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(まんがでわかる)サピエンス全史の読み方

2017年07月12日 | ★★★☆☆
『 (まんがでわかる)サピエンス全史の読み方 』
山形 浩生 (著), 葉月 (イラスト)

 
宝島社 (発行)
B6判、ソフトカバー、176ページ
2017/06/29発行
ISBN-13 978-4-8002-7155-6
NDC分類: 209.034

定価 :1,080円(税込み)


 内容(「TRC MARC」の商品解説より)
ニートの杏果がボルダリングと出会い、課題への挑戦を通して、人間を駆り立てる物語の力に気づき…。人間進化のミステリーを記した「サピエンス全史」をまんがでわかりやすく紹介する。山形浩生と堀江貴文の対談も収録。

 内容(下記出版社の紹介ページより)
大人気「まんがでわかる」シリーズ最新作は、人類学史として異例のヒットを遂げた『サピエンス全史』をまんがで解説。同書の解説で『クローズアップ現代』にも登場した山形浩生氏の監修で、本の内容を踏まえた上で、サピエンスの未来をどう暗示しているのか、どう生きるべきかをともに考えていきます。巻末には堀江貴文氏との対談も収録。


目次 p.02
おもな登場キャラクター(スタッフリスト) p.04
Chapter1 サピエンスの勝因はフィクションを信じる力 p.05
Wall1 現状を突破する「意味づけ」の力 p.06
 1-1 サピエンスだけが虚構(フィクション)を信じることができた p.24
 1-2 サピエンスは言葉を使って複雑な“嘘”を共有できた p.26
column1 「会社」というフィクションが社会を動かし、人生を支配する p.28
Chapter2 知識を貪欲に収集した狩猟採集民 p.29
Wall2 「人間らしさ」はどこにある? p.30
 2-1 狩猟採集民は現代人より多くの知識を蓄えていた p.46
column2 サピエンスは古代からずっと地球で最も残酷な生き物だった p.48
Chapter3 農業の働きがもたらした人類の苦しみ p.49
Wall3 「安定・安心の暮らし」の罠 p.50
 3-1 農業への修行が引き寄せた不幸 p.66
 3-2 架空の秩序が私たちを分類し、意味づけている p.68
column3 サピエンスは小麦に支配され 小麦の“勝利”の奴隷となった p.70
Chapter4 文字の使用とヒエラルキーの強化 p.71
Wall4 「あの人とは違う」は思い込み p.72
 4-1 文字の発明で社会の階層化は更に強化された p.88
column4 「男」「女」で想像するものにもフィクションが刷り込まれている p.90
Chapter5 世界をグローバル化する3つの虚構 p.91
Wall5 違いを越えて「仲間」になる p.92
 5-1 「貨幣」というフィクションが世界を統一に向かわせた p.108
 5-2 「帝国」「宗教」もまた、世界を統一に向かわせた p.110
column5 一神教がたくましく世界に広がるのは自己主張が強いから!? p.112
Chapter6 科学が駆り立てた更なる制服の欲望 p.113
Wall6 「知りたい」が成長の原動力 p.114
 6-1 フィクションに支えられた科学への信頼 p.128
 6-2 資本主義が科学の発展を加速させた p.130
column6 生産過程に組み込まれた“人間以外”の動物の命 p.132
Chapter7 資本主義がもたらした平和と課題 p.133
Wall7 現状を突破する「意味づけ」の力 p.134
 7-1 国家と市場がコミュニティを壊し、新しいつながりを作る p.150
 7-2 国家や市場経済の支配が広がり、世界の平和が強化 p.152
column7 幸福の源も正体もまだ人類は知らない p.154
スペシャル対談 堀江隆文×山形浩生 もうフィクションにすがる生き方はやめよう! p.155
監修者あとがき p.174
著者紹介/奥付け p.176


萌え本分類: コミック型。
ナビゲーター: コミック部分の登場人物、杏果、水族館職員の早彩、ボルダリングインストラクターの結城、ほか。

カバー表紙:タイトルは縦書き。タイトルの字色は白、白縁つきの黒。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたドローイング『ウィトルウィウス的人体図』を背景にナビゲーター3名の集合イラスト。
中表紙: 白色無地の背景に、外枠つきの横書きタイトル、著者名と、横向きの頭蓋骨の写真を置く。
折込ポスター:なし。
本文:縦書き、一段組みが基本。巻頭の登場人物紹介、章末のコラム、奥付ページは横書き。
構成・設定:  全ページモノクロ印刷。本文全体は7つのchapterと巻末の対談からなり、各chapterは扉が1頁、14頁から18頁のコミック部分、2~4頁の文章解説部、コラム1頁で構成される。
章扉は荒野の焚火の写真を背景に、横書きの章タイトルと緒言をおく。コミック部分は、「入社半年で会社を辞めて現状ニート中、不安に苛まれる杏果の心のよりどころはお気に入りの水族館のクラゲだけ。彼女に声をかけてきた飼育員の早彩から勧められるままにボルダリング教室に顔を出した杏果は、インストラクターの結城との対話を通じて生きる意味や目的を見出していく」というストーリーに沿って進行。コミック自体には原著への直接の言及はなく、コマに上乗せする形で四角い枠つきの「原著の解説」が挿入される。文章解説部は見開き2頁の1項目を単位とし、1~2項目で構成。章末のコラム1頁とあわせてコミック部分の内容を要約・解説する。各章のテーマは原著の構成に準じ、「序論・虚構(フィクション)の意味づけ」「狩猟民の時代」「農耕民の時代」「文字と文化の時代」「貨幣・帝国・宗教という虚構」「科学と資本主義という虚構」「国家と市場経済という虚構」。
巻末の「対談」では、本書監修者の山形浩生さんと実業家の堀江隆文さんが本書の内容をふまえて意見交換。経済、教育、文化の分野における今日的な問題が語られる。
監修者の山形浩生さんによるあとがきでは、原著をふまえた現代社会の問題に対する解法についての意見が語られている。
索引・参考文献などは付属しない。


評価:
萌え絵度:  カバーを含むイラスト担当は葉月さん。宝島社刊行のB5版「 (まんがと図解でわかる)- 」シリーズ中、
(スティーブン・R・コヴィーの)7つの習慣(別冊宝島1805) 』(11/10)、『 -天皇のすべて(別冊宝島1910) 』(12/10)のコミック部分を分担執筆。
またB6版の「 (まんがでわかる)- 」シリーズでは、
-松下幸之助の人生を拓く教え 』(16/04)、『 -田中角栄の人を動かす力 』(16/09)のイラストを担当。
絵柄は女性漫画風でちびキャラ使いも上手。萌え度はそこそこ。
テーマ萌え度: 監修者の山形浩生さんは翻訳者・評論家で、トマ・ピケティ著『21世紀の資本』(みすず書房 2014)の共訳者。訳書はSFや前衛文学、経済書や環境問題テーマなど広い分野にわたる。本書はイスラエル人の歴史学者でヘブライ大学歴史学部教授、ユヴァル・ノア・ハラリ氏の著作「 サピエンス全史(上)(下) 文明の構造と人類の幸福 」(河出書房新社刊、16/09)の紹介本。上下2巻で約600頁という大部の原著を直接紹介するのではなく、ストーリーコミックの背景(囲み記事の挿入)として原著の概説を掲載するという構造で、コミックを読みながら自然に原著の概略が理解できる、というかなり特徴的な形式をとる。紹介文自体は解説部分を含めてよくまとまっているが、ストーリーとの接点がない分全体のまとまりは感じられにくいか。
萌え本的意義:  宝島社発行の萌え本としては、宝島社発行の萌え本としては、『 (まんが)(ハーバードが絶賛した)新幹線清掃チームのやる気革命 』(17/05)に続き、『 (マンガでわかる!)計算力の鍛え方 』と同月発行の69冊目。
カバーの背景がB6本共通の白色無地でない(背景イラストつき)点や、巻末に対談を掲載している点などに編集上の工夫が各所にみられ、これまでのB6版コミック本出版の経験が生かされた一冊。あと、価格が1000円+税と安価めに抑えられているのも興味深い。
 世界史、文化史(NDC分類:209)に関する類書としては、
『 (CD付)朗読少女とあらすじで読む世界史 』(中経出版刊、12/07)、
(まんがと図解でわかる)世界史(別冊宝島 1892) 』(宝島社刊、12/09)、
(マンガでわかる)世界史 』(池田書店刊、13/06)、
(クリエイターとプレイヤーのための)ファンタジー事典 』(笠倉出版社刊、13/08)、
(ゆげ塾の)(マンガ)構造がわかる世界史 』(14/04)、
『 (大学入試問題問題シリーズ 1)絶対に解けない受験世界史(悪問・難問・奇問・出題ミス集) 』(社会評論社刊、14/10)、
『 忘れてしまった高校の世界史をマンガで復習する本 』(KADOKAWA刊、16/09)などがあげられる。


総合萌え度 :★★★☆☆


紹介記事:

イラスト担当、葉月さんのサイト:
pacco
http://pacco.web.fc2.com/
 トップページの|memo|および|work|
商業誌の業績中に、宝島社発行4冊分の記載あり。

同、pixiv:
葉月
http://www.pixiv.net/member.php?id=33452
 最終更新が2016年12月。
2017年07月現在、本書についての記載はない。

同、Twitter:
葉月 @hzk1020  2017年06月23日づけTweet より、
https://twitter.com/hzk1020/status/878202623404285952
「 15日に宝島社さんから発売になった「まんがでわかるサピエンス全史の読み方」で漫画パートの作画を担当させていただきました。ニートの女の子が主人公のお話です。 」


監修担当、山形浩生さんの公式サイト:
YAMAGATA Hiroo: The Official J-Page
http://cruel.org/jindex.html

同、書評ブログ:
山形浩生の「経済のトリセツ」
http://cruel.hatenablog.com/


宝島社紹介ページ
「 貨幣、会社、宗教、国家…
人は幸福のために 虚構(フィクション)を創り出した!
 人類進化のミステリーを まんがで読み解く!
対談
堀江貴文×山形浩生
古いフィクションに すがる生き方を捨てよ! 」
 内容見本11頁分へのリンク、著者・イラストレーターのプロフィールを掲載。


Amazon.co.jp         の紹介頁
honto               の紹介頁
楽天ブックス          の紹介頁
セブンネットショッピング   の紹介頁
紀伊国屋書店         の紹介頁


付記:
Amazon、honto、公式の発売日は06月15日、楽天の発売日は同13日、その他の発売日は06月との記載が主。
06月15日に郊外型書店の店頭で、17日にはコンビニ店頭で確認。


 上記の各サイト間では、タイトル表記にやや振れがみられる。
Amazon.co.jp        まんがでわかる サピエンス全史の読み方 (まんがでわかるシリーズ)
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公式サイト上        まんがでわかる サピエンス全史の読み方


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