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建築を旅する

ヴェルナー・パントン展

2009-12-25 12:15:53 | Weblog
ヴェルナー・パントン展へ行ってきた。

ヴェルナー・パントン、パントンチェアなどで有名な、60年代の代表的なデザイナー。

ヤコブセンのアシスタントをしていて、アントチェアの開発にも関わっているらしく、発見。


初台のオペラシティにある、東京オペラシティギャラリーへ。


毎年この季節、ツリーが登場。ジョナサン・ボロフスキーのSinging Manと。

オペラシティギャラリーは、キュレーションが好みで、企画が素晴らしいのが多い。
ここ数年だと、シュテファン・バルケンホール展よかった。
建築家の展示も、伊東さん、藤森さん、谷口吉生さんなど、結構やっていて、もしかすると、一番行っているギャラリー(美術館)かもしれない。
ギャラリー自体のサイズも展示空間としてちょうどよい感じ。

今までで一番感動したのは、随分前にやってた、2000年の宮島達男展。
メインにあった、青色発光ダイオードによる、Mega Deathは、今でも忘れられない感動的なインスタレーション。
ヴェネチア・ビエンナーレで初出品されたもので、2400個のLEDガジェットを使った大作であった。
ある地点に人が立つと、一気に光がおち、漆黒がやってくる。しばらくしてポチポチと蘇生する光の粒。
それが、一気にブワーーッと広がり、動き出す様は、いま思い出しても、ぞくっとする。
言葉を無くす圧倒的な感動。



ともかく、おもむきは全く違うが、今度のパントン展も楽しみにしていた。

プラスチック一体形成というのは、世界初の試みだったという、パントンチェアの完成度にあらためて驚いた。
あの時代に、これだけのものを発想し制作する。文字通り、時代を作ったパントン。


『1970年ケルン家具見本市での展覧会「ヴィジョナ2」で発表された伝説のインテリアを、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムがこの国際巡回展のために再現。』

上記で紹介されている、インテリアは、昔の雑誌なんかでよく観ていたけど、実際に体験できるのは、貴重であった。
すべてが、家具という概念から自由になって、人がそこに存在する為の場所をつくる感覚。
最近の住宅建築などもそうだけれど、空間づくりが自由で、本人も、洞窟の様なスペースと言う内容で語っていたけど、そんな感じ。原初の行動原理から見直されたスペースへのアプローチであると思う。

インテリアとは、スペースの創造であって、ただ椅子が置かれた部屋をつくるのでは無いというのが基本にある。
ノルウェーのアストリアホテルのインテリアは、非常に重要な作品で、壁面、床面、天井面が全て同じグラフィカルなパターンで覆われており、床・壁・天井という、構成要素の伝統から脱却し、一つのスペースとしての空間を志向、模索している。
『少なくとも、モダン・デザインの歴史においては、これほどラディカルなデザイン・コンセプトに匹敵するものはない。』
とのこと。


自由に、何処にでも、自分が心地よく居れる場所を作る事が、パントンには大事であった。
本人曰く、クラシックでも、モダンでも、ただ椅子が置かれているような空間はイライラするらしい。
『そこで一晩丸々過ごすことがわかったら、もう僕は部屋に入るとソファとコーヒーテーブルと二脚のアームチェアが並んでいるなんていう光景には耐えられない。』


そこから、このヴィジョナ2でのファンタジー・ランドスケープの様な空間が現れていくんだろう。

実際に再現された、原色で、うねうねとした、天地の無い空間にねっころがると、癒されるような、力がみなぎるような、自由を獲得できる気分になる。『色は形よりも重要である』とまで言い切ったパントン。
『人は好きな色の上に座った方が座り心地がいい』と。面白い。

光が落ち着いているので、刺激的でありながら、意外と居心地もいい空間。
靴を脱いで居るという感覚も、西洋だと画期的だったんだろうなと思う。

インスタレーション、コンテンポラリーアートに関心の深かったというパントン。

パントンが、美人の奥さんと、満面の笑みで自分の作ったリビングに居る姿は、印象的で、魅力的であった。




最小のパントンチェアのフィギア付き、図録。表紙の写真がファンタジー・ランドスケープ。



西麻布 魚よし

2009-12-17 09:58:19 | Weblog
西麻布にある、友人のご実家の魚屋さん。



昔から、献上用のお魚を扱っている、宮内庁御用達。


今年、引っ越しをして、新たに、目黒の庭園美術館の目の前にオープン。

それに当たって、内外装のデザインをお願いされ、ちょっと関わらせてもらいました。


最終的には、様々あり、デザイン案の通りに行かなかったところも多々ありますが、外装の雰囲気は残して頂きました。


j-waveのブログに写真が出ていたので、見てくださいませ。


http://www.j-wave.co.jp/blog/mp_news/2009/12/post_4852.html


トレジャー・シティ展

2009-12-12 11:26:42 | Weblog
トレジャー・シティ展に行ってきた。

http://treasurecity.net/

大学時代の先輩がディレクションをしている様で、誘って頂いた。
以前より、展示什器などの制作のお手伝いをさせてもらったりの縁もある。







トレジャーシティ展。
これは、時代と共に変化が著しい『新宿』という、熱い生命体の様な都市の記憶を捉え、作品化していく試みの様である。

『新宿という大都市に様々な手段で深く分 け入り、埋没した財宝(トレジャー)を発見する かのごとく、そこで体験したことを作品化』
しているとの事。

東京工芸大学、武蔵野美術大学、IAMASなど、大学関係の方々や学生さんも加わり、一つの『新宿』という、テーマでありあがらも、多面的な表現がされていた。


岐阜にあるIAMASの作品は、3Dモデル化された新宿の隙間を駆け抜けるような作品。
なんというか、複雑で雑多な都市形状から新宿を読み解こうとしている様な作品なのだと思う。
単純化された3Dモデルの中をバーチャルに動けるのだけれど、自分の目線の先は、何処までもビルを突っ切って、谷間が開ける様に新たな路地が出現する。
都市の断面という、普段お目にかかれない視点を獲得する。

他にも、新宿副都心の『陰』をモデル化し、建物を消失させたような作品などもあり、興味深かった。
なかなか無い視点。

上記は、新宿のスペースというか、造形的な都市に目を向けた作品だったが、やはり、新宿といえば、そこに集う人間のパワーがすごい。

中でも一番好きだったのは、H.584/IAMAS ロカティブメディア・プロジェクトの映像作品。
http://treasurecity.net/group/iamas/

そこに集い住まう人達のインタビューを交えつつ、時に生々しく、時にポエジーに、今の『新宿』を切り取っている。
正直、最近は、新宿独特のあの整備しきれない雑多な雰囲気にのまれて、また、どうにも捉えきれない闇の部分を感じもし、いつも落ち着かない感触をもっていた。夏は臭いし、冬も臭い。
ただ、学生時代には、そんな新宿が逆に居心地よく、常に通っている場所でもあった。

近頃、新宿に通わなくなり、自分自身が変化したのか、新宿から引いてみる様になった事で、認識出来ない不安定感の様なものが自分の中に増幅してしまったのかもしれない。

しかし、今回の展示で、歌舞伎町や新宿各所に生活する人達の生の声に触れる事で、また、新宿の雑多さが心地よく感じる様になった。
イメージの持つ力というか、人間の知覚に及ぼす影響を感じた。

今朝の新聞に、『カラーバス効果』という事が書いてあった。
カラーバス効果とは、特定の物や色等を意識することで、今まで見えなかったものが見えるようになる事らしい。
色を浴びる、カラーバスと。

たとえば、今日は赤を探して歩こうと考えると、思っても見ないほど、赤いものが世の中にある事に気づく。
普段は、見落としている視点。

都市を見るとき、今回の展示、トレジャーシティ展で得た視点の様に、自分の目線を一つ変えてあげることで、『埋没した財宝(トレジャー)を発見する』事が可能となるのだとあらためて知る事ができた。



結婚してから、タバコもやらないし、随分と健康的な生活になった。

だからかなあ、新宿は、ちょっと不健康がピキーンと来る街であるなと、視点はそこかもなと思いました。

それから、地元の方は、皆誇りをもっていた。やはり魅力の歌舞伎町。













表参道

2009-12-02 12:06:17 | Weblog
11/30は、表参道で、11年ぶりにイルミネーションが復活した。

昨日は、夜に時間が取れたので、妻の仕事終わりに合流して、その表参道へ。


地元の方の反対等もあり、一時期、無くなったイルミネーション。
確かに、車の中から見る人で、道路は大渋滞。今ではヒルズやミッドタウンでもやってるけれど、昔は、イルミネーションといえば、表参道といった感じで、とにかく人が多かった。

自分が初めて入社した照明デザイン会社のアトリエが、ラフォーレの隣のビルの最上階だったので、当時(ちょうど11年位まえ)イルミネーションを上から見下ろせて、凄く印象的だった。しかし、その年で最後となってしまった。
当時は、駅も通りも混雑していて、どうにかしてほしいなと思ってたりしたけれど、まさか無くなるとは思っておらず。


ともかく、思い出ふかいイルミネーションが、復活することは、個人的には喜ばしい。



世界中の羨望を集めそうなほど、ブランド系の名建築の増えた表参道。
プラダなんか、今見ても、非常に魅力的。傑作だとおもう。


妹島さんのDiorは、久しぶりに見たら、真っ赤に染まっていた。
クリスマスに合わせてやってるのかな。


写真は、携帯のカメラなので、ぼんやりしているDior表参道。

六本木ヒルズのLEDは、通常より出力をあげて、キラキラ感を増しているらしい。
表参道のイルミは、LEDだけど、昔の麦球の様な、おっとりと優しげな色をしておりました。


その後、少し早めのクリスマスって事で、ワイス・ワイス表参道の『カフェアノ』で、食事。
カフェアノは、東京で唯一の本格的チェコ料理専門店とのこと。

http://www.checkczech.jp/cafeano/
※定期的に、チェコアニメ上映会もやってるようで、気になる方はチェックして下さい。


チェコ人の女性が店長の様で、やさしく迎えて頂いた。

クリスマス限定のオリジナルビールを頂く。
あああ、うっまい。うまい。
ベルギービールの様な感じで、ちょっと甘みがあって、非常に美味しい。
ホールのチェコ人のお兄さんに、チェコはビールの世界有数の産地だと聞かされ、認識をあらためた。

ワインも、チェコワイン。
チェコワインってどんなもんかなと思ったけど、南方系の葡萄ではなく、チェコの葡萄を使うからか、若干色が薄い感じで、なんというか、ちょっと個性的な、さわやかな赤ワイン。
しかし、呑むほどにコクもあり、とても美味しいワインでした。

白ワインも、強め、辛めで、これも美味しいとこ事。


メインで頼んだ、兎の料理も、シナモンの効いた少し甘めの濃厚なソースが非常に美味しく、驚いた。
『兎のもも肉の煮込み ローズヒップ風味 カルロヴィヴァリ風クネドリーキ添え』

クネドリーキっていうのは、ゆでパンらしいんだけど、これもレーズン入りとかもあり、ソースによく合う。


ああ、チェコ万歳!


大学の先輩が卒業してすぐにガラス工芸の修行にチェコスロバキア(分裂前)に生活拠点を移して、何度か手紙を頂いてた中に、『建築をやるならヨーロッパを見ないと話にならない』と書いてあった。

先輩の見たチェコ、プラハのチェコ・キュビスムの建築をいつか見たい。