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モバライダー mobarider

115億光年彼方にモンスター銀河誕生の現場を発見!

2016年01月03日 | 宇宙 space
115億光年彼方に位置する“原始グレートウォール”の中心に、
爆発的に星形成を行っている、“モンスター銀河”の集団が見つかったんですねー

この発見はアルマ望遠鏡の観測によるもので、
モンスター銀河の形成場所や進化の過程の解明につながることが、
期待されているそうです。


モンスター銀河

今から数十億年から1000億年以上前の初期宇宙には、
天の川銀河の数百倍以上もの勢いで星を生み出している、
“モンスター銀河”が見つかっています。

こうした銀河は、
近くの宇宙に存在する巨大銀河の昔の姿と考えられていて、
銀河形成の歴史を調べるうえで重要な天体になるんですねー

また“モンスター銀河”は、
ダークマターの密度が高い場所で誕生すると予想されていて、
その検証には、誕生現場を観測でとらえることが必要でした。

そこで今回用いられたのが、南米チリにあるアルマ望遠鏡。
研究では、みずがめ座の方向115億光年彼方にある“SSA22”という領域で、
“モンスター銀河”を探査しています。

この方向には過去に、
すばる望遠鏡などの観測で若い銀河の大集団が見つかっていて、
“原始グレートウォール”というフィラメント状の立体構造をしていると、
考えられていました。


銀河が群れて誕生する場所

“モンスター銀河”は大量のチリに覆われています。

なので可視光線では観測が難しいのですが、
サブミリ波という波長で電波観測すると、チリからの放射をとらえることができます。

これまで、南米チリのアステ望遠鏡による電波観測でも、
“モンスター銀河”の兆候は見られていたのですが解像度や感度が不十分で、
詳しいことは不明でした。
“モンスター銀河”の例(左:アステ望遠鏡、中:アルマ望遠鏡、すばる望遠鏡)。
可視光線では見えないか非常に暗いがサブミリ波ではとらえられていて、
アステ望遠鏡では広がった像なのが、
アルマ望遠鏡では3個の銀河が分離してとらえられている。

それがアルマ望遠鏡の観測により、
“原始グレートウォール”内に9個の“モンスター銀河”が集まって存在していること、
それらが“原始グレートウォール”内のフィラメントが集まる中心部にあることが、
明らかになります。

アルマ望遠鏡では、
従来の60倍の解像度と10倍の感度が達成されていたんですねー
“原始グレートウォール”と“モンスター銀河”(イメージ図)
約5億光年にわたって若い銀河が、
フィラメント状に分布した大集団“原始グレートウォール”の中心部で、
“モンスター銀河”がいくつも誕生していると考えられている。

今回の研究で、
ダークマター密度が高い“原始グレートウォール”の中心部で、
“モンスター銀河”が群れて誕生するという理論が、
観測的にも裏付けられました。

また、“モンスター銀河”の発見を手がかりとして、
遠方宇宙での“原始グレートウォール”探索ができる可能性も示すことになります。

さらに今後の研究ではアルマ望遠鏡やすばる望遠鏡を用いて、
“モンスター銀河”と“原始グレートウォール”の関係を、
より詳しく調べていくそうですよ。


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