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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山陣場平の不思議なセリバオウレン。貝母の成長と蕾。タネツケバナとダンコウバイ。ニホンカモシカと邂逅(妻女山里山通信)

2023-03-21 | アウトドア・ネイチャーフォト
 春分の日は晴れから曇へ。WBC準決勝の日本メキシコ戦を横目に妻女山の陣場平へと向かいました。土曜日にかなり雨が降った様で林道は泥濘状態のところも。洗車したばかりの車が見事に泥だらけになりました。

 以前案内したことがある野草好きの女性と邂逅。陣場平のセリバオウレンと貝母(編笠百合)を見にきたそうです。その彼女から面白い色のセリバオウレンがあると聞き行ってみました。両性花ですが、萼片の先が赤紫色です。これは初めて見ました。セリバオウレンは個体変異が多い植物ですが、こういう花は髻山でも見たことがありません。貴重です。

 肉眼では雄花に見えたのですが、拡大してみると両性花です。右下に小さな水滴がついた蜘蛛の糸が見えます。花の左にその蜘蛛がいます。小さな蜘蛛ですね。肉眼ではほとんど見えませんでした。

 雄花。退化した雌しべも見えません。純白で美しく清楚です。陣場平のセリバオウレンは、髻山の様な大きな群生地ではないので、気をつけて見ないと目に入りません。踏まないようにお願いします。

 陣場平入り口の真っ先に芽生えて咲く貝母。11日と比べると10センチ以上成長しています。最終的には60〜80センチぐらいになります。

 陣場平の貝母も順調に成長しています。川中島の戦いで上杉謙信が本陣としたと伝わる場所です。

 昨年、球根を移植した場所。芽吹いてくれました。今年も移植作業をします。

 今にも咲きそうな蕾。今年は開花がいつになく早まりそうです。見頃は、4月5日から20日頃かと思います。

 堂平大塚古墳の白梅。花桃も蕾を付けています。千曲市のあんずの里の開花情報は、3月30日ですがもう少し早まるかも知れません。実はこの日が開花日でした。山を下りると近所の杏が一気に開花していました。30日は満開でソメイヨシノも咲きだすでしょう。どちらも観測記録上最速です。

 アブラナ科のタネツケバナ(種漬花)があちこちで咲いていました。苗代をつくるために種もみを水に漬けるころに花が咲くということからの命名。お浸しやサラダなどで食べられます。

 あちこちでダンコウバイ(壇香梅)クスノキ科クロモジ属。別名は、ウコンバナ(鬱金花)、シロヂシャ。同じクスノキ科シロモジ属のアブラチャンよりやや花が大きく花柄がありません。枝を折るとダンコウバイは肉桂、アブラチャンはメントールの香りがします。雌雄異株。

 雄しべが大きく花びらから出ているので雄株でしょうか。観察にはルーペが必要です。花粉が飛びそうなので下山します。

 下山中の最後のカーブを曲ったら目の前にニホンカモシカがいました。リョウメンシダを食餌中だった様です。驚いて逃げましたがすぐに止まってこちらを観察。牛科だからか好奇心が強いのです。手を降って気を引きながら近づいて撮影。この後ゆっくりと斜面を下っていきました。14年前に帰郷して最初に出会ったマダムから4世代か5世代後の個体だと思います。三世代に渡って双子を生んでいた珍しい一族です。

 スギ花粉を落としに温泉へ行く途中で千曲川と北アルプス。左に爺ヶ岳、右に鹿島槍ヶ岳。鴨などの冬鳥は北へ旅立ちました。途中のラジオで日本のサヨナラ勝ちを知りました。サッカー小僧ですが、応援します。→日本優勝おめでとう!

「身欠き鰊のコンフィと蕗の薹と菜花のアンチョビーパスタ」です。蕗の薹は陣場平で、菜花は直売所で。身欠き鰊を洋風にいただくのはありです。山菜は味も強いのでクセの強い魚や肉とよく合います。

 翌日の22日はWBC決勝。日本vsアメリカ。優勝を見届けてから妻女山の陣場平へ。写真は貝母を発見した最初の場所。当時は四畳半か六畳ぐらいの群生地でした。荒れた雑木林をきれいにしてここまで増えました。今年は移植した貝母も芽吹いたので、4月5日〜20日の見頃には壮観な景色が見られると思います。貝母が満開のときには周囲のカスミザクラ、ヤマザクラ、オオヤマザクラも咲きます。近くにはヤマエンゴサクの群生地も。珍しいハナヤスリも。林道を歩くとカタクリの群生地もあります。保全作業は群生地のノイバラの除去。2時間ぐらいやりましたが、これが3月かというほど暑い。終えて下るとなんと最高気温が25.4度。夏日でした。この暑さで近所の杏が一気に開花しました。二日後にはほぼ満開に。千曲市森のあんずの里は今週末から一週間ぐらいが見頃だと思います。

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