坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

美の方程式って・・・

2010年05月18日 | アート全般
海の泡の中から生まれたギリシャのヴィーナス像は女性像の美の規準でもありました。身体は宇宙であるといいますがいろいろ数理的にも理に適っているようです。生物多様性の文字が新聞でよく見られるようになり、身近な動植物に目をやると、その「かたち」の不思議さ、自然の摂理を感じさせ、神秘的な感じさえします。巻き貝の螺旋形は本当に美しい。オランダ17世紀に静物画が確立されたときも、貝殻はいろんな場面でモチーフになっています。らせんは完全な相似成長とか、自然の形を科学する本は、高木隆司さんが書いていらっしゃいます。そこから一挙にフェルメールの作品に触れてみますと、幾何学的、数理的な美の規準で人物の配置、手の位置、空間構成がなされていることが解明されています。数理方程式と写実技の極致が豊かな普遍的美を生みだしたのです。

アンリ・ルソーが子供の絵を描くとちょっと不思議!?

2010年05月18日 | 展覧会
まさしくアンリ・ルソーの絵です。子供が正面を向いて画面に大きく描かれ、左手にはマリオネットを持っています。平坦な色づかい、従来の遠近法ではなく画面の細部まできっちりと描きこまれています。とても色彩が鮮やかできれいですね。(画像なので分かりにくいですが)「赤ん坊のお祝い!」(1903年)。ザ・コレクション・ヴィンタートゥール展(世田谷美術館・8月7日~10月11日)に展覧される作品です。モダン絵画の殿堂といわれるスイスのヴィンタートゥール美術館のコレクションからゴッホ、ルノワール、ピカソ他の近、現代の巨匠の作品90点が展覧され、日本初公開の作品ばかりです。このルソーの絵も新鮮でおよそ100年前に描かれたと思われない現代的な感覚があり、ちょっと不思議な感じ・・。ピカソもびっくりです。兵庫県立美術館(10月21日~12月26日)他巡回。