ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

時間旅行 霧笛130号から

2019-08-16 22:21:47 | 2015年4月以降の詩

ハイウェイを走る

黄昏時西空に陽は落ちて

まるで夜空へ続く滑走路みたいに

いつのまにか流星のひとつになったように

 

フェンダーローヅの音色が

子どもじみた白昼のおしゃべりを

大人の時間に誘い込む

 

東京ローズの息子がいっとき住んでいたとかいう港の街へ

ハーバーライトが微風のなかできらめく街へ

すべての思い出を思い出して

あなたをもういちど

わたしのライフへ掠め盗る

 

ボズ

今でもギターを弾いて

透きとおった張りのある甘い声で歌っているかい?

助手席の女を口説かないのに口説く

みたいに

 

前を行く車のテールランプを追いかけていくと

いつのまにか

夜空へ続く架空のハイウェイを滑らかに滑って

流星になって

深い闇の中に落ち込んで

燃え尽きる

燃え尽きることなく

彗星になって

永劫の楕円軌道を廻り続ける


最新の画像もっと見る

コメントを投稿