【俺は好きなんだよ】第1840回
『ペイン・ハスラーズ』(2023)
原題は、『PAIN HUSTLERS』。
『痛みの詐欺師』、『痛みの博徒』、『痛みの娼婦』。
製作国:アメリカ 、イギリス
上映時間:122分
公開情報:Netflixで配信
スタッフ。
監督:デビッド・イェーツ
製作:ローレンス・グレイ、デビッド・イェーツ
製作総指揮:エミリー・ブラント、マーク・モラン、イボンヌ・ウォルコット=イェーツ、ルイス・テイラー、ベン・エバラード
原作:エバン・ヒューズ
脚本:ウェルズ・タワー
撮影:ジョージ・リッチモンド
美術:モリー・ヒューズ
衣装:コリーン・アトウッド
編集:マーク・デイ
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード、マイケル・ディーン・パーソンズ
出演。
エミリー・ブラント (ライザ・ドレイク)(園崎未恵)
クリス・エバンス (ピート・ブレナー)(加瀬康之)
アンディ・ガルシア (ジャック・ニール/博士/CEO)(沢木郁也)
キャサリン・オハラ (ジャッキー・ドレイク)(宮寺智子)
クロエ・コールマン (フィービー・ドレイク)(川勝未来)
ジェイ・デュプラス (ブレント・ラーキン)(中島智彦)
ブライアン・ダーシー・ジェームズ (ネイサン・ライデル)(藤吉浩二)
アミット・シャー (エリック・ペイリー)(村井雄治)
オーブリー・ダラー
ウィリー・レイザー
物語。
2011年アメリカ。
労働者階級でシングルマザーのライザ・ドレイクは、職を失いバーで踊り子をするほどに生活に困窮していた。
そんな時、製薬販売員のピート・ブレナーとの偶然の出会いをきっかけに、営業職の面接にこぎつける。その会社は画期的な痛み止め薬を開発したが、業界は安全な痛み止めが支配していた。
それが、すべての崩壊のはじまりだった。
シングルマザーが製薬スタートアップ企業の営業として、とんでもない方法で処方を勝ち取っていくクライム・ドラマ。
実際に起きた最悪の実話をモデルにしている。
監督は、『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』シリーズのデビッド・イェーツ。
主演は、エミリー・ブラント。
2018年にエヴァン・ヒューズが執筆しニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載された、実際に起きた製薬会社の不法事件に関する記事『The Pain Hustlers』と、2022年にリリースされた同著者による小説『The Hard Sell』に基づいて制作された。
ブラックナサクセスストリーリーで、ある種のピカレスク譚。
主人公のどぶの論理で思わぬ成功を収めるが、どぶの論理にで追い詰められて、ドブネズミの美しさを見出していく。
アメリカでは非常に知られた事件を基にしているそうなのだが、あえて、架空の名前で話をまとめて、脚色したこと(権利の問題化もしれない)で、ある種のサクセスストーリーにも見せている。このブラックさが映画の肝なのだが、それとデヴィッド・イエーツの生真面目さがあまり噛み合っていない感がある。
それはキャスティングにも表れている。
いい人(のイメージがある)が悪い人を演じたときに出る贖罪と根の部分があまり活きていない。
芸達者な一級の俳優たちの技がそれを後押しもしている。
なのに、どこかちぐはぐな感じがするのだ。
だが、アンディ・ガルシア、キャサリン・オハラはそのグレーぶりを存分に見せつけてくるので、「演技は人柄」という言葉も思い出させる。
もちろん、その人の良さが、最悪の事件を笑って見れる安心感も生み出しており、日本人には大変見やすいものになっていると言える。事件もそこまでは知られてないだろうし。
ちょうど、『美と殺戮のすべて』という近い題材と戦った人物のドキュメナタリー映画がベネチア金獅子賞を受賞して、もうすぐ公開になるので、見比べてみたい。
Netflixで2023年10月27日から配信。
ややネタバレ。
この映画に登場する人物および商品名は架空。
会社は実際にはInsys Therapeutics。
舌下フェンタニル薬はSubsys。
アンディ・ガルシアが演じた会社の創設者はジョン・カプール。
は、エミリー・ブラントの役はマリア・グズマン。
営業担当者から内部告発者に転身した女性の名前です。最終的に数名の内部告発者が同社に対して訴訟を起こした。恐喝容疑で有罪判決を受けたインシス幹部に加え、複数の医師が不正処方行為で懲役刑を受けた。Subsysは現在も市場に流通しており、現在はBTcPファーマが所有していて、BTcPファーマはこの薬を癌関連の痛みに対してのみ販売している。