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24節気の健康と食養:芒種から夏至まで

2024年06月04日 | 24節気の健康と食養

 24節気の健康と食養:芒種から夏至まで

 24節気を約5日ずつ3区分した「七十二候」というものがあり、気象の動きや動植物の変化を知らせています。「略本暦」に掲載された七十二候で、本節気は次のとおり。
 芒種 初候 螳螂生(かまきり しょうず)螳螂が生まれ出る
    次候 腐草為蛍(くされたる くさ ほたると  なる)
             腐った草が蒸れ 蛍になる
    末候 梅子黄(うめの み きばむ)梅の実が黄ばんで熟す

 小満の次にやってくる24節気が芒種(ぼうしゅ)で、毎年6月5、6日頃(2024年は6月5日)になります。言葉のいわれは「芒(のぎ=籾殻にあるトゲのような突起)ある穀類、稼種する時なり」からきています。
 これを早とちりしたのか、“現在の日本においては少々遅いと言われていますが、稲や麦など芒のある穀物の種まきをする季節とされてきました。”とか“実際には現在の種まきはこれよりも早い。”とか解説されているものが目立つのですが、「稼種」の「稼」は「
①穀物を植える、栽培」「 ②みのり、取り入れた穀物」と2つの意味があり、芒種の場合は後者の意味で使われているのです。つまり「この頃に、秋に播いた麦類の実が稔って刈り入れが行われる」というものです。なお、芒種の一つ前の節気である小満は、麦の実が次第に充実してきた様を言っていますし、24節気の発祥地は中国大陸中心部でして、穀類といえば米ではなく小麦ですから、このように解釈すべきです。

 気温もどんどん高くなって、この先、夏至、小暑と気温は上がり続け、大暑でもってピークを迎えるというのが、中国大陸中心部の気候で、梅雨はありません。中国で梅雨があるのは、長江下流域とその西方の中国大陸南部だけです。
 北海道を除き、全国的に梅雨がある日本ですから、中国とは季節の捉え方が随分と変わったものとなります。日本では、芒種の頃から1か月半、3つ先の節気である大暑の頃までジメジメとし、気温も梅雨明け後にグーンと上がり、まるで季節感が違いますから、対処法は自ずと異なったものとなります。

 芒種から梅雨入りまでのしばらくの間は、夏至(次にやってくる節気)に近いこともあって、昼の長さは1年で最も長くなる時期です。よって、活動時間は長くなり、夏:心の季節ということもあって、心臓の働きも活発になります。人の体は、夏:心の季節に十分に対応していることでしょう。
 
これを踏まえた夏の養生法を下記の記事で紹介しています。ご参照ください。
  
立夏は夏の入り、五味を上手に夏食に。先ずは「心」が求める苦味です。

 ここでは、芒種から夏至までの養生について、まず、梅雨入り前の特徴的なものを紹介することにしましょう。(今年は例年より梅雨入りが遅れそうで有り難いです。)
 昼が長くなりますから、その分活動量が増え、心臓も長時間働かされます。よって、エネルギー代謝をスムーズにしてあげる必要があります。
 芒種の頃から旬となるのがタマネギです。タマネギにはこれといった栄養価はないものの、特有の刺激臭「硫化アリル」がビタミンB1を活性化させ、これによってエネルギー産生回路を円滑に回す、つまりスタミナ食になりますから、心臓にとって実に望ましい食品といえます。旬のタマネギを大いに食したいものです。
 同じ頃に旬となってくるニンニクも、薬効成分アリシンが同様な働きをしますから、これも料理に取り入れたいものです。
 つの味「五味」についても頭に置いといてください。漢方では、五臓のバランスを整えるため、夏は<主・苦味、従・辛味、添・甘味>この三味の組み合わせを最適としています。料理は、この三味を頭に置いて行っていただきたいものです。

 次に、梅雨入り後の養生について説明します。これの詳細な解説は、次をご覧いただくとして、ここでは簡潔に要点を述べます。
  梅雨時の健康法は「湿熱」疾病と「冷たい物中毒」の合併症からの脱却
 梅雨に入ると、「湿熱」で「脾=胃」が弱ってきますから、胃に負担がかからないよう、油っこいものを避け、よく噛んで食べるのが第一となります。また、この時期、通常はエネルギーの消耗が少ないですから腹八分とし、食欲も落ちてきますから、美味しく食べられるものを少しずつあれこれ食べるのが良いということになりましょう。
 そして、梅雨の晴れ間には少しはお日様に当たりたいものです。活性化ビタミンDは皮膚で太陽光線により作られるのですからね。
 慢性的に血液中の活性化ビタミンDになっている日本人と思われます。骨を丈夫にするほか、新型コロナやインフルエンザなど感冒の感染症にも効果があるビタミンDです。ネットニュース(2023.6.5)で東京慈恵会医科大学の調査結果が流れましたが、そのプレスリリースは次のとおりです。ご覧になってください。
  98%の日本人が「ビタミン D 不足」に該当   

 また、朝日に当たると「幸せホルモン」セロトニンの分泌が促され、精神が安定し、気分が穏やかになり、幸福感が湧き上がってきますから、おすすめします。なお、リズミカルな運動を併せて行うと、よりいっそうセロトニンの分泌が促進されますので、日が昇るのが早くなったこの頃ですから、早起きして散歩を5分でも、できれば15分、最大30分、少々早足で行なうとよいです。ラジオ体操でもいいです。
 前季におすすめした「冷水シャワー」。皆さん、始められましたか。湯上がりにたっぷり冷水シャワーを浴びると、気分まで爽快となり、精神的ストレスも流しとってくれますよ。免疫力も高まり、風邪も引きにくくなります。

 ところで、精神的ストレスといえば、「五月病」を罹った方で6月になっても尾を引いている人も少なからずいらっしゃいますし、近年は新社会人に「六月病」なるものも現れるようになりました。どちらも「精神の高ぶりや心の落ち込み」という交感神経の緊張状態がずっと続いていると考えてよく、これが延々と続くと、そこから脱却できず、鬱病になったり、心の病が深刻なものになりかねません。
 そうした方々は、交感神経の緊張を緩め、副交感神経を優位にしてあげる方策、つまり精神をリラックスさせる何らかの手立てをとっていただきたいです。
 ネットニュースで、実に簡単でこれはいいなあ、というものを見つけましたので、それを紹介しておきましょう。
(2018.6.5配信『何かだるい梅雨の隠れ疲労 放置すると「夏うつ」に』 奥田弘美 精神科医(精神保健指定医)・産業医・労働衛生コンサルタント)
 軽く目を閉じて、鼻先を出入りする空気の流れをじっくり感じる「呼吸瞑想」(マインドフルネス瞑想の一種)を数分行うだけでも交感神経系の緊張を緩める効果が期待できます。空気が鼻孔から入っていき、また鼻孔から出ていく。呼吸瞑想では、この感覚を目を閉じてひたすら感じていくだけでOKです。何か思考や関係ないことが浮かんだら、「思考した」「考えた」と気づいて、また呼吸の感覚に意識を戻します。座禅のように無になろうと頑張る必要は全くありませんので、電車でもオフィスでも自宅でも一人になれる空間があればどこでも可能です。目まぐるしい外界の刺激からシャットダウンされますので、心が落ち着きやすくなるため筆者もしょっちゅう実践しています。ぜひ気軽に試してみてください。

 次回は、「夏至」(6月21日頃)からの健康と食養です。


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