坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

ピカソ作品、過去最高額で落札

2010年05月05日 | アート全般
ニューヨークのアートマーケットの活況を知らせるビッグニュースが飛び込んできました。サイトなどでご覧になった方も多いでしょう。ニューヨークの競売商クリスティーズのオークションに、ピカソ「ヌード、観葉植物と胸像」で、愛人マリーテレーズ・ワルテルを描いた1932年の作品。日本円にして101億で落札されました。落札主は公開されていません。ピカソは生涯7人とも8人とも言われる夫人、愛人の間を行き来したことは有名で、新しい愛人に触発され作品も変貌していったのです。この作品の2年前からマリーテレーズとの関係は始まっていて、前妻オルガとの二重関係で苦しんだ時期。マリーテレーズのイメージを豊かな丸みを帯びたゆったりとした曲線で描いたピカソ。新たなインスピレーションの源となった恋人の官能性?に満ちたヌード。

この美術館にこの1点② ミレー

2010年05月05日 | アート全般
いきなり夏日で、猫もぐったりの暑さかな、ということで、またペットネタですか?と思われるかもしれませんが、早くも国内美術館コレクションのお気に入りの絵画を取り上げる2回目。ぐったりと連休疲れの方もいるかもしれません。そういうときは安らぎのミレー作品はいかがでしょう。近現代美術コレクションでも定評のあるニューオータニ美術館から、ジャン=フランソワ・ミレーのパステル画「田園に沈む夕陽」(1865-67年)。荘重な趣の中に刻々と変化していく光の変幻をとらえた逸品。印象派の画家たちに影響を与えたミレーならではの大地と空の永遠性をみつめます。