宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

ガンマ線バーストの発生環境を探る

2014年06月19日 | 宇宙 space
アルマ望遠鏡の電波観測により、ガンマ線バーストが起こった数十億光年彼方の銀河から、
初めて分子ガスが検出されました。

このことで、銀河中の分子ガスとチリの意外な分布も明らかになり、
宇宙最大級の爆発現象が由来とされる、ガンマ線バーストの発生環境を知る大きな手がかりが得られたんですねー
ガンマ線バーストの周辺環境(イメージ図)
大質量星からの高速ジェットが
観測者に向いていると、強い放射として見える。
ガンマ線バースト(GRB)とは、専用の監視衛星などにより1日におよそ1回の頻度で観測される、ガンマ線の閃光現象のことです。

数十億光年彼方で起こる、宇宙最大規模の高エネルギー現象が由来とされていて、
一瞬の短いもの(ショートGRB)と、2秒~数分間程度続く長いもの(ロングGEB)があります。

ロングGRBの正体の1つとしては、
太陽のおよそ40倍以上の質量を持つ巨大な星が一生を終えるとき、
たまたま地球方向に放出される高速ジェットがとらえられたものと考えられています。

研究チームでは、うお座の方向約43光年彼方の“GRB 020819B”と、
ペガサス座の方向約69億光年の“GRB 051022”という2つのロングGRBが、
それぞれ発生した銀河を、チリにあるアルマ望遠鏡で観測。
そして、分子ガスとチリが発する電波の検出に成功したんですねー

2つのうち近い方である“GBR 020819B”の母銀河では、
分子ガスとチリの意外な分布も明らかになっています。

“GRB 020819B”の母銀河の観測画像。
分子ガスをとらえた画像(左)は銀河中心部が明るく、
チリをとらえた画像(中)はGRB発生領域(十字マーク)が明るい。
右は参照用の可視光画像。

その分布とは、ガンマ線バーストの発生領域には、分子ガスは少なくチリが多く、観測された分子ガスは銀河の中心部に存在するものでした。

ロングGBRを起こすような巨大な星の周囲では、
星形成が活発で、星の材料となる分子ガスが豊富に存在すると予測されているので、
これは思いもよらない結果でした。

この原因として、次々と生まれる大質量星からの強烈な紫外線で、分子ガスが電離(イオン化)されて壊れたと推測されます。

研究チームでは、今後さらに多くの天体を観測し、
今回のようなガンマ線バースト発生環境が、普遍的なものかどうかを探っていくようです。