餞別

　餞別を貰ったことのない人、あげたことのない人は、まずいないと思います。餞別とはご存知のように、「餞」はなむけ（「馬の鼻向け」の意。旅立つ人の馬の鼻を行くべき方へ向けて見送った習慣による）旅立ちや門出に送る金品のことで、祝儀袋に幾許かの紙幣を入れて渡す、裏金から抽出されることもあるようで、この祝儀袋は重いようです。食偏の餞が正しく、間違えて金偏の銭を書く人もいます。
　一般的には、転勤時にこの餞別が飛び交う、ましてや栄転の場合は盛大である。これからの引き立ても金額によって違ってくるようです。これに引きかえ定年退職など縁切れの場合は寂しいようです。

　ここからは戦争に絡む話です。敗戦色濃くなった日本のある村のある青年にも召集令状がきて親戚、友人達から「餞別」を貰って入営しました。時は敗戦の日の１ヶ月前のことでした。昭和２０年８月１５日、天皇陛下の御聖断により無条件降伏、武装解除後除隊帰郷しました。
　餞別をくれた友人達から「お前は、運のいい奴だ、戦地にも行かず、すぐに帰ってきて・・・餞別泥棒だ、返してくれ」などと冗談まじりにに言われたのです。そこでその青年は大いに怒り心頭に発す「冗談じゃないょ、何をいうか、この一ヶ月間、初年兵訓練で毎日、毎日、古参兵から訳も理由もなく、ただただしこたま「殴られぱなし」だった。こんな辛いことはあの餞別の何十倍を貰っても足りないよ・・・・」と（ある人から聞いた話）

・・・・新兵さんは辛いものだね～　また寝てなくのかな～・・・トテチトテー

　過去のこんな不条理なことも最近の・・・教師が小学生に暴力を振るわれて・・これも不条理だと思いませんか。