坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

この美術館にこの1点③バーネット・ニューマン

2010年05月07日 | アート全般
明後日は「母の日」で、花屋の店先では、赤やピンクのカーネーションの鉢が並んでいます。今は、青色のカーネーションもあるとか。初夏の日差しを受けて、自然の色彩も輝きを増すときです。色彩派として、60年代、アメリカの抽象表現主義の画家、バーネット・ニューマンがいます。この作品は、川村記念美術館(千葉)所蔵の「アンナの光」。横長の画面は6メートル以上あり、マーク・ロスコの部屋と共に、ニューマンルームとして、この作品のために一角がつくられています。単一な色彩に塗り込められた色面に「ジップ」という垂直の線が貫かれています。圧倒的な強度のある色彩の力。そこに画家はどのような思いを込めたのでしょうか。そうした一切のイメージを排除しようとしたのでしょうか。タイトルの
アンナは、制作の3年前に亡くなった母の名前がつけられています。

会津八一のうたにのせて、奈良の仏像展

2010年05月07日 | 展覧会
平城遷都1300年記念で、テレビで遷都くん見かけますよね。「奈良の古寺と仏像」-会津八一のうたにのせてと副題された展覧会が、この夏三井記念美術館(東京・日本橋)で開かれます。会津八一はよく知られた歌人であり、書家として多くの著作集を残した方で、よくご存じの方も多いでしょう。〈かすがのに おしてるつきの ほがらかに あきのゆふべとなり にけるかも〉などのうたに誘われて、大和路の心の旅に出かける、飛鳥から室町時代の仏像45点他の仏教美術の奥深さに東京都心で触れることができます。うたに興味のある方は、早稲田大学会津八一記念博物館に出かけられても。展覧会の会期は、7月7日~9月20日。