健康とくらし問題セミナー運営委員会が主催する「第9回医療・病院・介護問題セミナー」に出席しました。
第一講座は「地域医療構想と公立病院の現状と今後」について、自治労法律対策労安前部長の白井桂子氏の講演。
厚生労働省が昨年9月26日に発表した再編統合が必要な424の病院は、「診療実績が乏しい」「代替する民間病院が近くにある」などを基準とし、当初は今年(2020年)9月末までに統合・再編の結論を出すよう求めたが、全国から批判が集中し、年を明けた1月17日に「公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証等について」通知した。
この中で、「地域医療構想調整会議における地域の現状や将来像を踏まえた議論を活性化させることを目的に、公立・公的医療機関等の高度急性期・急性期機能に着目した診療実績データーの分析を行った」とし、具体的な対応方針の再検証について「地域医療構想調整会議において、当該分析だけでは判断し得ない地域の実情に関する知見を補いながら議論を尽くされたい」とし、期限は棚上げとなった。
また、総務、厚生労働の両省は昨年12月24日第3回「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」を開催し、民間病院のデーターを年明けできるだけ早い時期に都道府県に提示するとした。その公表については都道府県に判断が委ねられている。
白井氏はこうした流れを受けて、①そもそも機械的にできるものではない、⓶診療実績を検討するのではく、そもそも地域医療構想が前提になければならない、③公立だからできる医療があることを指摘した。
第二講座は、「困難にされている介護事業所と介護利用者の実態」について、すずかけの家理事長の千木良厚子氏が報告した。
介護事業を取り巻く状況について・・・介護保険制度は2000年に始まり、「介護の社会化」というスローガンとは裏腹に「社会福祉の商品化」「営利事業化」「応能負担→応益負担」へ変った。お金がなければ十分なサービスは受けられなくなった。国が推進する「地域包括ケアシステム」は、財政的な公助の限界から、自助・互助・共助の推進である。
施設を取り巻く状況・・・「経営難」「人材難」「増大する事務量と責任」で、経営難から倒産する事業者が増えていることなどが報告された。
第三講座は、全国労働安全衛生研究会代表の山田厚氏から「医療・介護・国保の再編成とは」についての講演。
国は社会保障費の削減のため社会の需要と供給の仕組みを壊し、公的病院の役割を縮小・廃止、そして営利市場化して、国民には自己責任と助け合いを押し付けていることを説明した。
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