goo blog サービス終了のお知らせ 

宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

より迅速に災害対応が可能、“だいち2号”5月24日に打ち上げ

2014年03月19日 | 地球の観測
レーダー地球観測衛星“だいち2号”を搭載したH-IIロケット24号機が、
5月24日に打ち上げられることが決まりました。
H-IIAロケット202型で、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられることになります。

“だいち2号”は災害時の観測や地図の作成、海洋や森林の観測などを目的とした衛星です。
レーダーの技術を使うので、昼夜や天候の影響を受けることなく観測できるんですねー

名前からも分かるように、2006年に打ち上げられ、2011年に運用を終えた“だいち”の後継機。

“だいち”が光学カメラ、合成開口レーダーを搭載しているのに対し、
“だいち2号”ではフェーズドアレイ式バンド合成開口レーダーを、さらに高解像度化して搭載したレーダー観測衛星になります。

1~3メートルの高解像度での観測が可能になり、観測範囲も“だいち”の870キロから2320キロまで広がっているんですねー
なので、より迅速に災害対応が可能になると期待されています。

打ち上げ時の質量は約2トン、最低5年間、長ければ7年間に渡って運用される予定です。

現在、衛星はすでに種子島宇宙センターに運び込まれていて、組立と検査が続けられています。

また今回も、ロケットの余剰能力を活かし、4機の小型副衛星が搭載されるほか、
現在開発が進められているH-IIAロケットの高度化に向けた、技術データの取得も行われるようです。

降水観測衛星と7つの小型衛星が2月に打ち上げへ

2013年12月29日 | 地球の観測
H-IIAロケット23号機により、
全球降水観測計画主衛星“GPM主衛星”の打ち上げが決定しました。

この計画は、2014年2月28日の午前3時~5時に種子島宇宙センターから打ち上げられ、
“GPM衛星”を所定の軌道に投入するものです。

H-IIAロケット23号機は、H-IIA202形態で4メートル径の4S型フェアリングを使用しています。
打ち上げ能力に余裕があるので、小型副衛星7基も軌道投入されるんですねー

固体ロケットブースタを打ち上げ約1分48秒後に、衛星フェアリングを約4分5秒後に分離し、約6分36秒後には第1段主エンジンの燃焼を停止して、約6分44秒後に第1段を分離します。

続いて、約6分50秒後に第2段エンジンの燃焼を開始、約14分58秒後に燃焼を停止した後、近地点高度約398キロ、遠地点高度約406キロ、軌道傾斜角65度の楕円軌道上で“GPM主衛星”を分離するんですねー

その後、ロケットは惰性飛行を続けて小型副衛星を分離することになります。

“GPM衛星”は、JAXAとNASAが共同開発した衛星で、複数の衛星データを組み合わせることで、高精度、高頻度な降水の観測を目指しています。

小型副衛星は、打ち上げ能力の余裕を活用して、民間企業や大学が製作する小型衛星に対して、容易で迅速な打ち上げ・運用機会を提供するものです。

宇宙開発利用の裾野を広げるとともに、小型衛星を利用した教育・人材育成への貢献を目指しているんですねー

数週間以内に地球に落下… 最も低い高度を回る衛星

2013年10月23日 | 地球の観測
ヨーロッパ宇宙機関は18日、地球の重力場を観測する人工衛星“ゴーチェ”が、「近日中」に燃料切れで落下する可能性があると発表しました。






ヨーロッパ宇宙機関の
人工衛星“ゴーチェ”
(イメージ図)




“ゴーチェ”は2009年3月に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関の人工衛星で、地球観測計画によって打ち上げられた科学衛星シリーズのひとつ。
地球の地殻と海洋の密度の違いを見分けられる、高性能の重力傾斜計を備えています。

矢のような形と羽根は、まだわずかな大気が残っている260キロという高度を飛ぶ際に、衛星を安定させるのに役立っていて、宇宙のフェラーリと呼ばれています。

さらに、イオンエンジンの噴射によって、機体を振動させずに大気抵抗による減速を防ぎ、軌道高度を維持することができます。

“ゴーチェ”は、より精度の高い重力マップを作成するために、2012年8月から高度を255キロから235キロに下げて運用を行っていて、世界で最も低い高度を周回する衛星になっていたんですねー

数週間以内に、イオンエンジンで使用しているキセノン燃料が切れ、40~50個の破片となって総計250キロが地球に落下すると予測されています。

また、“ゴーチェ”の燃料タンク圧は10月26日までにゼロになるのですが、エンジンはそれ以前に停止する可能性があり、現時点では、こうしたことがどの位置で発生するか予測できないんだとか…

ただ、地球大気圏に再突入するポイントに近づけば、正確に予測できるようになるようです。

まぁー 人工衛星が大気圏に突入し、それにぶつかる確立は、雷に打たれる確立よりも6万5000倍も低く、階段から落ちるなど、家の中で起きる事故で死亡する確立よりも150万倍低いので大丈夫だと思いますが…

現役最長寿の衛星が解明したもの

2013年10月02日 | 地球の観測
打ち上げから24年も経つのに、まだ現役の磁気圏観測衛星“あけぼの”。

この最長寿の衛星が、地球近辺の高放射領域“バンアレン帯”における、電子増加の条件を明らかにしました。 このことは、宇宙天気予報の新たな手がかりになるようです。





バンアレン帯の中で
観測する“あけぼの”
(イメージ図)




約400キロの高度を飛ぶ国際宇宙ステーション(ISS)の軌道から、
高度約3.6万キロにある衛星“ひまわり”などの静止衛星軌道までの間には、
エネルギーの高い電子“宇宙放射線”が大量に存在する領域“バンアレン帯”があります。

この“バンアレン帯”で電子の数が増えすぎると、気象衛星や放送衛星の障害が起こりやすくなり、
過去にはアメリカの通信衛星が障害を起こして、数か月間復旧しなかったこともあるんですねー

なので、この領域の電子が、いつどのくらい増えるのかを予測することは、人類が宇宙を安全に利用するするために重要なことになります。


これまでに太陽から噴き出すプラズマの嵐“太陽風”によって、“バンアレン帯”の電子が10倍から100倍以上に増えることは分かっていいました。

でも、“太陽風”が起これば必ず増加するというわけでなく、
どのようなメカニズムによって電子の数の変化が決まっているのかは、まだ分かっていないんですねー

今回、“あけぼの”などの長期間データを用いて、
地球にやってくる“太陽風”が、“バンアレン帯”に及ぼす影響を統計的に解析されました。

その結果、スピードの速い太陽風の中に南向きの磁場が含まれていると、数日間にわたって“コーラス”と呼ばれる宇宙の電波が強く発生しやすい状況になり、80%以上の確率で電子の数が増えることが分かりました。
バンアレン帯の電子の数が増える条件

そして、このような状態のときには、オーロラの活動も数日間にわたって活発になるんですねー

今回の成果は、24年間にわたって観測を続ける“あけぼの”の長期観測により得られたもので、
今後は宇宙天気予報の精度向上に貢献すると期待されています。

そして、2015年度には、さらに詳細なメカニズムの解明を目的とした衛星“ジオスペース”が、
イプシロンロケット2号機によって打ち上げられ、“あけぼの”のデータに基づいた観測計画を進めることになります。

地球を取り巻く放射線領域に第3の帯

2013年04月12日 | 地球の観測
地球をとりまく二重構造の放射線領域“バンアレン帯”の外側、
ここに第3の領域が一時的に出現しました。
幸運にも、探査機が打ち上げられて、わずか2日後の観測で見つかったんですねー





もう1つの放射線領域




“バンアレン帯”は、地球を取り巻く二重構造の放射線領域です。
内側のベルトは、地表から数百キロから約1万キロまでの領域にあり、
外側のベルトは、1万数千キロから数万キロまでの領域に広がっています。

太陽嵐などの影響で大きく膨張する性質を持っていて、
膨張時には通信衛星やGPS、宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士達にも危険を及ぼす可能性があるんですねー

その“バンアレン帯”を調べるのが、双子の他探査機“RBSP(放射帯嵐他探査機)”です。
2012年8月に打ち上げられ、その2日後に観測装置の1つREPT(相対論的電子陽子望遠鏡)を早速稼働したところ、直前に起こった太陽フレアにより“バンアレン帯”が膨らんだんですねー

この観測から、外側のベルトにはっきりと分かれた第3の放射線帯が出現していることが分かりました。
4週間後に、太陽からの強力な衝撃波で消滅するまで、“RBSP”はこの領域を観測し続けています。





太陽観測衛星“SDO”がとらえた
第3の放射線領域出現の
要因とみられる太陽フレア


今回の発見によって、“バンアレン帯”のダイナミックで変化に富む性質が明らかになり、
さらに太陽活動にどのように反応しているのか? についても理解を深める成果が得られました。

今後の観測でも、宇宙天気への影響の研究や、
太陽系内外の天体周囲で見られる基本的な物理プロセスの研究などに、
役立つデータが得られるようですよ。