宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

地球にある重い元素は、中性子星の合体で作られていた。

2014年07月29日 | 地球の観測
地球上に存在する金や銀、ウランなどの鉄より重い元素。
これらが、中性子星の合体によって作られた可能性が高いことが、スーパーコンピュータの数値シミュレーションで分かってきたんですねー
計算結果は、太陽系で観測される重元素組成とほぼ一致し、宇宙の重元素の起源に、新しい手がかりを与えるものとして注目されています。
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水素やヘリウムは、宇宙の始まりのビッグバンで生まれ、それより重い鉄までの元素は、恒星内部の核融合により生成されます。

そして、レアアースや金、ウランなど鉄よりもさらに重い元素は、大量の中性子の核融合で生成されると考えられています。
でも、この“宇宙の錬金術”が、どのような天体現象で起きるのかは謎のままでした。

超新星爆発では中性子の量が不足し、中性子星の合体では90%以上が中性子なので、非常に重い元素だけが作られることに…
いずれも、太陽系や他の恒星で観測される重元素組成を説明できませんでした。

今回の研究では、質量が太陽の1.3倍、半径12キロの2つの中性子星が、互いに回りながら合体し、物質が放出されるまでの間の数値シミュレーションを実施。
用いられたのは東京大学のスーパーコンピュータ。シミュレーションでは一般相対性理論とニュートリノの影響を考慮されました。

このシミュレーションによる再現で分かったのが、中性子の一部がニュートリノを吸収して陽子に変わるので、中性子の割合が60~90%程度にまで減少すること。

この結果を基に、元素合成の数値計算をしてみると、観測による太陽系の重元素分布とほぼ一致。
これにより、今まで明らかにされていなかった金やウランなどの鉄より重い元素の起源が、中性子星の合体である可能性が高いことが分かりました。

超新星に比べて中性子星の合体は複雑な現象になります。
なので、シミュレーションは難しくなるのですが、今回の研究では、中性子の割合がほど良く減って、多くの重い元素が形成できることが初めて分かりました。

中性子星の合体は、宇宙のどこかで時々起きている現象です。
地球に存在する重い元素も、過去に起こった中性子星の合体が起源になるのでしょうね。

スーパーコンピュータによる中性子星合体の数値シミュレーション。左は2つの中性子星の合体の瞬間、右は合体から8ミリ秒後の様子を表す(距離のスケールの違いに注意)。上は物質の密度の対数値(g/㏄)、下は物質中の中性子の割合(%)を表す。右下の黄色からオレンジの渦状部分で金やウランなど、青から水色の部分で銀やレアアースなどがつくられる。(Credit: 理化学研究所)
スーパーコンピュータによる中性子星合体の数値シミュレーション。左は2つの中性子星の合体の瞬間、右は合体から8ミリ秒後の様子を表す(距離のスケールの違いに注意)。上は物質の密度の対数値(g/㏄)、下は物質中の中性子の割合(%)を表す。右下の黄色からオレンジの渦状部分で金やウランなど、青から水色の部分で銀やレアアースなどがつくられる。(Credit: 理化学研究所)


観測による太陽系重元素組成と数値計算による重元素組成の比較。元素部分布を質量数の関数として表す。例えば銀は107,109、レアアースは約140~180、プラチナは192,194~196,198、金は197、ウランは235,238など。左は従来の結果(ここでは中性子の割合を95%と設定)、右は共同研究チームによる研究結果を表す。(Credit: 理化学研究所)
観測による太陽系重元素組成と数値計算による重元素組成の比較。元素部分布を質量数の関数として表す。例えば銀は107,109、レアアースは約140~180、プラチナは192,194~196,198、金は197、ウランは235,238など。左は従来の結果(ここでは中性子の割合を95%と設定)、右は共同研究チームによる研究結果を表す。(Credit: 理化学研究所)



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