けば、健一が随行員の一人として隣国に行けるでしょう!」

「でも、王女はその人から逃れて日本にまで行ったのでしょう」

「ええ、でも、つい最近になって、無理やり婚姻を迫っているのは王子ではなく、その父の国王のゴリ押しだと分ったの」

「・・・・」

「王子本人は悪い人ではなさそうなの…」

「健一が妹であって欲しいと祈る人もきっとパーティーには出ると思うの…」

「・・・・」

「このチャンスを捉えましょうよ!」

「・・・・」

「ねえ!」

「有難う、少し考えさせて下さい…」


(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

田舎暮し

2012年12月15日 | ありがたい!

翌日、遅い朝食を取りながら、昨夜の大宴会の話しに花が咲いた

村の主立った人々がほとんど集まった宴会だった

結果として、友好都市契約が出来上がったようなものだった

お互いに歌も踊りも出し合い、共に歌って踊った

モハメッドも、エミも、警護の皆も、ここのところ続いて起きた不祥事を忘れた一時だった

そんなこんなを思い出しながら楽しい朝食をゆっくり取ってから、モハメッド一行は何度も礼を言って、再会を約して、帰京した

もう少し居たいというエミ王女の我がままを許して、警護の者二人とベンツを一台残した

そんな事も有って、私の父、健一も取り敢えず残った

父の父母は喜んだ、一挙に寂しくならずに済んだ


余り目立っては危ないと最初は思ったが、この小さな村では、一両日中に知らない者はいなくなった
それが返って、外来者に対する防備になった

村は通り抜けの出来ない行き止まりである為、通過する者はいないし、観光地でもないので目的を持たずに入り込む者もいない
一旦誰かが入ると、村人から高橋本家に通報が入る防備体制だ

加えて、二人の警護人がエミ王女に付いており、内一人は女警護人なので身の回りを近くで固めた

そして、警護以外の用事は高橋家の下女のちよが務めた


そんな体制が自然と出来て、数日過ぎた頃だった…


(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする