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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

山田牧場キャンプ場で2泊3日のオートキャンプ。笠岳登山も。アサギマダラに邂逅(妻女山里山通信)

2022-08-14 | アウトドア・ネイチャーフォト
 息子達が11日から13日の休みに信州の高山村の山田牧場でのオートキャンプに誘ってくれました。昔は妻の協力もありましたがほぼ全部私がプランニング。運転も私なので大変でした。今回は楽ちんです。料金など詳細は、ヤマボクグリーンサイトのホームページで。

 現地集合で、まずテントサイトを設営します。ちょっとすったもんだで設営完了。標高1500mなので、直射日光はきついですが気温は低く快適です。真夏の信州の高原は最高です。

 下山して小布施のツルヤで食材を調達。蕨(わらび)温泉に入りました。長男が1歳に家族で来た以来。変わっていたのは目の前の斜面がホップ畑だったのに耕作放棄地になっていたこと。これは悲しいです。山田温泉のスパ・ワインセンター(上の写真)でトロナスとかを購入。

(左)途中に信州人のソウルフード、テンホウの餃子を購入。緑色が野沢菜漬け入り、黄色が鹿肉入り。馬鹿旨です。(右)砂肝を切れ目を入れてシシトウと塩ニンニク炒め。馬鹿旨です。

 夕方5時ぐらいから宴会の始まり。アブやギンヤンマ、赤とんぼが飛び交っているのですが、ヤブ蚊がいないのが幸い。赤とんぼがたくさんタープのひもに止まります。夕方は降雨もなくゆるゆると夕餉の時間が過ぎていきました。息子達の趣味は、私が自然や山や生物、登山や自転車、クラシックやジャズ、アイドルと、グルメと幅広かったので、ちゃんと影響を受けて継承発展させてくれています。今は勉強になることもたくさんあります。

(左)ニタリクジラの刺し身。生姜醤油で。美味です。(右)空也上人 空也(くうや)は、平安時代中期の僧。阿弥陀聖(あみだひじり)、市聖(いちのひじり)、市上人(いちのしょうにん)とも称される。「南無阿弥陀仏」を唱えるとそ の一音一音が阿弥陀仏になったという伝説を彫刻化しています。次男が買い求めたもの。それと長男のランクルのラジコンカー。
東京国立博物館 特別展「空也上人と六波羅蜜寺」

(左)メインディッシュはキーマカレー。ひき肉、トマト、玉ねぎ、辛くない唐辛子を炒めて。エスビーのキーマカレーパウダーで炒めてできあがり。(右)ミニナンに乗せていただきます。クミンがすごく効いて本格的な味。これは家でも作りたい。信州のBBQというと、まずジンギスカン、信州牛、信州軍鶏、鹿猪のジビエとなるのですが、今回はその斜め上を行きました。個人的には旬の鮎を食べたかったのですが、いい鮎がありませんでした。信州サーモンもおすすめです。

 ご当地ビールや、次男が買ってきた秋田の香り高い吟醸酒でゆるゆると夜が更けていきます。気温は18度ぐらいで冷風が吹くのでジャケットを羽織りました。

 当夜は満月の一日前でした。9時過ぎに就寝。翌朝はトマトパスタで朝食後、笠岳へ向かいました。

(左)ソバナ(岨菜、蕎麦菜)キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草。 昔、飢饉のときに蕎麦の代用品として主食同様に用いられたそうです。(右)キツリフネ(黄釣船)ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草。妻女山では9月上旬に見られます。

 笠岳(2075.9m)。志賀高原のシンボル。国土地理院の表記では笠ヶ岳ですが、地元では笠岳と呼びます。分かりやすい山容は、妻女山展望台からも見えます。左の笠岳峠の茶屋手前に10台ほどの駐車スペースがあります。登り35分、下り25分が目安です。山田牧場からは、車で20分。峠を超えて行くと、熊の湯、渋峠、横手山方面へ。

(左)そしてヒカゲノカズラ(日陰鬘、日陰蔓、日陰葛)。胞子は石松子(せきしょうし)といい、薬用や果物などの人工授粉剤として用いられます。古生代のシダ植物の生き残りともいわれています。
『古事記』の天の岩戸で天宇受売命(アメノウズメノミコト)がたすきがけにしていたのが日陰葛(日影葛)といわれています。古代から注目を集めていたようで、万葉集には下記の四首があります。
「斎串立て 御瓶据ゑ奉る 祝部が うずの玉かげ 見ればともしも」
「あしひきの 山かづらかげ ましばにも 得がたきかげを 置きや枯らさむ」
「見まく欲り 思ひしなへに かづらかげ かぐはし君を 相見つるかも」
「あしひきの 山下ひかげ かづらける 上にやさらに 梅をしのはむ」

(右)ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)キク科ヒヨドリバナ属。アサギマダラが吸蜜に訪れます。

 山容を見て分かるように急登続きです。短距離ですが、ちゃんとした登山の装備で。花は、ホツツジ、ノリウツギ、コキンレイカなどが見られました。コケモモやシャクナゲ、イワカガミも咲くそうです。

 笠岳山頂。見晴らしは抜群です。長野盆地方面がよく見えます。左手には万座方面や嬬恋も。

 山頂から菅平の大松山。高原野菜のマルチが光っています。鏡台山と聖山は拙書でも載せています。雲がなければ、北アルプスの大パノラマが見えたでしょう。

 長野盆地方面の眺め。千曲川と犀川の合流地点が見えます。右に北アルプスの稜線が顔を出しました。

 東方には横手山(2305m)。山頂は雲の中。日本海と太平洋の分水嶺です。日本一高いところにあるパン屋さん「横手山頂ヒュッテ」が有名です。2002年に家族で渋峠からリフトで登った時はすごい行列でレストランには入れず、パンを買って食べた思い出があります。帰りのリフトで初めてニホンカモシカを見ました。

(左)イタドリ(虎杖)タデ科の多年生植物。東京の野川や里山でも普通に見られます。別名スカンポとも呼ばれる山菜の一種で、薬草でもあります。(右)運転を任せられるのは大きい。

 アサギマダラだというので止めてもらい撮影。散歩途中のご夫婦がきれいな蝶ですねと言うので、2000キロも海を超えて渡ってくる蝶なんですと説明しました。群れは見られませんでしたが、あちこちで目撃しました。拙書にも載せた米子大瀑布から根子岳、四阿山、浦倉山のカルデラ一周23キロ10時間のコースでは、浦倉山から下った水場で、数十頭のアサギマダラと邂逅しました。

 シロバナシナガワハギ(白花品川萩) 中央アジア原産の帰化植物。別名は、こごめはぎ(小米萩)。牧場脇の道路沿いにありました。アカツメクサとか牧場は帰化植物が侵入しやすいのです。

 下山して山田牧場へ。冬はヤマボクワイルドスノーパーク、スキー場になります。息子達は数え切れないほど滑りに来ています。里ではツバメがほとんど見られないのでどこに行ったのだろうと思っていましたが、山田牧場にたくさんいました。ツバメも猛暑で避暑に来ていたんですね。

(左)昼食は、手作りチーズ工房のある見晴茶屋へ。長男が1歳の頃、ここのソフトクリームを食べました。(右)息子達が頼んだのは、焼きチーズ牛丼。味噌汁にキュウリの漬物とキャラブキがつきます。けっこうボリュームがあります。

(左)私はホエー(乳清)キャラメルピザを。酸味が美味しい。他には焼きチーズカレー、夏限定の手こねチーズパンやポテトのチーズ焼きなども。夕食用に焼きとうもろこしを買いました。(右)牧場の牛。昔に来た時には、ジャージー牛がいて、そのソフトクリームを食べました。

 牧場の記念碑の脇に咲くコオニユリ(小鬼百合)。根茎が美味しいので、食用にも栽培されています。これの百合根は本当に美味しいので、私も栽培したい。そして、温泉は中野のポンポコの湯へ。ここはサウナがあるので二回入りました。疲れも飛びます。中野の綿半スーパーセンターで買い物をして戻りました。

 キャンプ場に戻りました。テントサイトは、一番低いここと入口近くのキャンピングカー専用サイト、更に上の音楽ホールのあるサイトと3箇所。水場とトイレはそれぞれにあります。夜にタヌキが出るので、食べ残しやサンダルを出しておくと持ち去られます。5、6月には熊が出ることもあるそうです。平らに見えますが、けっこう凸凹なので最低地上高が低い車は要注意です。また、入り口へは相当な急坂なので、4WDがベストです。

(左)トロナスの焼きなす。麺つゆをかけていただきました。(右)正式名称は忘れましたが、パープルポテトとレッドポテト。味はキタアカリにはかないませんが、美味しいです。塩とマヨネーズで。塩辛があったらベストでした。

(左)ベビーホタテをどうしようと。結局私が五香粉(ウーシャンフェン)、中華出汁ペースト、ニンニク、生姜、胡椒でごま油で炒めました。これがビンゴ!入れてないのにXO醤炒めの様な味に。豆板醤があったらベストでしたね。(右)今回は揖保乃糸の冷や麦。麺つゆは綿半で吟味の末、マルヱのあごだしつゆに。3人ともアゴ出汁が大好きなので、これは大正解でした。左のホタテと一緒にいただくと、ちょっと不思議なエスニック冷や麦に。

 鯵の干物とか、お腹もいっぱいで夜は更けていきます。昨夜と違って台風の影響でしょうか、空は曇って月も星も見えません。この夜は近くでタヌキの鳴き声が数回聞こえました

 最終日の朝、昨日の車がかなり去って新しいクルマが増えています。5時起床で、エスビーのサバ缶のパスタソースでスパゲッティ。これ馬鹿旨でおすすめです。その後、テントを撤収して息子達とは別れて帰路につきました。

 マルバダケブキ(丸葉岳蕗)キク科メタカラコウ属の多年草。 蝶は吸蜜に訪れますが、鹿が食べないので山によっては大きな群生地を作ります。もちろん人間も食べられませんが薬草になります。他には、コバノギボウシやシシウドも咲いていました。キベリタテハが舞っていました。

 八滝(やたき)。山田温泉の10分ほど上流にあります。八段になって流れ落ち、総合落差は180mで、長野県一位。滝に日が当たるのは正午前後。この下には超有名な雷滝があります。2002年には家族で訪れました。それより以前に訪れた時は、手すりがなくスリリングな滝でした。滝の真裏を通れるのが人気です。帰って地元の温泉へ、昼はあんず店で大きな紅ズワイガニがなんと990円。マリンドリーム能では2000円はするものです。一番重いのをゲット、それと枝豆でランチを楽しみました。心配した台風は、北信はほとんど降雨も強風もなく平穏に済みました。旧盆は、信州丸茄子のおやきを作ります。

 信州は広いので各地でお盆の風習が異なります。旧埴科郡では、13日には夏野菜の天ぷらに塩イカの天ぷらが定番。加えてキュウリの粕もみなどを。ご先祖様に内緒で刺し身を食べたりします。明けて14日は信州丸茄子のお焼きを作るのが習わし。くっつかないようにミョウガの葉で包むのが定番ですが、写真の様に紫蘇の葉で包むのを考案したのは祖母でした。我が家ではそれが定番となり、母から妻まで継承され、子供達もこの味で育ちました。これは市販されていないと思います。また、ごま油、砂糖、塩を練り込んだ渦巻きかりん糖を作るのですが、これは中国の麻花兒(まーふぁーる)が元になっていると考えられます。ナスのおやきは、できたても美味しいのですが、余ったものを冷蔵庫に入れて翌日に冷え冷えのものも馬鹿旨なのです。付け合せは刻んだミョウガ。じつはミョウガは、ワラビ、ゼンマイ、フキと共に発ガン物質を含んでいます。薬味程度なら問題ありませんが、過食常食は問題です。漬物にするときはアク抜きをしましょう。
信州の夏の郷土料理。丸茄子(小森ナス)のおやき。伝統野菜を守れ!(妻女山里山通信) :ナスのおやきのレシピ

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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