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建築を旅する

伊根の舟屋めぐり

2011-05-12 17:37:30 | Weblog
ゴールデンウィークに実家の京都に帰省した。

五月に実家に帰ると、何故か両親と一緒に京都北部をめざしてドライブすることが多い。

一昨年は、福井県の小浜市。NHKの『ちりとてちん』と、オマバ大統領で有名になった、若狭湾と、若狭塗箸の街。
で、去年は、福井県の三方五湖。


だいたいは父親が行き先を決めているんだけど、今年は『伊根の舟屋と天橋立』に決定。

伊根の舟屋は、映画やテレビの舞台にもなってる。(男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋、釣りバカ日誌5、連続テレビ小説 ええにょぼ等)
ええにょぼは覚えてるなあ~と思ったけれど、すでに18年も前の作品らしくって驚いた。時の経つのは早い。

実家から一路伊根へ。今は、京都縦貫道という高速道路が出来ているので、一時間半くらいで伊根に到着。

高台より舟屋郡を望む。重要伝統的建造物群保存地区に指定されているそうだ。



伊根町は京都府北部、丹後半島の北端に位置している。

伊根湾には青島という島がある。
この青島があることで、風の影響を受けにくく、湾外に比べて波も比較的穏やかである。

満潮と干潮の潮位の差は60センチ程度(地元の酒屋さん情報)らしく、そんな穏やかな海が『舟屋』を可能としたらしい。



舟屋のある湾岸縁の路地。このうねうねとした細い路地を挟んで、『海側の舟屋』と『山側の家』の両方で一対の住居となっているみたい。


今は、船が大型になり、舟屋には入りきらないので、外につないでいるそうだ。昔は家の中まで引き入れていた。


舟屋の作りが伺える。必ず妻入りの形になるそうだ。


見学できる家もいくつかあり、その一つを見せてもらった。ここは、現在陶芸作家の工房兼ギャラリーになっている。
つくりは、何様ともわからないけど、やっぱり京都の文化圏なのかな。


舟屋の中。海が家の中まで入って来ている。ここに船を入れて、吊るし上げておいたらしい。


wikiによると、土台や柱は椎の木を用い、梁は松の原木を使用しているそうだ。


色が美しい。道具類が残っている。


海も透明度が高くって、奇麗。漁船が入る港とは思えない。


こじんまりとして、濃いコミュニティーのある舟屋郡。
海と直接繋がる生活というのは、山で育った身としては、想像できないけれど、農村の家と似てるのかもしれない。
農家の家も土間があり、そこまでを農作業の場所として使っていたのだし、ごく自然な姿なんだろう。

一年を通じて暮らしてみたら、色んな事が起きるんだろうけれど、海の暮らしはなかなか想像がつかない。

3.11の震災で被災した港の漁師さんが、テレビで言ってた。
漁師というものは、大しけや津波なんかで倒れては起き上がり、倒れては起き上がりの連続だ。
だから、助け合って生きて来たから絆も深い。と。

自然と格闘するのが漁師なんだと思うと、海を引き入れる舟屋の生活も、相当な格闘でもあったんだろうなあ。