クルマの中で、野沢菜のおやきを食べながら、
FMの音楽を聴いていた。
シューマンのピアノ協奏曲イ短調作品54だった。
なんかいいよね。一人でそう思った。夢見心地の
曲想が続く。
「船に乗れ」の中で、若い頃のポリー二のポスターを
部屋に貼ってる音高の女生徒。なんか70年代じゃ
ないダロウカ。
そんなことを考えながら聴いていた。
野沢菜の入っているおやきもそこはかとなく旨い。
クラウディオ・アッバード指揮のベルリン・フィルが
バックを固めている。
ポリー二というピア二ストは、そういえば有名な割には
あまり聴いてなかった。うまいピアニストは沢山いて、
その中の一握りの演奏家なのだろうけれど、スルーしてしまう事は
充分にある。
2楽章のオケと協奏するところ。音数は少ないけれど、ピアノが
独白している。シューマンは何を語っているのだろうか。
ポリー二が抱える内面の何かを表出しているのか、それが
シューマンの物とイコールか近似値か。弾きすぎていない気がした。
昼間は30度をうわまわる暑さで、車のエアコンも十分でないけれど
飲み物取りながら、車をすすめた。3楽章。曲が盛り上がっていく。
合わせものの妙技が聴かれ、プロの凄さを思う。
今のピアニストと違うところがあるとすれば、力8分目で料理する
様なところがあるのではないか。いい悪いではないが、それが
彼のアプローチなのではないか。ちょっと引き気味に聞こえるのは
個人的思いなのかもしれないけど、彼のシューマンが妙にあってる
気がする。
シューマンに会ったこともないけれど、シューマンぽい感じがする。
あくまでも個人的なイメージや感想だけれど。
その意味でも、ポリー二は凄いと思った。
おやきは旨かった。ポリーニも結局聴きとおしてしまった。
こうして夏の午後は過ぎていくのだった。
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 op.54 / マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ),
クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1988、89年
https://www.youtube.com/watch?v=d_PeQUnjf1E