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建築を旅する

ひねもす庵

2010-04-25 16:10:39 | Weblog
東秋留にある、『クラフトサロン縁』、そして、そこの店主の方が、たまにイベントなどをされている別邸、『ひねもす庵』にお邪魔してきた。

クラフトサロン縁は、その名の通り、工芸品や、素材にこだわった品を展示販売するお店。
すこし、お茶なども頂ける。


そこは、お世話になっている設計事務所が20年ほど前に設計をしたそうで、それもあって、勉強会のメンバーと共に、初訪問。

陶器、漆器で、とてもいいものがあり、魅かれる。


その中で、姿の美しい、ハサミが置いてあった。その名も『本種子鋏』
一緒に行った方が、以前ここで買い求め、使っているとの事。
手にもって、数回シャキシャキやってみる。とても心地いい音と、手触り。

種子島産のそれは、今で37代目という、伝統あるもので、時代を繰れば、刀鍛冶、鉄砲鍛冶でもあった工房の職人さんが、今は鋏をつくっている。
すべて手で切り出し、鍛えられた手づくりの逸品。他ではほとんど途絶えた手法のようだ。
切るたびに、鋏自体の擦り合わせで刃先を研いでくれるという、すごいもの。

しかし、残念ながら、後継者はおらず、今の代で無くなってしまうかもしれないとの話だった。

5寸サイズのものを購入する。



そうこうしているうちに、オーナーの女性の方が戻ってこられた。
設計者の勉強会のメンバーで来た旨を伝えると、友人の関係者ということで、同じ建物の住まいの部分を、特別にみせて頂けることになった。
(※当然、普段自宅を見せたりはしないし、頼んで出来るものではないので、ご注意。)

竣工してすぐのお宅は、何度か見た事があるけれど、実際にお住まいの空間はほとんど初めてだったので、非常に勉強になった。ありがたい。

とても、趣味の良いご夫妻で、素敵であった。
ちいさな猿のお面があり、聞いてみると、それは、若干27歳の天才能面師、新井達矢氏の作だと。
新井氏は、5年前に最年少で、『文部科学大臣奨励賞』を受賞。7歳の頃から既に面を彫り始め、すごい能面を作りだし、以来20年、独自の能の世界を作っているらしい。
ネットで、他の能面もみたけれど、ぞくっと寒気がした。魂が宿っている。すごい。

因に、新井氏の面を使った、お能をひねもす庵で行った事もあるらしい。
凄い雰囲気だったようで、再演されれば、絶対行きたい。


その後、ひねもす庵へ。



そとからは伺い知れないけれど、中は、天井が大きく曲線を描き、かまくらをイメージして作られたとの事がよくわかる作りとなっており、とても豊かで、居心地のいい空間となっている。

壁面は、藁すさ入りの荒らした漆喰仕上げ。
床や柱は、杉材。

別荘的な空間なので、生活感はそもそもあまり無いけれど、こういう家に住みたいと思わせる、落ち着きがある。
斜めに壁面造作や、据え付けのテーブルなどが走り、それほど大きいとは言えない空間に広がりと、多様性をあたえていた。
二階への階段や、ロフト的空間の面白さは実際に見てみないと、写真だけでは判らない。

ともかく、非常にいい空間。

5/1まではオープンハウスで内部の見学が出来るので、興味がある方は、是非。







きざみ

2010-04-19 10:15:13 | Weblog
先週末、建築の勉強会で、南千住の木材屋さんに見学に行った。
勉強会を主催している事務所が設計した建物の、刻み作業。

この材木店は、町中にあり、昭和25年頃に創業したらしい。

木材は、材料を選別し、製材し、乾燥させて、ようやく使用されるのだけれど、この行程を大工さんが、町中の狭い現場でやる訳にはいかないので、大工さんにとっても、ありがたい存在とのこと。
昔は、だいたいの作業は現場加工だったらしいけど、今は、そんなスペースがなかなか無いらしい。
それはそうだろうなあ。

この家は、ほとんどが無垢の米松を使用している。
かなり太く、長いサイズが必要で、ここまでの木で手頃なものは日本にはなかなか無くなってしまった。
杉材は、戦後に植えられたものが大きく育っているものもあるらしいので、杉ならば国産でも大きな材が出てくるかもしれない。
ただ、ほとんどの山が放置状態というか、杣人たる、手入れをする人が減ってしまい、どこにどのような木があるのかは、直接見に行って確かめるしか無い状態とのこと。

日本で木材は、海外のものよりも安く売りたたかれる様な事もあると聞くけれど、林業という日本の文化を守る意味でも、もっと無垢の材を使い、植えて、流通させて行くことが大事だなと感じた。




米杉の柱と、二階の床を支える梁の取り付き。ヒバ材の雇いほぞ。
この太い通し柱は、土台を貫き、基礎に直接立ち、棟木まで通る。昔はこういう材も手で持ち上げて組んだらしい。4人がかりだったそう。今は、やはりクレーンで。手作業の方が充実感があると話されていたけれど、とても大変な作業だったらしい。そりゃそうだろう。



鉄輪継ぎ。追掛大栓ほどは強くないが、前後左右に力が加わってもどちらへも持ちこたえる。
これは、軒桁。斜めに削られている部分に、垂木が乗るかんじで。


継いだ状態。しゃち栓をする。
継ぎの部分を削る時は、ドリルですこしづつ穴をあけて、ゆっくり木を空気に触れさせるらしい。そうすることで、急激な乾燥による反りなどを防ぐとのこと。

ここの棟梁の話だと、矩計などは描かないとの事。
柱の長さや、位置は、梁のサイズによって変わるのだけれど、ややこしくなるので、現場では、バカ棒という棒を使うらしい。
適当な木材の棒に、二階床の高さとか、軒高とか、いろいろラインを書き込んでいる、いわば、オリジナルの定規みたいなもの。
模型なんかをつくるときに、模型様の定規や補助具をつくったりすることがあるけど、そんな感じかな。


ずーっと使い続けられている、材木置き場。
そんなに高い材は無いよと話されていたけれど、掘り出し物の材が眠っていそう。
床は、土で、長年踏まれて、土間のたたきの様になっていた。

涼しくて、木の香りがして、居心地いい。


大工道具。
今や、このように無垢材を刻んで使う家は、ほとんど絶滅したと言ってもいいくらい少ないらしい。
刻みは、ふだんより大きめのノミを使うとの事。 豆鉋がかわいい。


色々とお話を聞いたけれど、最近の家は、90%以上、集成材を使うらしい。
メーカーは、クレームを恐れて、無垢材は使いたくない。
無垢材は、生きた材なので、動いたり、割れたり、脂(やに)を出してみたりする。
そこがいいんだけれど、一般には受け入れづらいようで、減少の一途。

集成材の方が、値段も高いらしく、時代は移り変わるんだなと思った。
ただ、接着剤でまとめた木を使う事は、やはり、抵抗がある。
接着剤だからなあ。

床材も無垢材で床暖房なんかは、ほとんどないようだ。
縮むっていうのが一番の理由だけど、多少すいても、歪んでも無垢がいいな。

乾燥の度合いが難しいらしく、本当は、建物を建てる現場に、一年くらいほったらかしにしておくと馴染んでくるらしい。
建物自体も、昔は組んでから、しばらく放っておいて、現場の環境に馴染んでから次の行程に移ったらしいけど、今は、そうもいかない。悩ましい。

ともかく、こういう家は、無くさずに続けていけるようにしたいな。








雪!

2010-04-17 07:20:21 | Weblog
今日は、起きたら雪だった。

なにやら、4月17日の東京の降雪は、41年ぶり、最晩記録に並んだらしい。

41年前も、前日は25.6度と真夏日。次の日が、雪だったそうで、20度以上も温度差があったみたい。


桜も終わったのに、雪。


地球の温暖化というけれど、地球がおかしくなってきちゃってるんですかね。
2月に夏の様な気温になり、4月に真冬の気温。

41年前とは、今はちがうんだろうし、極端な気候になって、これからどうなるんだろう。

41年前は異常気象だけど、これから、こういうのが風物詩になるんだろうか。


今朝、自宅から見た雪。
新緑に雪。ツツジに雪。


これは、先日、3月末に熱海~伊豆に行ったとき。桜の上に雪が降って、驚いた!






鉢あげ

2010-04-12 12:55:25 | Weblog
春らしい陽気になって、ベランダの植物も随分と育ってきた。

先日は、プシュキニアが続々と瀟洒な花を咲かてくれた。
細くって、花もたより無さげだけど、浅く、青みがかった白は、やっぱり奇麗。






それから、挿し木、どうなるかと思ってたけど、ほぼ全てに根がついたみたい。
色々と差しまくったので、どれがどれが判らない状態だったけど、葉が出て、ちょっと判りつつある。

3月中旬の状態。

これは、本日4月12日の挿し木。結構増えた!

メギは、最初から元気だったけど、一段と青々と葉を茂らせてきた。
そろそろ鉢あげをしないとな。
友人にミニ盆栽にしたら?って言われて、それもいいかな。


その横は、多分ネグンドカエデフラミンゴだと思う。ちょっとピンクがかっている。
それから、アナベル。アナベルは挿し木に向いているって話だったけど、確かにすぐに芽も出て、勢いがある。

あとはなんだかまだ判らない。
カタルパオーレアとかシモツケなんかも差した様な、どうだっけか?


一番驚いたのは、メギのローズグロー。
これは、弱くって、挿してすぐに葉が落ちてしまっていたので、駄目かなと思ってたら、芽が出てきた!
前に、室内で、ジップロックに入れて過保護にしてたらカビちゃった事があったけど、やはり外で鍛えた方がいいのかもしれないなと思った。

メギローズグローに小さい葉っぱ。


柿の木も、奇麗な新芽を出して、いよいよ春本番、新緑の季節だなあ。


今年も柿の葉の天ぷらでも食べますか。