宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

接近したガス雲を調べるとブラックホール周辺のことが分ってきた

2016年01月10日 | 宇宙 space
ほぼ全ての銀河の中心には、
太陽の10万倍から10億倍もの質量を持つ超大質量ブラックホールが、
存在しています。

もちろん天の川銀河の中心にも、超大質量ブラックホールはあるんですねー

このブラックホールは“いて座A*”といい、
接近した巨大ガス雲“G2”の運動に関する分析から、
周囲の様子が明らかになったようです。


軌道の変化を利用する

地球から約2万5000光年の距離にある天の川銀河の中心には、
太陽の約400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホール“いて座A*”があります。

ただ“いて座A*”は、
わずかに明るくなったり暗くなったりしてるんですねー

その理由は、どうやらブラックホールを取り巻く円盤にあるようです。

この円盤は“降着円盤”と呼ばれいて、
ブラックホールの重力で集まったガスとチリが円盤状に渦巻いています。

この“降着円盤”に時おり小さな塊が降着することで、
明るくなると考えられています。
赤外線で観測した“いて座A*”周辺(疑似カラー)。
マーカー位置の“いて座A*”に物質が降着し、わずかに光っている。

数年前のこと、巨大なガス雲“G2”が、
“いて座A*”に向かって移動している様子が発見されました。

“G2”はブラックホールによって破壊されると予測され、
その現象を電波やX線で観測すれば、
ブラックホールのメカニズムを解明する手がかりが得られると考えられていました。

でも、そのような現象は起こらず…
おそらく“G2”が高密度すぎて破壊をまぬがれたようです。

今回の研究では、この破壊現象が起こらなかったことを逆に利用。

ブラックホールの近くを動いた“G2”の軌道の変化を利用して、
“いて座A*”を取り巻く最も内側のガスを調べています。

“G2”より13年早い2001年にブラックホールに接近した、
小さなガス雲“G1”の軌道データも使って、
ガス雲の運動を決める複数のパラメータを明確にしました。

さらに“G1”と“G2”の軌道変化が、
周囲の物質との作用によるものと仮定してブラックホール付近の様子をモデル化。
ブラックホールへの降着流の回転軸を初めて決定したんですねー

また降着流の源も明らかにできたようです。

ガスやチリの出所は、ブラックホール周辺の星からの恒星風でなく、
ブラックホールから約4光年の距離にある、
分子ガスの巨大なドーナツ状の構造“トーラス”だそうです。


こちらの記事もどうぞ
  銀河中心ブラックホールに近づくガス雲が明るくなる可能性
  ブラックホール通過のガス雲は長大なガス流の一部だった?