秋晴れの空

2011-09-29 15:55:19 | Weblog
今日も、お出掛け日和。


煮詰まり気味な気分を打破すべく?(大袈裟な!!)、久しぶりに電車で出かけました。
東京と有楽町、下車駅に一寸迷いましたが、油絵では重たく感じられ有楽町に。
と言うわけで、目的地は出光美術館の『大雅・蕪村・玉堂・仙ガイ-「笑」のこころ』に決定です。
仙ガイは娘時分(ずいぶん昔の話です)、出光美術館でそれなりに見ましたし、大雅もまぁ何点かは見てきました。
一方、蕪村と玉堂を意識的に見るのはおそらく初めてのはず。
だいたい、文人画というのは、私にはどれも一緒に見えてしまいがちでして…苦笑。
仙ガイは別として、他の三人は作品だけ見せられたら誰のものかわからないと思います(^^;;

さて、パンフレットによると、『江戸時代中期の京都を中心に、中華趣味の文人文化が花開きました。古画を愛で、詩文を作り、余技で絵を描くなど、中国の文人たちの自在に楽しむ生き方は、とりわけ狩野派による権威的な技術に飽き足りない人々の心をつかみ、水墨画による自己の表現へとかりたてました。彼らの創造力のひとつは、仲間との交遊に生まれた「笑」でした。自嘲したり、社会を冷笑したり、仲間をほほえませたり、社会の規範にとらわれすわ自在で、様々な「笑」を知的に表現した四人の個性に光をあてます』だそうです。
更にカタログでは、「知識階級が自らの人格形成のために教養として描いた絵であり、極めて個人的な内なる心情が吐露された芸術」であり「不本意な状況下で制作された芸術」が中国の文人画だそうです。
一方、今回出光美術館が取り上げた池大雅や与謝蕪村の作品のほとんどは、「陽光のもとで愉しげに酒を酌み交わす文人たちや、深まりゆく秋の夕暮れの美しさに心を奪われる隠士など、主題も色彩も屈託のない心地よさに満ちあふれ」ている…と。

同時代の伊藤若冲や円山応挙、曾我蕭白あたりの作品と比べ、スケールが小さいなぁと思わなくはありませんが、肩肘張らずに自然体であることが彼らのスタイルってことなのでしょう(笑)。
大雅のおおらかな画風は観るものの心を伸びやかにし、一方玉堂の作品は深山幽谷へと我々を誘う…。
彼らと比べると、蕪村は掴み所がないような気がします(苦笑)。
私に俳句への興味・感性がないせいでしょうね(^^;;
仙ガイは…。
達観と言うか、突き抜けた可笑しみと言うか…禅宗の僧侶だからとて、皆が皆ここまで達せるものではありません。
それでいて高みから見下ろすわけではなく、同じ高さで、少し離れたところからの視線が、観るものの共感を呼ぶのでしょう。
他の三人と違い、寺院の住職という不特定多数の人々と関わりを持つ立場ゆえでもありましょう。

改めて思うのですが、出光美術館の凄さはコレクションの特性を熟知して空間を作り上げていること。
展示されている作品は決して多くないのですが、効果的に配置され、解説も要領よくまとめられています。
見終わってみれば、「堪能しました」と申すのみです。

出光美術館
『大雅・蕪村・玉堂・仙ガイ-「笑」のこころ』
9/10~10/23
図録は1800円。
あくまでもおさらい向きの内容。
日本美術史上での文人画の位置など、更に詳しく知りたい方には物足りないと思います。


尚、次回の展覧会は
『長谷川等伯と狩野派』
10/29~12/18
「竹鶴図屏風」が展示されるようです(^^)v


本日の収穫
*「思春期を考える」ことについて 中井久夫コレクション3(中井久夫/ちくま学芸文庫)

講談社の文芸文庫や学術文庫もそうですが、ちくま学芸文庫もまた「文庫」とは名ばかりの値段設定(/_・、)
それでも手元に置いておきたい(いつでも欲する時に読みたい)と思うから、購入するので…と言い訳をする(苦笑)。
展覧会分と合わせると、今の境遇には痛い出費かも(^^;;
まぁ、それはさておき、今春ひょんなことからロールシャッハテストを受けた身に、「エランベルジュとロールシャッハについて」という一文はなかなかに興味を惹かれました(苦笑)。

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