一燈照隅

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靖国問題8つの常識

2005年11月29日 | 靖国神社
靖国問題8つの常識
定期購読しているメルマガ「国際派日本人養成講座」があります。
先日「靖国問題8つの常識」と言うタイトルで送られてきました。
以下に転載します。


■1.靖国問題の幕引き■  
10月17日、靖国神社の秋季例大祭に小泉首相が参拝し、中国・韓国からの批判が再燃したが、従来と比べてだいぶトーンダウンしている。岡崎久彦元駐タイ大使は、参拝直後にこう語っているが、事態はほぼ氏の予測通りに推移している。
もう少し重く、公式参拝、または公式参拝に近い形でも、日中関係、日韓関係に言葉による批判以上の実害はないという点では同じだと思う。・・・

言葉以上に何ができるかというと、若干の無害な交流の停止くらいはあるかもしれないが、大衆デモは到底できないと思う。そうであるなら、今後は毎年、参拝しても日中関係、日韓関係に言葉の批判以上の実害はなくなることが確定するはずだ。小泉首相でなくても誰でも参拝できる状況になるだろう。それが確定し、靖国問題の幕引きになれば、小泉首相の功績になるだろう。[1]

靖国参拝が中韓に実害を与えているわけではなく、単なる外交カードとして使っているだけなので、カードが無力である事が分かれば、この問題は自然に消滅する。しかし、外交問題としてはそれで良いが、靖国問題の根底には日本国民が歴史と文化の常識を喪失している、という重大な問題が横たわっている。

この点を、超速シリーズ50万部突破の超人気予備校講師・竹内睦泰氏が『日本・中国・韓国の歴史と問題点80』で説いている。氏がベストセラー受験参考書で見せた「超速」の語り口と、「誇りのもてる日本史を伝えたい」という志が結合して、およそ中韓との歴史・外交問題に関しては、この薄い一冊で用が足りてしまうという本が出来上がった。[2]


■2.常識その1:靖国参拝批判は世界で3カ国のみ■
第一の常識は、靖国参拝を公式に非難している国は、中国、韓国、北朝鮮の「反日3兄弟」だけだという点である。
実際のところ、「靖国神社参拝」に反対しているのは、世界でたった3カ国にすぎません。マスコミの「諸外国の反発」という書き方が国民を惑わせているのです。
外国の要人が靖国神社に参拝するのは珍しいことではありません。それどころかむしろその数は多いといえます。

「A級戦犯」合祀後に、靖国神社に参拝した要人がいる国は、世界で30数カ国に上ります。ロシアのエリツィン元 大統領(1990年参拝)をはじめとして、チベットのダライ・ラマ14世など、異教徒の方も参拝しています。

「アジア諸国は靖国神社参拝に反対」と報道されています が、2005年にインドネシアのユドヨノ大統領は「国のために戦った兵士をお参りするのは当然のことだと思う」と安倍晋三自民党元幹事長に語っています。[2,p36] このユドヨノ大統領の言葉が国際常識である。


■3.常識その2:国際社会は「A級戦犯」にはこだわっていない■
中韓の批判は靖国神社には「A級戦犯」が祀られている、と いう所にあるが、今時「A級戦犯」を云々しているのも中韓だけである。
「A級戦犯」の一人に重光葵がいる。東条内閣で外務大臣を務めたが、それ以前は駐ソ大使として張鼓峰事件の処理などを巡ってソ連外務省と激しいやりとりをし、東京裁判ではソ連が重光の起訴を最も強硬に要求したと言われている。
東京裁判で禁固7年の判決を受けて服役。昭和26(1951)年 に出獄後、昭和29(1954)年からの第一次鳩山一郎内閣では外務大臣を務め、昭和31(1956)年の日本の国連加盟の際には、外相として国連総会での演説も行っている。
「A級戦犯」が服役後、外務大臣となり、国連で演説した、という一事を持ってしても、国際社会が「A級戦犯」などにこだ わっていない事は明らかである。
そもそも近代の法理論から言えば、「刑は執行した時点で終了。死者を裁く法はない!」のである。[2,p50]


■4.常識その3:法なくして裁かれた「A級戦犯」■
「A級戦犯」というと本当の犯罪者のように考えてしまうが、これは誤りである。
A級とは「平和に関する罪」ということで、通常の捕虜虐待、民間人殺害などの戦争犯罪とは異なる。しかし、平和の罪とは何かを定めた法律などは、なかった。
[a] 近代法には「どのような行為が犯罪であり、その犯罪にどのような刑罰が加えられるかはあらかじめ法律によって明確に定められていなければならない」という「罪刑法定 主義」と呼ばれる原則があります。[2,p26]
たとえば、スピード制限表示のない道路をあなたが走っていていて、急に警察官に止められ、罰金を取られたとする。「この道路はスピード制限がないじゃないか」と抗議をして、警察官が「制限はないが、今のスピードはあきらかに交通安全を脅 かすもので、罰金ものだ」と答えたら、誰でもおかしいと思うだろう。スピード違反で罰金をとるには、制限速度は50キロで、10キロ超過したら5万円の罰金、などという法があらかじめなければならない、というのが「罪刑法定主義」である。
ちなみにサンフランシスコ講和会議でメキシコ代表は次のように東京裁判そのものに同意しない旨の発言を行っている。[b]
「われわれは、できることなら、本条項[講和条約第11条]が、連合国の戦争犯罪裁判の結果を正当化しつづけることを避けたかった。あの裁判の結果は、法の諸原則と必ずしも調和せず、特に法なければ罪なく、法なければ罰なしという近代文明の最も重要な原則、世界の全文明諸国の刑法典に採用されている原則と調和しないと、われわれは信ずる。」


■5.常識その4:国内法上、「A級戦犯」は存在しない■
さらに日本の国内法上は、「戦犯」は存在しない。
一部のマスコミは、1951年のサンフランシスコ平和条約において日本が「東京裁判」を認めたかのように報道しているようですが、これは間違っています。[2,p32] 条約第11条には東京裁判や連合国での「戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、・・・これらの法廷が課した刑を執行するものとする」とある。
しかしこの「裁判を受諾し」というのは日本語原文のみの表現であり、英語原文では受諾したのは"Judgements"、すなわち「判決」である。仏語、スペイン語原文でも同様の表現になっている。これは日本政府が判決にしたがって、刑の執行を継続することであり、「裁判」全体、すなわちそのプロセスや判決理由についてまで同意したという意味ではない。[b]
昭和27年4月28日に平和条約が発効し、日本が独立を恢復すると、昭和30年にかけて、遺族援護法が成立し、敵国の 戦争裁判で刑死、獄死した人々の遺族にも、遺族年金や弔慰金が支給されるようになった。
その中心となったのは、堤テルヨという社会党の衆議院議員であった。堤議員は衆議院厚生委員会で「その英霊は靖国神社の中にさえも入れてもらえない」と遺族の嘆きを訴えた。堤議員の活躍が大きく貢献して、「占領中の敵国による軍事裁判で有罪と判決された人も、国内法的には罪人と見なさない」、という判断基準を含んだ法改正が与野党をあげて全会一致で可決された。[c]


本年11月25日にも、民主党の野田佳彦国対委員長が質問主意書で、極東国際軍事裁判に言及したサンフランシスコ講和条約 第十一条ならびにそれに基づいて行われた衆参合わせ四回に及ぶ国会決議と関係諸国の対応によって、A級・B級・C級すべての「戦犯」の名誉は法的に回復されている。
すなわち、「A級戦犯」と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではないのであって、戦争犯罪人が合祀されていることを理由に内閣総理大臣の靖国神社参拝に反対する論理はすでに破綻していると解釈できる。と述べ、これに対する政府答弁書でも「国内法上は戦犯は存在しない」と確認されている。[d]

※この政府答弁書は巧妙に書かれていて、処刑された人や刑死した人と釈放された人を分けています。これについては拙ブログを参照してください。
http://blog.goo.ne.jp/misky730/d/20051026


■6.常識その5:分祀しても、神様は増えるだけ■
中韓の批判を避けるために、「A級戦犯」を分祀(ぶんし)すべきだ、という主張があるが、これは神道を理解していない説だ。
祭神が新しい神社に祀られたとしても、元の神社にもしっかりと残るのが分祀。分祀すればするほど、東条英機が神様として増幅していきます。つまり、近隣諸国に配慮しよ うとしても、逆の結果を引き起こすことにしかならないわけです。
ちなみに、完全に引っ越すことは遷座(せんざ)といいますが、これもあくまで靖国神社が引っ越すだけで祭神は変わりません。第一、政教分離を唱えるのなら、政治家が宗教法人に意見をするべきではないでしょう。これは単なる政治の宗教介入であって、分祀を唱えている政治家こそが、政教分離に反していることになります。[2,p48]

■7.常識その6:靖国参拝は政教分離の原則に抵触しない■
政教分離の原則から、首相の靖国参拝に反対する議論がある。
ベストセラーになった『靖国問題』の著者・東京大学教授の高橋哲哉氏は「政経分離の原則からいえば、A級戦犯に関係なく首相が靖国に参拝することが問題だと思います」 と語っているが、アメリカの作った憲法に込められた「幻想」である政教分離をもって、日本人が日本の神社に参拝するのを否定するのはおかしいと思います。
アメリカ大統領は聖書に手を置いて宣誓します。英国女王はイギリス国教会の長です。政教分離を唱えるのなら、まずは憲法を押しつけたアメリカ・イギリスに疑問をなげかけるべきでしょう。[2,p23]
ちなみに以下に述べる「無宗教の国立追悼施設の建立」に関して、次のような注釈がある。
よくモデルとしてアメリカのアーリントン墓地が挙げられるが、これは無宗教ではなく、多宗教である。キリスト教、ユダヤ教、仏教、イスラム教、さらには天理教や金光教、生長の家の墓まである。[2,p46]
アーリントン国立墓地は約6万人の戦死軍人と無名戦死者および政府高官が埋葬されており、その入り口には、
Our Nations Most Sacrid Shrine
我が国でもっとも崇高な廟
とある。まさしく靖国神社と同じである。そこにアメリカ大統領が参拝しても、「政教分離の原則に反する」などとは誰も言わない。これが国際常識である。


■8.常識その7:国立追悼施設でも「A級戦犯」を除外できない■
朝日新聞の社説が、「無宗教の国立追悼施設の建立」を主張しています。
この提案は、靖国問題反対派が唱える対応策の一つ。靖国神社をつくって、「A級戦犯以外の英霊」を追悼すべきだという論です。[2,p46]
しかし、政府が国立の追悼施設を作って「A級戦犯」をはずすためには、すでに述べた「国内法的には罪人と見なさない」という法律が障害になる。罪人でないので、他の戦死者と分けて、追悼からはずす事はできない。
追悼からはずすためには、やはり「A級戦犯」は罪人である、という法を今更ながら、作りなおさねばならない。4千万人もの署名を集め、国会が全会一致で作った法律を、中韓が批判するから、という理由だけで変更するのだろうか? それでは民主政治とは言えないだろう。
さらに、それは国際法的にも批判されている東京裁判を、我が国が認めることになるのである。


■9.常識その8:靖国には全世界の戦没者を祀る鎮霊社がある■
靖国の境内には「鎮霊社」という神社があります。
あまり知られていませんが、ここでは国籍を問わず全世界のすべての戦没者を祀っています。つまり靖国神社とは、戦争によって命を奪われた人すべての魂を鎮めるために建 てられた社なのです。
戦争の悲惨さを知り、そして戦争の悲しみを一番知って いるからこそ、靖国神社は敷地内に鎮霊社を祀っています。これこそ、平和を希求している靖国神社の懐の深さであり、そこでは、死ねばみな「神」とされます。その「神」に「A級」だの「B級」だのという、人間世界での基準をあてはめること自体がおかしいのです。[1,p51]
こういう美しい日本人の死生観を守るためにも、中韓の「死者に鞭打つ」文化の干渉を許してはならないのである。 (文責:伊勢雅臣)