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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

上杉謙信の山城がある髻山で人知れず咲くセリバオウレン。セイヨウミツバチとヒオドシチョウ(妻女山里山通信)

2023-03-16 | アウトドア・ネイチャーフォト
 上杉謙信の山城がある髻山(もとどりやま)へ、人知れず咲くセリバオウレン(芹葉黄連)の撮影にでかけました。最低気温が0度、最高気温が19度で快晴。自律神経失調症と花粉症で体調は最悪。それでも2年ぶりのセリバオウレンの大群生地ですから気合を入れて向かいました。予想通り満開でした。

 セリバオウレンの雄花。セリバオウレンは、キンポウゲ科オウレン属の多年草。葉はすべて根生し、2回3出複葉。雄花と両性花があります。これは雄花。花びらのように見えるのは5枚の萼片で,その内側の淡い黄色の9〜12枚が花弁なのですが、遠目に肉眼で見るとほぼ純白です。中央の赤紫のものは、退化した雌しべ。

 花は1センチもないので、撮影ターゲットを探すのが大変です。セリバオウレンは薬草で消炎、止血、精神不安などの薬です。健胃(けんい)、健胃、整腸薬として消化不良や下痢止めにも用います。有効成分は、アルカロイド(ベルベリン)、パルマチン、コプチシンなどです。

 両性花。外側に雄しべ,内側に雌しべ。極稀に雄しべのない雌花があるらしいのですが見つかりませんでした。

 これも両性花ですが、赤紫色をしています。

 もの凄い数のセイヨウミツバチが舞っていてブンブン羽音がしています。後ろ脚には大きな花粉団子。

 退化した雌しべの赤紫が美しくなまめかしい。

 これは雄しべだけ。退化した雌しべがほとんど無いものもあります。朝露に濡れて光っています。

 芹葉黄連という名前の由来ですが、古代にはカクマグサ、ヤマクサと呼んでいたそうですが、中国名の黄連と、同じ植物と間違って、黄連の名をあてたといいます。「本草和名」や「和名妙」に記述があります。また、江戸時代の貝原益軒は「大和本草(1708)」で、「日本の黄連性よし。故に中華、朝鮮にも日本より多く渡る。中華の書に日本産黄連を良とす」と記されています。

 気温が上がってきたらヒオドシチョウ(緋縅蝶)が現れました。成虫で越冬した個体です。ヒオドシチョウはセリバオウレンの花粉は吸いません。猪の糞とか樹液を吸います。

 クヌギの林内にある群生地。落葉期なので春の日差しを目一杯浴びているセリバオウレン。この群生地を発見したのは2018年。最初ひとりで探しに来たときには見つけられませんでした。登山道からかなり離れていますし、藪こぎしないといけません。息子と探しに来てあちこち彷徨ってやっと見つけました。

 小さな雌しべが見える花と雌しべがほとんど無い花。

 林立する花。葉は立ち上がらないので見えません。

 雄花ですが、退化したはずの雌しべが大きくなっています。

 花が小さく花粉も少ないので花から花へとせわしなく飛び回っています。そのため撮影は難しいです。口で花粉を集めて後ろ脚に付けるのでしょうか。

 雄花ですが、こんなに雄しべが多い花は初めて見ました。しかし、よく見ると他にもあります。雄しべの数もバラバラです。

 昨年の夏に息子達とオートキャンプで訪れて登った三角の笠岳。手前はリンゴの木。花粉が舞い始めたので、後ろ髪を引かれつつ帰ります。

 妻女山の展望台から髻山。髻山の名前の由来や植物は、拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』で詳しく記しています。今回は体調不良で山頂は行きませんでしたが、山頂含めあちこちに山城の遺構が残っています。4月にはカタクリが咲き乱れ、シロバナオドリコソウやアズマイチゲの群生も見られます。瞼がバリバリです。胸から上がジンジン痺れています。花粉を洗い流しに温泉へ向かいました。

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