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建築を旅する

銀座スウォッチ

2007-09-03 11:11:01 | Weblog
Swatch Boutique 銀座。
ニコラス・G・ハイエック センター。
設計は、坂茂氏(坂茂建築設計)

出来てからしばらくして近寄ってみる。


一番最下層は自由通路のようになっていて、表の大通りと裏の道を繋ぐ都市動線になっている。
「アベニュー・ドゥ・タン」って言うらしい。
油圧エレベーターが上下して上階のショップへ行くのだけれど、これが、エレベーター自体がショーウィンドーになっており、ショーウィンドーを見つつ、そのまま部屋が移動するようにエレベーターが登って行く。
すべてのブランドを一気にみれるのがいい。

床が動くって、アイデアとしては考えても、こうきっちり出来ているのが面白いと思うし、昔考えていた、いわゆる未来を感じる。



大開口は、坂氏お得意のシャッターにて開閉する。気持ちいい風が吹き抜け、銀座を忘れる感じ。
それに、『ブレゲ』や『ブランパン』、『グラスヒュッテ・オリジナル』、『オメガ』、なんかの高級ラインもあるけれど、たてもの自体はスウォッチらしい開放的なイメージ。

ただ、実際のところ、高級店にエレベーターで上がる、超目的性の高い導線となるので、一般の冷やかし的な入店は、非常に困難になっているだろうなあ。自分も結局地下へ向かって降りる油圧エレベーターしか使ってないし。(行き先は『スウォッチ』)まあ、銀座だからいいのかしらん。行ったら買うしかない感じだなあ。
上がって行ったら、『いらっしゃいませ』と、頭をさげて待っていそうで、ちょっとどきどきします。

商業施設の常識をあえて無視したような新しいアクセスで、これはこれで新鮮で、全ての階がヒエラルキーを持たず、均等に扱えるのは、すごいと思う。

14階建てで、上層階もいくつかのフロアーごとに同じ様なアトリウム空間があり、それぞれに植栽を配した壁面がある。
これは、単なる、エコロジカルなイメージなのか(まあそんな単純なことではないでしょうが)、それとも、なにかビルに冷却効果とかあるんだろうか?
働く人たちが癒されることは間違いない。

坂茂氏『僕は、紙もそうだが何かを発明するわけではなく、既存の材料や技術の読み替え作業を得意としている。2002年に三島につくった「ペーパーアートミュージアム」では、ドイツ製のグラスファイバーの二重のシャッターを使った。シャッターが開くと美術館が開く。部屋の間も全部ガラスの引き戸でできているので、それも開けると空間が平面的に連続するようになっている。』

三宅 理一氏が語っていた坂氏の特徴に、エンジニアとのコラボレーションをとてもきちんとしている事がある。
『おそらく坂先生は、日常的にさまざまな材料の原理を素直に見つめ、ヒントを求めているのだと思う。ただ、それだけでは何も始まらない。使えると思ったヒントをエンジニアと一緒に実際にアプリケーションにしていくことが必要なのだが、その作業を非常にきちんとやっておられる。そして決してあきらめない。何年かかっても絶対に実現するという頑固さ、信念の強さが、成功の秘訣だろう。』

なるほど、やはり坂氏はある方向で世界最高峰だなと感じました。

余談だけど、アトリウムの自由通路の床面に、天井から時計型の赤い光が落ちていた。
もしかしたらと思って、腕にあててみたら、ちょうどぴったり腕時計のサイズに!
いいねえ、こういうの。


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