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建築を旅する

黒川 勉氏

2005-07-29 23:02:59 | Weblog
インテリアデザイナーの黒川 勉氏が亡くなった。
あまりにも若い。
アウトデザインで活躍。
同業だけに身近で、にわかに信じがたい。
ご冥福を祈る。

妻有-3 禅庭

2005-07-21 10:03:07 | Weblog
2003妻有第三弾。

大地の芸術祭は、とっても広大な妻有の地域をマップと立看を頼りに探し歩く、結構旅なイベント。
車で廻っていると、この地域の空気とか、音とか、香とかがずいぶんと身にしみてリラックスする。

川沿いの大きな木を取り囲む様に作られた、禅な空間。
気持ちのいい田園風景の中にこつ然と、しかし昔からそこにあったかの様に現れた。

カサグランデ&リンターラ建築事務所/Architect Office Casagrande&Rintala
ちょっと聴かない名前だ。
フィンランドの事務所らしい。

題名「ポチョムキン」
『自然、農業、工業の3つの要素からなる公園。ロシア革命の戦艦をイメージした公園の内部は、自然や廃材を用いた禅庭のような空間。工業的要素の象徴とも言える鉄をあえて自然の真中に置くことで里山の美しさを浮き立たせる。』
ってことらしい。ロシア革命がキーワードっすか。



大きな木を取り囲む様にたたずむ。


ユンボの頭。廃墟っぽいけれど、なんとなく前向きな空間。寺の庭の石の様な感じ。


奥には囲まれた、まさに庭。禅の庭だ。


とても日本的ミニマリズム


伸びやかなシルエット。緑の田園風景に映える。奥にはブランコなんかもある。まあ、地域に開いてみたというところだろう。
実際乗るととっても気持ちよかった。

写真を沢山載っける方法が解ったので、らくちんになりました。

「カド、ウナギ、旗」

2005-07-20 09:22:49 | Weblog
アトリエ・ワンのアトリエ兼住居"ハウス&アトリエ・ワン"というのがブログにあるらしい。
早速見てみる。
まだ六月に始まったばかりで、なんとなく共有していける喜びがある。
ブログって、ホームページと違って、ある特定の物件なり、単体の事象なりを追いかけて行くには絶好の媒体かもしれない。
記録簿って日記みたいな所あるから、良いんだな。

さて、未だ始まったばかりなので数点の写真しか無いが、全体像が解る模型が載っている。
敷地は、思いっきり旗竿。
こういう敷地であるから、一般の常識からすると、条件悪い、使えない風なイメージがあって、中目黒付近にも関わらずお値ごろ価格だったようだ。
こういうので燃える感覚がチャレンジーで素敵。建築家冥利に尽きるのだろうな。
外部から窺えない敷地。
旗竿はもともと一つの大きな敷地を分けるときに、『「カド、ウナギ、旗」に分けるのが関東風といえる。』らしい。
関西は逆に、短冊に三等分するらしい。
そうだっけ。京都の町屋がそうだから、自然とそうなるのか。
多分、京間と関東間の違いのように、モジュール化したがるのが京都の伝統なんだろう。
「カド、ウナギ、旗」だと、微妙に条件ごとにモジュールが面倒になる。全部違うからモジュールらしくないし。

写真はうなぎの寝床たる京都の坪庭。

ともかく、こういう不利な敷地を巧く活かした計画を見て行くのは楽しい。
過去の物件で、積極的に旗竿をやる機会があり、『旗竿地ではいくつかの常識を、開き直りで越えて』いったのだと言う。
『細長い敷地形状をさらに細長く割る部屋割りと、隣の家の外壁を自分の家の内壁に見立てること』
『その手の開き直りはときにプロジェクトをスパイシーにしてくれる』
なるほど。
その他、自宅兼アトリエということで、空間と時間の使い分けを、「自宅」と「アトリエ」の共同生活のような捉え方をしていて解りやすい。やはりある意味、大きなワンルーム的な考え方を分けていくのが敷地の狭い日本に合っているのかもしれない。

http://www.tokyohouse.jp/hata/a_bw/concept.html

この計画は、阿部仁史氏と千葉学氏とワンとで、「カド、ウナギ、旗」に分けた物件らしい。
「東京ハウス」の東京の不動産の少し貧乏くさい(笑)区割りを積極的に楽しむ面白いプロジェクトだ。
デザインされているし、ニッチであるなあと思う。面白い。

また、じっくり見て行きたい。
http://habw.exblog.jp/



妻有-2 mvrdv式

2005-07-19 10:03:31 | Weblog
越後妻有トリエンナーレ 2003

オランダの建築家集団である[MVRDV]の「まつだい雪国農耕文化村センター」を訪れた。
日本における初めての建築作品である。

竣工当時に発売された、MVRDV式というムックに詳しいが、日本という立地、農村であり、豪雪地帯であるという事、様々工夫と苦労があり竣工した。
出来上がった物は、好き嫌いはあるだろうが、まごう事無きMVRDV式であった。
既に昔よりあった農道の導線を建築内に取り込み、その交差した部分に施設を持ち上げている。
構造体はコンピューターで割り出したランダムとも思える形状(実際には理にかなった形状らしい)を屋上部にむき出しにし、そのアバンギャルドな形態を強調している。
雪が降ると、その部分に雪がたまり、山の景色にとけ込む様な感じになるんではないだろうか。
ともかく、面白かった。
内部はモダンで、美しく、色彩も豊かでベリークール。
またこの夏にでも行ってみたい。

「結び目」「持ち上げ」「ブリッジ」「天蓋」「コレクション」「山なみ」「レイヤー」といったキーワードから解けるMVRDV式。

意外と優しげにも見える、地域の方の誇りとなっている建築であった。

http://www.mvrdv.nl/mvrdv.html
http://www.noubutai.com/
http://tenplusone.inax.co.jp/review/topics/0308/matsudai/mdrdv.mov
http://www.spacetimedesigns.org/bunka3/yagura/nobutai/photowalker.html

安井曾太郎展

2005-07-18 22:34:04 | Weblog
連休最終日、海の日。
上野から特急スーパーひたち号で一路水戸へ。
約1時間で到着。
夏本番。
目的は、茨城県立近代美術館の安井曾太郎展。

茨城県立近代美術館は、水戸市千波湖のほとりに位置し、素敵な立地。
横山大観など茨城ゆかりの作家の作品を収蔵。
吉村順三氏の設計であり、コルビジェ風のスロープや、印象的な石の扱い、デコな感じの装飾を含め、氏の代表作の一つである。
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/

近代日本絵画の巨匠、安井曾太郎。
安井氏のこれだけ大規模な回顧展はあまり無かったので、少し遠いが足を伸ばした。
十代の頃の作品から、18歳で渡欧してからの作品の変遷、また葛藤の中から産まれた安井流の表現、そして絶筆の美しく明るい作品まで、時代を追って観ていける良い機会であった。
ともかくも、有名な「金蓉」や「外房風景」など、実物の絵をじっくり鑑賞した。
当然ながら、若くして独学で巧すぎる絵を描いており、非常に基本がしっかりしていて、なおかつ晩年、苦労して自分自身の少し崩したような表現手法を確立している。
年齢を重ねるごとにシンプルかつオリジナリティのある生き生きとした画風になっている。
肖像画を依頼される事が多かった様で、大学教授、政治家、学者等様々な人物像を独自の解釈で描いている。
実際に見える世界を画面としての美しさに振って歪めてみたり、ずらしてみたり。
デザイナー的な発想もあり興味深い。
動き回る孫をそのままに躍動的な筆遣いで描いた「孫」や、美しい女性を独自のタッチで描き新境地を開いた、名作「座像」「婦人像」などは印象的であった。
「外房風景」もなんとも惹かれる。波の泡立ちや、民家の屋根に当たる強いけれどまったりとした日の光や、コントラストのある黒い木のシルエット。ごっつい絵だと思った。
絶筆となる「秋の城山」。
安井が最後に見た物は、美しく透明感のある秋の城山であった。
抜ける様な空と暖かい日差し。絵に出てくる黄色やオレンジ、パープルの彩度は純粋に美しく、彼の境涯を物語るようであった。シーレのオレンジの様な、すごく美しい絵。
因に、この絵は年末助け合いのチャリティ-に出す予定で、風邪を引いた中、無理を押して野外で描き続けたため、無理がたたって、12月14日に亡くなってしまう。
セザンヌに影響を受け、明治、大正、昭和と激動を生き抜いた、安井氏。
美しい死に様であった。

写真は非常に魅力的な肖像画の傑作「玉蟲先生像」