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建築を旅する

那須高原

2007-05-31 06:05:19 | Weblog
週末を使って、那須高原の友人宅へ夫婦でお泊まりに行く。
ジュエリーデザイナーをやっている大学時代のその女性は、那須の自宅で素敵な彫金の仕事をしている。
名のある人に師事したというだけあり、技術的にも観るべきものがあり、丹精であるなと関心する。
最近は和をモチーフにしたものを主体にしている様子。
結婚指輪も彼女に頼んだのだけれど、イメージ通りに完成し嬉しかった。

那須にせっかく行くのならば、観たい建築は山ほどあったのだけど、とりあえず、高原を楽しむ。
気候の良い那須は、高原らしく空気もよく、新緑がまさに燃えるように迫って来る。
ドライブには最高。昼食はペニーレーンなるビートルズ好きな店主の店へ。
テレビチャンピオンで優勝した事のあるベーカリーレストランであった。

名物らしいパンを買い込み、外でランチ。

いかにも高原でござーすな。
向かいにペットと一緒に泊まれるという瀟洒なホテルもあり、グレートデーンとボルゾイが並んで庭にいた。
でっかい!スケールが判らなくなるな。なんか、犬のハマーとフェラーリ観た感じ。

すっかり堪能した後は、ドライブ。
お茶しましょうということになり、二期倶楽部へ。
って言うと、高級リゾートホテルってイメージで近寄りがたい雰囲気だけど、カフェは外部の人も普通に利用出来るみたい。
二期倶楽部。1986年に6室からなる小さなオーベルジュから始まったかなりお忍びな風情のリゾートホテル。
いまや二期リゾートはレストラン事業もやっており、新宿のパークタワーの由庵などもそうらしい。
コンランとのつながりはその辺からあるのかな。

コンランが最近デザインした増築部分が気になる。

さっそく車で乗り付け(かなり判りづらい立地で迷ったけど)、駐車するやいやな、黒服のボーイらしき人がさっと近寄ってくる。
さすがと思いつつも、ちょっとばつが悪い。

カフェのみ利用で、中を見学させてほしい旨を伝えると快くOKをもらった。
うむ、さすが。教育がしっかりしてる、サービスが心地いいなあ。

コンランが手がけた東棟はまさにコンランの世界。
モダーンで上質なレセプションホール。ゆったりとしたソファー。
大きな開口からは木々がすぐそばに迫り、これぞまさに贅沢っす。


そこから少し森を歩く。自然でありつつも巧みに手入れされた気持ちのいい小道。
ほう、これか。モダーンですね。普通に素敵なコンランらしい東棟の分棟式のリゾートコテージ。



一度お泊まりしてみたい。

うろうろしていると中庭的な所で黒服のボーイさんにカクテルを奨められる。
車なので、かみさんと友人が頂いた。行き届いております。
ふらふらとたまに歩いている宿泊客の方々は、スパ帰りなのか、皆リラックスした部屋着のようなものを着ている。
森の中で急に出会うと、自然と服装のギャップにちょっと驚く。

敷地は広大で、テニスコートなどはもちろん、専用のキッチンガーデンや稲田もある。広大。なんと4万2千坪らしい。

敷地内の田んぼ。

渓流もある。

ぐるっとまわって、本館の方へ。カフェは本館にある。





坂道を上ると、栃木特産の大谷石に覆われた本館が見えてくる。

カフェ森のフォークは、オーガニックカフェ。
大人な雰囲気の心地いいカフェ。
これは、隠れ家的。基本的には宿泊客向けであるのだろう。
ソファーに腰掛け、コーヒーを頂く。ハーブティーがおいしいらしく、他の二名はそちらを所望して頂いておりました。


勾配のあるところの建築は面白い。
ここも、うまく地形を生かした建築で、既に20年以上経つのだと思うけれど、古びない雰囲気がある。
壁面はちょっと面白く、大谷石組にナマコ壁みたいに目地が浮き出ている。

那須あたりに点在する大谷石の蔵は、こんな作りのもあるのかもしれない。


有名な本館のパース。輪郭の無い池が特徴的。大きく張り出した屋根が東洋的な陰を落としている。

リゾートホテルの先駆者らしく、全てにレベルの高い空間であった。
本望。

夜は、温泉に入って、皇室御用達らしい、那須高原ビール園のビールを飲む。
うまし、うまし。



ニコラス・G・ハイエックセンター

2007-05-24 19:53:14 | Weblog
ニコラス・G・ハイエックセンター。

http://www.swatchgroup.jp/


先日銀座に行ったときに、この建物なんだろうな、すごいなと思っていたんだけど。
スウォッチとは書いてあったんで、オフィスかなと思った。

四層分の吹き抜けがガラスのシャッターで開閉できる様になっていたのと、緑化した壁面があったので、もしかしたらと思っていたけれど、やはり設計は坂茂氏。


今日、オープンという事で、記事が出ていたので、ネットでしらべてみて驚く。
思いついてもなかなか出来ないというか、学生の卒業制作の様な熱さで、実現している面白い施設だってわかった。

すごいとしか言いようがない、エクセレント!
尊敬します、坂さん。

それぞれのブティックに油圧エレベーターでアクセスするのだけれど、エレベーター自体が部屋であり、そのまま上昇する感じ。
コールハースの「ボルドーの住宅」の考え方のような、エレベーターを単なる移動手段ではなく、空間の一部として、積極的に表現している。漫画のアキラで、地下へ斜めに移動するエレベーターがあったのだけど、あんな感じもあり。
部屋ごと移動する感じとしては、全く関係ないかもしれないけど、ガンダムのコアブースターなんかちょっと発想が近い様な。ま、ちがうっちゃちがうけど、衝撃度はなんとなく似てる。

坂氏は、非常に情熱的で、だれもが彼の応援をしたくなるというような人柄だと、昔、本で読んだんだけど、まさにそんな人柄でなくては出来ない様な、贅沢なプランだと思う。
坂氏のカーテンウォールの家とか初めて見たときも、思い切りがいいなあと思ったけれど、これまた集大成、スウォッチの方々のハートを打ち抜いたんでしょうね。
銀座であの贅沢な空間(一階がほぼ通路)、それに、むき出しな感じで、四層分の油圧エレベータの精度とか、すごく難しいものを、公共的な空間で実現するのは、ただただすごい。

軒並みの高級ブィックビルが非常に古くさく見える。
中もちゃんと観に行かないと!



大阪 心斎橋 南堀江

2007-05-23 09:26:00 | Weblog
大阪出張。心斎橋に出来る新しいビルの中のテナントをやることに。
新大阪で新幹線を降りる。
故郷は京都なのだけど、直接新大阪で降りるのは、実は初めてで、久しぶりの大阪。
東京に慣れてしまってるので、関西は別世界という感じ。
同じ都市なのに、生き生きとしてるというか、おっさんも元気というか、懐が深いなと感じる。
あほでも、駄目でも居場所があるというか、失敗してもいいよという、暖かさみたいなものがある。
笑いと関係してるのかもしれないけど、「ええんちゃう」っていう、認めちゃうみたいなとこなんだろう。
いかにもあほ!(子供は皆そうか)って感じの子供が生き生きとしてて、多分幸せに太く生きて行くんだろうなと思う。
東京だと、取り澄ました感じで、そういうやつは社会的に淘汰される様で、恐ろしい。

大阪、いいっすわ。いい感じ。楽。

心斎橋辺りは、ちゃんと来たのは学生時代以来だから、どうも勝手が判らなかったけど、歩くとどこでも行けちゃうって事が判る。
高校生くらいの頃は、梅田で乗り換えて、ピンポイントで行ってたからな。友達に連れられて。
アメリカ村も、いまだちゃんとあり、そごう、大丸もある。
そして、裏通りはやはりコテコテの呑みや街であった。

しかし、心斎橋のそごう本店は、1935年当初村野藤吾氏の設計で、写真を観ると非常にカッコいいものだったのだけれど。
営破綻で2000年12月25日に閉鎖され、取り壊し。今は、別の建物に。


打ち合わせ、順調。ビルはどうやら、みかんぐみの設計らしい。といっても、監修程度らしいので、どうなんだろう。
商業ビル、みかんぐみ。どうなんでしょうか。いいのが出来る事を祈る。

せっかくなので、道頓堀へ。
大阪新歌舞伎座がある。
これもやはり、巨匠村野藤吾作。1958年らしい。このうねうねがなかなか衝撃的。

以前は真夏に観たからか、もっとナマコ壁的なモッコリ感を感じたけど、今回はおとなしめ。
今は、歌舞伎というより、演歌歌手などの公演が主らしい。次は小林旭に天童よしみ。

ああ、食い倒れ。これだけ、携帯写真。


そして、グリコ。


キリンビルも健在。ブラックレインでも出て来て、バブルの当時は、結構かっこ良かったな。

大学時代、わざわざ見に来たし。バブルった素材がいいのだろう、ピカピカで、できたてのような美しさのキリンビル。
「ビルの中でビール」とか、だじゃれの懸垂幕あり。

そして、南堀江へ。

ここ最近、といっても、もう7~8年くらい、間宮氏の尽力により、おしゃれスポットになってる南堀江。
よく雑誌などで観てて、一回行きたいなと思ってたので、歩いて向かう。
元々は、住宅や家具屋街、そして倉庫などしかなく、あまり商業的でなかった場所。
そこに、今では、かなり気の利いた、洒落たデザインのお店が点在する。軒を連ねてるって方が正しい。
いやあ、かっこいいなあ。東京、負けてるんじゃないか。全然カッコいい。
まあ、代官山とかって感じなのかもしれないけど、なんか最近の代官山よりはイケてる。
昔の代官山って感じか。

亡くなった黒川氏のローリーズファーム、感動。
間宮氏のミュゼも観る。これかあ。

で、日のあるうちから、洒落た店を選んで、生ハムをあてに、生ビールを飲み、一日終了。

オープンは12月だから、今後、出張が楽しみだ。



オークビレッジと小糸焼

2007-05-17 13:13:37 | Weblog
高山へは、権兵衛トンネルと空いている道を採ったコース取りにより、思ったより早く着く。
なので、その日の内に、オークビレッジに行く事に。

前に高山に来たのは、七年前。まだオークビレッジの建物も新しかった。
少し周りの道路などが整備された感じはしたけれど、前と同じようにオークビレッジはあった。
オークヒルズ?って言う、レストランと宿泊施設も出来ているみたい。今回はパスした。次回泊まってみたい。

ともかく工房もあるこの木の建物は、いつ観ても古びず、気持ちいい。
荒々しい漆喰の使い方、光の取り入れ方、ディテールなど、結構藤森照信氏のテイストに似てる。
お気に入りの場所である。
ここのカフェ、リトルオークがよい。北向きの開放的なアトリエの様な光が入り、木で出来た家具と、カウンター。
気候がいいので、外のテラス席で、まだ咲いている桜を眺めつつお茶をいただく。
桜のシフォンケーキ。器は、7年前と同じく、小糸焼きのカップ。


周りも散策。近くに小川が流れていて、まさに清流。
非常に気持ちいい。いつも、ここに来ると高山に暮らしたくなる。
漆の大木もあった。


渓谷側から。左の上のテラスがリトルオーク。

ショップで、面白い漆のカップを買う。ショップのお兄ちゃんが、話をすると、どうやら東京の吉祥寺あたりに住んでいたらしく、井の頭公園近くのペパカフェとか、いせやの話題で盛り上がった。で、ちょっとおまけしてもらう。



オークビレッジを後にし、その足で、高山市街へ。
途中に、小糸焼の窯元へ。小糸焼は、いわゆる屋号で、備前とか、有田とかのように、地域の総称ではないらしい。
なので、小糸焼はこの窯元一つらしい。
http://www.koitoyaki.com/main/koi/index.htm
独特の青い『青伊羅保釉』という、釉薬が美しい。
気に入って、以前来たときに買ったのだけど、一つ割ってしまい、どうしても欲しく、窯元へ来たので、こんどは多めに購入。

オークビレッジでも使っている花珈琲碗なども買う。
実は既に五時頃で、店が閉まっていたのだけど、うろうろしてると、奥さんが気づいて家から出て来てくれて、特別に開けてくれた。奥様、ありがとうございます!


おかげで、色々観れたし満足。

泊まりは、高山の旅館、あすなろへ。
風情もあり、飛騨牛の刺身、飛騨牛のほう葉焼きなど、満喫。










諏訪から、木曽を抜け、一路高山へ

2007-05-17 12:30:57 | Weblog
ゴールデンウィーク、最後は飛騨高山へ。
諏訪を発ち、高山へ向かうルートはいくつかある。
律令制の時代より、特殊な木工技術集団、飛騨の匠として重宝され、当時の幕府の主要な土地へ、道が開墾されていったらしい。
江戸時代は、江戸への道が開け、野麦峠、安房峠などを使って、長野方面へ抜ける。
しかし、どの道もかなりワインディングロード。冬期は通行止めになるような道が多い。

諏訪からは、松本への安房峠を抜けるコース。国道158号線。
しかし、乗鞍が途中にあり、観光地なので、GWは普段2時間で行ける行程を4時間半ほどかかるらしい。
なので、そちらは避け、中央高速で名古屋方面へ伊那まで20キロほど南下し、国道361号線を通り、木曽街道を抜ける事に。こちらは、GWも空いている。しかも、最近になって、権兵衛街道に権兵衛トンネルという素晴らしいものが開通したおかげで、木曽まで90分が30分に短縮している。


権兵衛トンネルは快適なバイパスで、高原の冷たい風を受けつつ、一気に木曽へ。
奈良井の宿のあたりをかすめる。
奈良井と言えば、小説宮本武蔵にも出てくる、奈良井の大蔵という薬問屋のいた地域だななどと思う。

せっかくなので、木曽で蕎麦を食べる。
清流で清められた様なシャキシャキの蕎麦は旨し。
つまみに、木曽馬の馬刺、それから、こしあぶらの天ぷら。
北海道の道産馬、九州宮崎の御崎馬、そしてこの木曽馬が、日本古来の三大在来種らしいのだけれど、食べてしまいました。
めちゃくちゃ甘くて、美味!
こしあぶらは、タラの木と同様、ウコギ科の樹木らしいのだけれど、大木になり、それを採るのは一苦労らしい。
季節が、ちょうど旬らしく、この辺りは、どこでもこしあぶらの天ぷらを食べれた。これも、苦みばしって非常に香り高い。


蕎麦茶を買いもとめ、一路高山へ。
このワインディングは、とてつもなくワインディング。
車がすれ違うのもぎりぎりの車道をくねくねひたすら走る。
片側は、断崖。ひょうっっと緊張しつつ。峠を駆け抜けるというより、落ちないように歩をすすめる感じ。
しかし、さすが景色は最高で、所々にある休憩所兼、展望台みたいな所では、御岳が美しく見えた。


木曽街道は、ひた走ると、途中に高根ダムが。その辺りは、トンネルが増え、車がなんと一台しか通れないので、入り口でお互いに待ち合い、抜ける。これも、初めて。

ようやっと、高山へ。