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モーツァルトの歌劇2:《偽りの女庭師》 K.196

2009年03月03日 | モーツァルト
この『偽りの女庭師』という邦訳が一般的だが、あまり良い訳でないようで、他に『愛の女庭師』『恋の花つくり』『にせの花作り女』と訳されることもある。イタリア語のオペラで原題”La Finta Giardiniera”。モーツアルトのオペラ・ブッファ(世俗的内容の喜劇オペラ)第2作。19歳の誕生日前に書かれた作品。初演は1775年1月13日、ミュンヘンのサルヴァトール劇場。

(2004年新国立劇場「愛の女庭師」パンフレット)

あらすじは、
「ベルフィオーレ伯爵は許嫁を刺し殺したと思って逃亡。実は彼女は生きていて、庭師に身をやつして、従僕と共に別の土地で暮らしている。そこの市長は彼女にぞっこん。また市長家の女中はしたたか者。ベルフィオーレ伯爵と市長の姪の結婚話が進んでいる。ひとりの騎士がこの姪を追いかけている。最後は三組のカップル成立にたどりつくが、市長はあいかわらずひとりぼっち、・・」という楽しいドタバタ喜劇である。

なんとも他愛もない話で、結局馬鹿にされるのは市長ということになる。どこか「フィガロの結婚」と似ている。このオペラはバイエルン選帝侯に依頼されたもので、その選帝侯の目の前でこんな作品を上演したモーツァルトに、なにか図太いものを感じるようだ。
しかし、このオペラはモーツァルト存命中にたった3回しか上演できなかったという。
上演時間は約3時間10分。

<私の好きなアリア>
第1幕第3曲アリア「胸のうちにわしが聞くのは」(市長)
  熱い想いをフルートとオーボエの掛け合いや、ビオラ、トランペットやティンパニーの響きなどを織り交ぜながら歌うアリア。
   大げさな管弦楽の伴奏が喜劇的で面白い。
第1幕第11曲カヴァティーナ「雉鳩は嘆く」(サンドリーナ)
  故郷から遠く離れた境遇を嘆いて歌う、このオペラ一押しの美しいアリア。
  『フィガロの結婚』の伯爵夫人を思わせるカヴァティーナである。
第2幕第13曲アリア「罰してやりたい、恥ずべきあなたを」(アルミンダ)
  ファゴットとオーボエのやりとりと、ホルンの小気味良い伴奏で、
  オペラのなかで最も激しく悲痛な音楽になっている。
第2幕第21曲アリア「残酷な男たちよ」(サンドリーナ)。
第2幕第22曲カヴァティーナ「涙と嗚咽で」(サンドリーナ)。
  サンドリーナが続けて嘆き悲しむ歌だが、変化があって美しいアリア。


<この演奏を聴く> DVD
指揮:アーノンクール、演奏:チューリッヒ歌劇場・シンティルラ管弦楽団
チューリッヒ歌劇場 2006年2月
演出トビアス・モレッティ
市長(ルドルフ・シャシング)、庭師サンドリーナ(エヴァ・メイ)、伯爵(クリストフ・シュトレール)、アルミンダ(イザベル・レイ)、ラミーロ(リリアーナ・ニキテアヌ)、セルペッタ(ユリア・クライター)、ナルド(ガブリエル・ベルムデス)

元々の設定は18世紀中頃のラーゴネーロを舞台にした話だが、今回のは平々凡々とした現代化バージョンの演出。3時間を越えるとりとめのない内容のわりには変化が乏しい舞台である。第1幕はいばらが散らばる舞台で不毛の愛のゆくえがたんたんと演じられ退屈気味だが、それがねらいかも。
いくつかのきらりとしたアリアを楽しむしかないようだ。
第2幕第20曲アリア「この世を楽しもうと思うものは」(セルベッタ)で、
セルペッタ(ユリア・クライター)が歌いながら梯子を登り2階ボックス席まで上がるシーンは見もの。
よくも歌いながら出来るものだと、高度恐怖症の私はヒヤヒヤして観た。
第2幕フィナーレで、暗闇の中を手探りで相手を探すシーンは、
後の「フィガロの結婚」フィナーレの描写と似ていて興味深く感じた。

余談になるが、2004年10月23日(土)新国立劇場で「愛の女庭師」(主催:モーツァルト劇場、指揮:大井剛史、演奏:アンサンブルofトウキョウ、サンドリーナ:鵜木絵里、アルミンダ:菊池美奈)を観劇していたその時に”新潟県中越地震”が発生し、客席でゴーという音と天井と舞台の袖がゆれて驚いたことがある。その時、舞台上では何事もなかったように演じ続けていたのには感服した思い出がある。





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