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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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地球観測衛星“SMAP”打ち上げに成功!

2015年02月08日 | 地球の観測
地球観測衛星“SMAP”は、
地球全体の土壌に含まれる水分を観測を目的とする衛星です。

この“SMAP”を搭載したデルタIIロケットの打ち上が成功したんですねー
これにより“SMAP”は、天気予報の精度改善や、災害の防止などに役立てられるようです。


デルタIIロケットは、
カリフォルニア州にあるヴァンデンバーグ空軍基地から離昇し、ブースターや第1段ロケットを分離しながら順調に飛行。

約56分後に“SMAP”を予定通りの軌道に投入します。

“SMAP”はNASAのジェット推進研究所が運用する地球観測衛星で、地球全体の土壌に含まれる水分と、
凍結している個所の融解具合を見ることを目的としています。


得られたデータは、
天気予報や気候変動の予測の改善、洪水や干ばつといった災害の予防、
農業の生産性の向上といったことに役立てられることになります。


“SMAP”は、直径6メートルの傘のようなアンテナを持ち、ユニークな姿をしているんですねー

このアンテナは、
合成開口レーダーと放射計、2種類の装置の目と耳として機能します。

合成開口レーダーとは、
電磁波を地上に向けて放射し、反射して衛星に返ってきた信号を分析する観測装置で、
放射計は地表から出る電磁波の放射を計測する装置になります。

“SMAP”は、もともとNASAで開発されていた“ESSPハイドロス”という衛星が基になっています。

っというのも“ESSPハイドロス”が2005年に、NASAの予算削減が原因で中止されたからで、
その遺産を活用したのが“SMAP”になります。

打ち上げ時の質量は944キロ。
高度685キロ×685キロ、軌道傾斜角98.1度の太陽同期軌道で運用され、
8日ごとに同じ地点の上空を通過するそうです。

設計寿命は3年が予定されているようです。

“SMAP”の打ち上げに使われたデルタIIロケットは、ボーイング社が開発したロケットで、
ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社によって運用されています。

デルタIIの1号機が打ち上げられたのが1989年2月のこと。
それ以来、153機が打ち上げられているのですが、なんと失敗は2度だけ。
最後の失敗からは98機連続で成功を続けているんですねー

でも、後継機のデルタIVが登場したので生産は終了、在庫は残り2機になっています。

今後、2016年に地球観測衛星“JPSS-1”を、
2017年には地球観測衛星“アイスサット2”を打ち上げて運用を終了するそうですよ。

静止気象衛星“ひまわり8号”が完成!

2014年09月04日 | 地球の観測
気象庁の静止気象衛星“ひまわり8号”が完成しました。
“ひまわり8号”は、三菱電機が2009年7月に気象庁から受注した衛星で、
鎌倉製作所から出荷・輸送し、種子島宇宙センターに搬入されることになります。
そして打ち上げは、10月7日にH-IIAロケットで行われる予定です。

“ひまわり8号”の軌道上での展開後の全長は8メートル。
“ひまわり7号”の3分の1程度になり、
設計寿命は15年以上、ミッション運用寿命が8年以上になります。

三菱電機は、気象庁が実施した“ひまわり8号”の国際競争入札で、
技術・コスト面を含めた総合的な評価を獲得して2009年7月に落札しています。

その後、5年かけて製造を進め、今回製造を完了したことになるんですねー

“ひまわり8号”は“ひまわり7号”の後継機として、
天気予報、台風・集中豪雨・気候変動などの監視・予測や、
船舶や航空機運航の安全確保を目的とする静止気象衛星です。

取得した観測データは、日本やアジア・太平洋を囲む30か国以上に提供されます。

世界最先端の観測能力を持つ気象観測センサーを搭載することで、
観測時間を3分の1に短縮し、観測画像の解像度も2倍に向上。

カラー画像も取得できるなど、観測性能が大幅に向上したいようですよ。


こちらの記事もどうぞ ⇒ トルコの新衛星は、“みちびき”、“ひまわり”と兄弟機

地球にある重い元素は、中性子星の合体で作られていた。

2014年07月29日 | 地球の観測
地球上に存在する金や銀、ウランなどの鉄より重い元素。
これらが、中性子星の合体によって作られた可能性が高いことが、スーパーコンピュータの数値シミュレーションで分かってきたんですねー
計算結果は、太陽系で観測される重元素組成とほぼ一致し、宇宙の重元素の起源に、新しい手がかりを与えるものとして注目されています。
○○○

水素やヘリウムは、宇宙の始まりのビッグバンで生まれ、それより重い鉄までの元素は、恒星内部の核融合により生成されます。

そして、レアアースや金、ウランなど鉄よりもさらに重い元素は、大量の中性子の核融合で生成されると考えられています。
でも、この“宇宙の錬金術”が、どのような天体現象で起きるのかは謎のままでした。

超新星爆発では中性子の量が不足し、中性子星の合体では90%以上が中性子なので、非常に重い元素だけが作られることに…
いずれも、太陽系や他の恒星で観測される重元素組成を説明できませんでした。

今回の研究では、質量が太陽の1.3倍、半径12キロの2つの中性子星が、互いに回りながら合体し、物質が放出されるまでの間の数値シミュレーションを実施。
用いられたのは東京大学のスーパーコンピュータ。シミュレーションでは一般相対性理論とニュートリノの影響を考慮されました。

このシミュレーションによる再現で分かったのが、中性子の一部がニュートリノを吸収して陽子に変わるので、中性子の割合が60~90%程度にまで減少すること。

この結果を基に、元素合成の数値計算をしてみると、観測による太陽系の重元素分布とほぼ一致。
これにより、今まで明らかにされていなかった金やウランなどの鉄より重い元素の起源が、中性子星の合体である可能性が高いことが分かりました。

超新星に比べて中性子星の合体は複雑な現象になります。
なので、シミュレーションは難しくなるのですが、今回の研究では、中性子の割合がほど良く減って、多くの重い元素が形成できることが初めて分かりました。

中性子星の合体は、宇宙のどこかで時々起きている現象です。
地球に存在する重い元素も、過去に起こった中性子星の合体が起源になるのでしょうね。

スーパーコンピュータによる中性子星合体の数値シミュレーション。左は2つの中性子星の合体の瞬間、右は合体から8ミリ秒後の様子を表す(距離のスケールの違いに注意)。上は物質の密度の対数値(g/㏄)、下は物質中の中性子の割合(%)を表す。右下の黄色からオレンジの渦状部分で金やウランなど、青から水色の部分で銀やレアアースなどがつくられる。(Credit: 理化学研究所)
スーパーコンピュータによる中性子星合体の数値シミュレーション。左は2つの中性子星の合体の瞬間、右は合体から8ミリ秒後の様子を表す(距離のスケールの違いに注意)。上は物質の密度の対数値(g/㏄)、下は物質中の中性子の割合(%)を表す。右下の黄色からオレンジの渦状部分で金やウランなど、青から水色の部分で銀やレアアースなどがつくられる。(Credit: 理化学研究所)


観測による太陽系重元素組成と数値計算による重元素組成の比較。元素部分布を質量数の関数として表す。例えば銀は107,109、レアアースは約140~180、プラチナは192,194~196,198、金は197、ウランは235,238など。左は従来の結果(ここでは中性子の割合を95%と設定)、右は共同研究チームによる研究結果を表す。(Credit: 理化学研究所)
観測による太陽系重元素組成と数値計算による重元素組成の比較。元素部分布を質量数の関数として表す。例えば銀は107,109、レアアースは約140~180、プラチナは192,194~196,198、金は197、ウランは235,238など。左は従来の結果(ここでは中性子の割合を95%と設定)、右は共同研究チームによる研究結果を表す。(Credit: 理化学研究所)


衛星データから作られた“地球のバリア”

2014年05月15日 | 地球の観測
磁気圏は、宇宙からの高エネルギー粒子をブロックする防護壁の役割を果たしています。
今回、この地球の磁気圏のモデルが人工衛星のデータから作られたんですねー
太陽風の影響を受けながら
変動する地球の磁気圏。

観測データが用いられたのは、
ヨーロッパ宇宙機関の地球磁気圏探査衛星“クラスター”、日米共同の磁気圏尾部観測衛星“ジオテイル”、
アメリカの高緯度磁気圏観測衛星“ポーラー”と磁気圏観測衛星“テミス”です。

そして今回、
これらの観測データに基づいた地球の磁気圏モデルが、ロシアのサンクトペテルブルグ大学で作られることになります。

常に大きく変動する磁気圏の構造を知るために、太陽活動が磁場に与える影響を、
膨大な観測データからモデル化した今回の成果は、上記衛星による1995年から2012年までのデータに加え、太陽観測や地上観測のデータも補完していることです。

これまでデータ化されていた磁気圏赤道部だけでなく、太陽風のプラズマ粒子が入り込む高緯度領域も含め、全球的にカバーされているんですねー

地球を取り囲む磁気圏は、太陽や宇宙の彼方からやってくる、高エネルギー粒子をブロックしてくれる重要な防護壁といえます。
現代の人間社会に欠かせない宇宙空間利用において、こうしたモデルが磁気圏の詳細な把握に役立つようです。

地球観測衛星“センチネル 1A”打ち上げ成功

2014年04月14日 | 地球の観測
ヨーロッパのレーダー地球観測衛星“センチネル 1A”が、ギアナ宇宙センターから打ち上げられました。

“センチネル 1A”は、ヨーロッパ宇宙期間が計画する
「環境と安全のためのグローバル・モニタリング(コペルニクス)」
計画の第1段となる地球観測衛星シリーズの最初の1機になります。
カナダの“RADARSAT-2”やイタリアの“Cosmo-SkyMed”衛星などの技術を継承しているんですねー

高度693キロの太陽同期極軌道で、レーダーにより地表を観測します。

同型の衛星がもう1機打ち上げられ、2機のコンステレーションにより、同一地点を6日に1回という高頻度で観測ができるそうです。