坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

エコール・ド・パリの画家を名古屋で

2010年05月24日 | 展覧会
全国的に今日は雨模様で、薄く煙るような色合いは、にじんだ淡い色調のパスキンとよくお似合いです。名古屋市美術館の常設展で鑑賞できるエコール・ド・パリの画家、ジュール・パスキンの作品です。当美術館では、同時期パリで活躍した郷土作家荻須高徳との関連で、モディリアーニ、シャガール、ユトリロ、キスリング、ローランサン、フジタらの作品のコレクションに力を注いできました。第一次世界大戦から暗雲漂う次の大戦の短い期間に、パリのモンパルナスにヨーロッパの各地から集った気鋭の画家たちがそれぞれの芸術を競い合いました。パスキンはブルガリア生まれで、女性像に独特の感性を発揮した画家ですが、どこか郷愁を誘う抒情的な雰囲気を醸し出しています。この夏は「あいちトリエンナーレ」が開催されますが、いろんな折に美術館の常設展でお気に入りの1作を見つけてみてはいかがでしょうか。