賦初何連歌（巻7、平成28年12月10日満尾）

初折表
発句	山ぎはをなほ染めまさる時雨かな	路光
脇	散りみ散らずみもみじ葉の道	鑑
第三	都へとはるけき旅をかさねきて	梅豊
第四	肩の荷おろしいざ休らはん	和雄
第五	やゝ深く霧たちこむる村里に	直人
第六	下る瀬川の音ぞさやけき	路光
第七	波の上いざよふ月を舟に見て	南天
第八	東の空に初雁のつら	春華
初折裏
第一	そよ風にふくらむ袖やかろからむ	鑑
第二	南大路をすぐる御車	直人
第三	思ひ人濡れつつゆくかさみだれに	梅豊
第四	夕凪に待つ夫の歌声	春華
第五	今宵こそ心のうちを伝えばや	鑑
第六	笹のさやぎもとくるせせらぎ	和雄
第七	神さぶる賀茂の社にぬかづきて	直人
第八	幣たてまつれ貴き宮人	南天
第九	降る雪のやう〱にしてやみぬらし	梅豊
第十	凍りて出づる山の端の月	和雄
第十一	古寺の鐘を遠くに聞きなして	直人
第十二	若草を踏むころとなりにき	南天
第十三	駒とどめしばしながむる花の雲	梅豊
第十四	童の遊ぶうららなる野辺	鑑
名残折表
第一	ながき日を重ねていくつ髪白し	初瀬
第二	つばらつばらに物思ふとき	純一
第三	屋端よりもれ来る琴は誰やらむ	和雄
第四	ひと目なりとも逢ふこともがな	直人
第五	下燃えをしのぶことこそ哀しけれ	路光
第六	こころのたけを筆に尽くさむ	素拙
第七	ほととぎす待兼山に鳴きにけり	かず
第八	にはかに曇り光るいかづち	鑑
第九	雨降りて宮の若葉の色ぞ濃き	純一
第十	ふるさと遠きかりふしの空	初瀬
第十一	ひとりただ大き広野を分けゆかむ	路光
第十二	霧晴れわたる夕暮の湖	和雄
第十三	静かなる水面に月のたゆたひて	純一
第十四	すみぞめ衣秋風ぞうつ	春華
名残折裏
第一	虫の音のしげき山路のおそろしや	鑑
第二	小笹をぬひて帰る仮庵	直人
第三	したはしき竃の煙たつやらむ	路光
第四	春日を追ひてさすはまほろば	和雄
第五	やはらかきはだれにのこる雪ながら	初瀬
第六	若芽はぐくむ川のせせらぎ	素拙
第七	花咲きて水温みゆく谷あひに	春華
挙句	里よりひびく畑返す音	かず