坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

花の季節に「三岸節子展」

2010年05月30日 | 展覧会
薔薇の美しい季節になりました。犬の散歩を兼ねて住宅街の庭のガーデニングを楽しんでいます。「花」シリーズでも人気の高かった三岸節子展が、東京展を終えて、岡山県立美術館(6月8日~7月4日)、名古屋・松坂屋美術館で、没後10年記念として開催されています。
鬼才とうたわれた夫の三岸好太郎の夭逝したあと、93歳まで日本やヨーロッパで制作し続け、室内画や心象風景など力強い生命感を絵画にうたいあげました。心の旅路を綴った新たな三岸節子像が浮かび上がります。

愛すべきアニマルズ!

2010年05月30日 | アーティスト
どこか愛嬌のある動物たち。擬人化でもなく、その存在感と野性味は抜群。「三沢厚彦 アニマルズinTochigi」今年の初め栃木県立美術館で開催されていた展覧会に出品した作品です。くすのきの大木から掘り出された力強いノミ跡をそのまま残し、そこに鮮やかに彩色されます。
ライオン、キリン、シカ、ウサギ、ゾウ、クマなど従来の塑像の作り方とは異なり、記憶やイメージの断片から骨格のラインがきまっていきます。彫刻はほぼ実物大に制作されます。そのイメージの元になるのが、ドローイングです。水彩画は下絵というより自由でリアリティにあふれもう一つの独立した作品となっています。