ちよがドアまで送って来て
「エミ王女はそれはそれは心から優香お嬢さんの連れ出しが上手くいく事を願っていらっしゃいます」
「・・・・・・.」
「高橋本家でお世話になった事と楽しかった数日間の滞在を大事にしてらっしゃいます」
「・・・・・・.」
「それとは反対に、神隠しに遭った優香お嬢さんの不幸に心を痛めていらっしゃいます」
「・・・・・・.」
「何とか無事会えて、高橋の御両親の手元に戻す事が出来ないか… その為なら、自分に出来る事は何でもする、というお気持ちです」
「・・・・・・.」
「それが、自分が窮地の時に日本で世話になった健一坊ちゃんと御両親に対するお礼返しなの… と何度もこの私に言っています」
「有難い事だ… 王女に災いが及ばなければ良いが、と気にしているのだ」
「王女は自分の事よりも健一坊ちゃんの喜ぶ姿を大事にしていらっしゃるようです」
「そうか…」
(続く)