坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

曽谷朝絵展と福田美蘭展

2013年08月16日 | 展覧会
掲載の作品のように色彩の海をつくりだす曽谷朝絵さん。
初期においては、バスタブや窓に流れる雨粒など日常の一こまを描いていましたが、近年では、より抽象性が増し、光と色彩に満ちた絵画とインスタレーションを展開しています。観る者の体が光に包まれたような感覚を与える曽谷さんのパワーアップした作品が楽しめます。
一方、福田美蘭さんは、最年少での安井賞や、国際展でも受賞し、早くから注目された作家です。
美術史や歴史、社会的な事象などを引用した独自の絵画性をひらいてきました。
当美術館のリニューアル後の現役作家の最初の第一弾の展覧会となります。

◆曽谷朝絵展/開催中~10月27日/水戸芸術館現代美術ギャラリー
◆福田美蘭展/開催中~9月29日/東京都美術館

番外編です

2013年08月16日 | 展覧会
残暑お見舞い申し上げます。
東京からロマンスカーで1時間半、小田原にいってきました。
小田原港は小さな漁港ですが、新鮮な魚のどんぶりものなど
食べさせて頂き、昔ながらの雰囲気を感じました。
ランの温室ガーデンで有名な小田原ピクニックガーデンでは
思いがけずすがすがしい花々に出合いました。、

埼玉県立近代美術館の常設展

2013年08月13日 | 展覧会
お盆休みで美術館に行かれる方も多いでしょう。大きな国際展もいいのですが、ちょっと気軽に立ち寄り、じっくり鑑賞するのもお薦めです。
ちょうどいい私的な空間が、北浦和(埼玉)駅近くの埼玉県立近代美術館。
季節によって展示替えされ、モネの積みわらやシャガール、キスリングの逸品が見られます。生誕100年を記念して、点描派の高田誠の代表作なども並べたコーナーもつくられていました。
気軽に入って、名作を楽しめる常設展でお薦めです。

再興院展100年記念 速水御舟

2013年08月11日 | 展覧会
約40年という短い生涯のなかで、独自の写実的絵画館を確立した速水御舟(1894-1935)。同展では、御舟が発表の場とした再興印展で共に活躍した画家たちとのかかわりを軸に、御舟芸術の変遷を紹介します。
重要文化財の「炎舞」、ゆらゆらとうごめく炎に集まる餓の幻想世界も紹介されます。
◆開催中~10月14日/山種美術館(広尾)

古径と土牛

2013年08月09日 | 展覧会
日本画の線を「内にこもった精神を表わし、また「対象の実在をあらわす」とする小林古径(1883-1917)は、端正かつ清潔感のある世界を築きました。本展は、小林古径(1883-1917)の生誕100年を記念し開催されます。
古径(1883-1957)とは、兄弟弟子であった奥村土牛の作品群も併せて展覧され二人の画業の比較されるのが、興味深いです。
この時代は、西洋的画風が流入し、それを摂取しながら、日本画の新たな地平を模索する時代でした。

◆古径と土牛/10月22日~12月23日/山種美術館(広尾)

描かれた富士

2013年08月08日 | 展覧会
古くから日本の心の象徴である富士。世界的にみても、これだけ優麗で孤高ある姿の山は、見当たらないでしょう。
6がつには、世界遺産に登録され、この夏は入山者が増えているようです。
富士は、人の心を映します。暁に夕闇に千変万化の姿に、これまで多くの画家が挑戦してきました。
奈良時代から神々が宿る霊峰と崇められてきました。
今回は、世界文化遺産登録記念として、開催され、北斎や光琳、司馬江漢、横山大観などの描いた富士に加え、、「聖徳大使絵伝」に見られる日十など、時間を超えて描かれたその優美な姿に迫ります。

富士世界文化遺産登録記念企画 描かれた富士/開催中から8月20日


覚悟をもって生きること

2013年08月06日 | 展覧会
若い時は、本などでそういう人生論を呼んでいましたが、実際、年齢を重ねていくといろんな意味の覚悟をもっていかなければならないことが否応なしにやっています。
糸杉に、ひまわりに自己の魂を燃焼させ、30代半ばすぎで自殺したゴッホはもっとも覚悟を持って生きた画家の一人でしょう。
死に関する葛藤ではないのですが、私の内部にもいろんな葛藤が渦巻いていました。あまりにも人間的で母性の本能というものでしょうか。
それが解決したわけではないのですが、一つの区切りをみつけられるように今は思っています。
覚悟とは、自分の分身のように感じていたものの他者性を認め、尊重することでもあるのだということを感じます。
生きることのいろんな側面をみつめる年代に入ってきたと感じます。

カイユボット展

2013年08月06日 | 展覧会
印象派の擁護者として、蒐集に尽力したカイユボット展が、まとまった形で日本で初めてこの秋、開催されます。
実は、私ごとで書かせて頂きたいとことがあるのです。
私は、うつ病を患っていて、ひどい心配性に陥っています。娘がいるのですが、あることをきっかけに彼女の全般の安全性がきにかかるのです。
どなたでも、心配をされている方がいらっしゃると思うのですが、それが私の場合、異常なほどになっています。
このブログをお休みしたのもそれが原因の一つです。

都市の印象派とされるカイユボットについては、のちほどまた書かせていただきます。

少しずつですが、ブログを再開してみようと思っています。

◆カイユボット展/10月10日~12月29日/ブリヂストン美術館(京橋)