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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

土星の衛星“ミマス”の地下には海がある?

2014年10月22日 | 土星の探査
最新の研究によれば、
クレーターで覆い尽くされた土星の衛星“ミマス”の地下には、
液体の水の海が存在するそうです。

エンケラドスやタイタンのように、
いずれは、地下海の可能性が指摘されている衛星の仲間入りを、
果たすかもしれないんですねー
NASAの土星探査機“カッシーニ”が
撮影した土星の衛星“ミマス”。
巨大なクレーター“ハーシェル”は、
“ミマス”の直径の3分の1に及ぶ。
土星の主要衛星の中では最も小さい“ミマス”は、密度が低く、大部分は氷と岩石で構成されていると考えられています。

約23時間の周期で土星を公転しているのですが、その周回中にリズミカルな揺れが検出されているんですねー

地下に海があるという仮説は、
このリズミカルな揺れという現象からきているのですが、
“ミマス”のコアが球体でないという点も、有力な原因として考えられています。

“ミマス”は氷で覆われた外層は球体なのですが、岩石のコアは、ラグビーボールのような楕円体のようです。


どのような理由であれ、
土星探査機カッシーニの画像を丹念に調べて発見した揺れは、
研究チームにとって予想外でした。

地球の衛星の月を含め多くの衛星は、
公転中にわずかに揺れているので、その事自体は珍しくありません。

でも、その幅は、直径400キロ程度の衛星にしてはかなり大きく、
1回の公転で3キロ程度と予想していたのが、実際にはその2倍もあったんですねー


今回の研究では、
さまざまなシナリオのコンピュータシミュレーションを使って、
揺れの原因を探っています。

揺れの原因のアイデアに、巨大な衝突クレーターの下に、
小惑星の残骸が埋もれているというものがあります。

高密度の残骸があれば、“ミマス”の片側がもう一方より重くなり、
土星の強力な重力に引かれてバランスが崩れ、揺れが生じるというものです。

でも、そのような不均衡が存在する場合、
“ミマス”の向きに影響を与え、クレーターがいつも土星の正面に来るはずなんですねー
実際には、そうなっていないため、このアイデアは却下されることになります。


岩石のコアが楕円体なら、“ミマス”の方向に影響を与えずに、
同様の揺れが生じるという仮説も成り立ちます。

さらに、岩石コアが通常の球体だった場合、
厚さ20~30キロの氷の外殻の間に地下海が存在しても、
同様の結果を招く可能性があるようです。

生卵と固ゆで卵を同時に回転させた場合、ゆで卵の方が速く回ります。

ようすは多少異なるのですが、
“ミマス”の揺れは内部の部分的な液体に関連しているとも考えられます。

ただ、実際に地下の海が存在しても、太陽系では珍しい話ではありません。

木星の衛星“エウロパ”、“ガニメデ”、“カリスト”や、
土星の衛星“エンケラドス”ではすでに確認済みで、“タイタン”にも同様の可能性が指摘されています。


今回の研究では、“ミマス”の地下海を実際に証明したわけではありません。

でも、“ミマス”の予想外の動きを示し、説得力のある説明はいくつか出ていて、
“ミマス”の地下海を満たしているのは、液体の水と想定しています。

生命維持に不可欠な要素の1つですが、その存在は確定していません。

でも、“エウロパ”や“エンケラドス”の地下海と同様に、少なくとも可能性は生じます。
ひょっとすると氷の下には、太陽系最大の海が広がっているのかもしれませんね。

衛星タイタンの南極に冬到来

2014年10月12日 | 土星の探査
土星最大の衛星タイタンは、2009年に7年間続く冬に入っていたようです。

これは、タイタンの南極上空に、
シアン化水素の雲が形成されているのが観測されて分かったことなんですねー
衛星タイタンの南極点上空で渦巻くガス。
2012年に“カッシーニ”がとらえたもの。

アメリカとヨーロッパの探査ミッションで、地球に送られてきたデータによると、
タイタンには液化炭化水素の湖が数多く存在し、窒素とメタンの濃い大気に覆われています。

タイタンと木星は、太陽からの距離が14億キロもあるので、
タイタンの四季は3か月ごとでなく、7年ごとに変わることになります。

今回の研究では、
5年前にNASAの土星探査機“カッシーニ”が、
タイタンの南極上空にある雲を最初に発見。

2年間にわたる観測の結果、
この雲はシアン化水素の凍結微粒子でできていることが分かります。

この発見は、宇宙の厳寒の地にあるタイタンにも、
著しく厳しい冬が到来することを示しているんですねー

どうやら、タイタンの南極は、
シアン化水素が凝固するほど極度の低温になっていて、
上層大気の気温は、1年足らずで50度余り下がり、
マイナス150度の極低温に達しているようです。

衛星タイタンの湖につながる地下プロセス

2014年09月11日 | 土星の探査
“カッシーニ”が観測したタイタンの湖。
地球以外の天体で唯一、
液体の湖が見つかっている土星の衛星タイタン。

どうやら、その地中で起こる化学反応が、
プロパンやエタンの湖を作っているようです。


タイタンには、
その北極周辺に多くの液体の湖があります。
でも、これらの湖がたたえているの水ではなく、
メタンやエタンに代表される炭化水素なんですねー

これまで、こうした湖の供給源は、
メタンの雨が主と考えられているのですが、
もう1つの供給源になりそうな地下の循環プロセスについて、新たなモデルが作られました。

タイタンの湖と、モデルに基づいた地下構造。
炭化水素の雨が水の氷殻と作用してプロパンやエタンとなり、
湖となって存在しているのかもしれない。

水の氷でできたタイタンの地表に、
降りそそいだ炭化水素の雨が地下に溜まり地中に広がると、
水の結晶構造のすき間に炭化水素が入り込んだ“クラスレート”が作られます。

この“クラスレート”がさらに炭化水素と反応し、
プロパンやエタンといった別の炭化水素になります。

そして、これらの物質が表面に現れれば、プロパンやエタンの湖になるそうです。

一方、炭化水素の雨が地表に溜まってできた湖なら、
メタンや窒素が主な組成となるそうです。

土星やタイタンの多くの謎を解き明かしてきた探査機“カッシーニ”は、
2017年までに50回以上、タイタンへの接近観測が予定されています。

なので、継続して湖の組成を詳しく調べ、
今回のモデルと比較することで、
地下で起こっていることが明らかになると期待されているんですねー

衛星タイタンに夏の訪れ? 北半球に海上を横断する雲

2014年08月25日 | 土星の探査
土星の衛星タイタンの北半球にある海。
この海の上空を横断するように移動する雲を、NASAの探査機“カッシーニ”がとらえました。

これは、長年タイタンの大気モデルが予測してきた、
夏の嵐の兆候ではなかと考えられているんですねー

“カッシーニ”は7月の後半に、ブライバイ後にタイタンから遠ざかりながら、新たな画像を撮影しました。

その画像にとらえられていたのが、
大きなメタンの海“リジェイア海”上空を、広がりながら移動する雲でした。

雲は2日以上かけて観測され、
その動きから風速は、およそ秒速3~4.5メートルなのが分かります。

2004年に“カッシーニ”が土星に到着してから数年間にも、夏の終わりを迎えていたタイタンの南極付近では、
雲がたびたび観測されていました。
リジェイア海を横断するように現れた雲

雲はタイタンの北半球に春が訪れるころにも、引き続き観測されていたのですが、
2010年の終わりに巨大な嵐が発生。

嵐により雲が一掃され、
タイタン上空で観測される雲の規模も数も小さくなり、
数えるほどになってしまいます。

ただ、コンピュータによる大気循環のシミュレーションでは、
北半球では夏の訪れとともに、大気の温度が上昇して雲が増えると予測されていたので、
雲の活動がなくなったことは研究者を驚かせることになります。

この雲の出現が夏型天候の始まりなのか?
それとも、まったく限定的な発生なのか?

また、海と雲がどのような関係にあるのか?
偶然“カッシーニ”が海上の雲をとらえただけなのか?
それとも海上で雲が優先的に発生するのか?

知りたいことは一杯あるんですねー

タイタンの1年は地球の約30年と長く、季節は7年ごとに変化します。

ただ、“カッシーニ”の「タイタンにおける季節変化の観測」ミッションは、
タイタンの北半球に夏が訪れ、南半球に暗い冬が訪れるとともに、
1つのゴールを迎えることになります。

衛星“エンケラドス”の間欠泉の謎

2014年08月15日 | 土星の探査
土星の衛星“エンケラドス”では、
氷と水蒸気が噴き出す間欠泉が観測されています。
“カッシーニ”がとらえた“エンケラドス”の間欠泉

そして、
その領域の詳しいデータ分析から、
これらの間欠泉が、地下深くから噴き出していることが分かりました。


“エンケラドス”の両極付近には、
“タイガーストライプ”と呼ばれる、主に4本からなる100キロ以上にもわたるヒビ割れがあります。
そこから氷の粒や、水蒸気が噴き出して間欠泉となっているんですねー


この間欠泉が見られる領域が高温なので、
これまで、土星の重力で変形を受ける“潮汐作用”で発生する熱が、
間欠泉の存在と関連があるらしいことは分かっていました。


でも、謎もあったんですねー

ヒビの部分がこすれて、発生した摩擦熱で表面の氷が水や水蒸気になるのか?
それともヒビが開閉して、地表の奥深くから水蒸気が噴き出るのか?
水蒸気が噴出する詳しい仕組みについては、特定されていませんでした。

今回、アメリカの宇宙科学研究所では、
NASAの探査機“カッシーニ”のデータから、間欠泉の噴出箇所101個を特定し、
さらに、高解像度の熱分布マップと比較を行っています。
地下から間欠泉が噴き出す仕組み

その結果、高温スポットは、
それぞれ10メートル単位の
ひじょうに小規模なもので、
噴出箇所と対応していたんですねー

このことから、
熱により噴出が起こっているのではなく、
噴出により熱が観測されていることが分かります。

つまり間欠泉は、
ヒビが“潮汐作用”で開閉することで、
地下から出てくる水蒸気と考えることができるんですねー



また、間欠泉の全体的な噴出量の変動と、
“エンケラドス”の公転周期との比較も行ったところ。

「ヒビ割れの開閉にともなう噴出である」と仮定した場合と、
一致していることも分かったようです。