一燈照隅

日本が好きな日本人です

「日本国民に告ぐ」小室直樹より。

2006年11月12日 | 時事問題
平成の"いじめ"が自殺者を出す理由

新左翼が若者にとって魅力がなくなった結果、生まれたのが家庭内暴力。さらにそれが昂進したのが、いわゆる"いじめ"。
今や、"いじめ"は大問題。政府が死に物狂いになって調査しているが原因が分からない。どうしても真相がつかめない。なぜか。社会科学的な分析をやらないから、分からないのである。
"いじめ"という現象自体は、昔からあった。世界中どこにでもあった。しかし、今の日本の"いじめ"はそれとは全然違う。これがポイント。
どこが違うのか。昔のいじめは、いじめる主体がいた。いじめられる客体がいた。ガキ大将は、「お前、俺の子分になれ」。「はい、子分になります」と言うといじめるのをやめる。「なりません」と言うと、さんざんにやられる。そういういじめは世界中どこにでもある。
いじめられたくなかったら、ガキ大将以上に強くなれ。ディズレイリ(英国首相)は「ユダヤ人の子だ」といじめられたから、ボタシングの稽古をやって相手を張り倒した、これがベスト。
セカンド・ベストは、子分になれと言われたら、忠実な子分になる。とりあえず、いじめはなくなる。
主体があって客体がある場合には、相手を張り倒すか、悔しいのを我慢して子分になるか、そのどちらかで"いじめ"は解消する。いずれにしても自殺するほどのことではない。
ところが、平成の〝いじめ"は、いじめる主体がなくて客体もない。だから救いがたい。強いて言えば、いじめる主体は「空気」だ。あいつは汚いだとか、臭いだとか、"いじめ"の空気ができる。そうすると、ひじょうに陰鬱な。〝いじめ"をやる。子どもたちの間に連帯がないから余計に恐ろしい。
主体も客体もない「空気」が犯人だから、矛先がどこに向かうか分からない。ガキ大将によるいじめだったら、ガキ大将が自分の子分にならないやつをいじめる。しかし、空気による"いじめ"だから、その時の状況次第でどこに吹いていくか分からない。
誰かが誰かをいじめるという空気をつくる。すると関係のない生徒までその空気に乗る。乗らないと、いじめが白分に来る。かくて〝いじめ"という空気が、クラス全体に漲る。しかも、アノミーだからいっさいの規範がない。
被害者が自殺するような悪質ないじめが起きても、ほかの生徒はいっさい口出ししない。いじめの空気に逆らって、自分がいじめられたら、大変だ。だから、見て見ぬふりをするしかない。
空気によるいじめには、特異な怖さがある。「空気」が犯人だから、文部省が数百億円の予算を使って、いじめ調査をしても解決策が分からない。
莫大な予算を計上して、あんな馬鹿げた調査を続けるくらいなら、戸塚ヨットスタールの戸塚宏氏に任せたほうが、よほどマシだ。戸塚氏なら、いじめなんかあっというまになくしてしまうだろう。

戸塚ヨットスクールは、なぜ成功し、失敗したか

とても重要な問題だから、戸塚ヨットスクールについて若干敷衍する。まずは読者に質問。
第一問 戸塚ヨットスタールはなぜ、問題児の更正に驚嘆すべき効き目があったのか。
第二問 しかし、成功したケースと、大失敗して児童が死亡したケースと、二つに分かれたのはなぜか。
両方の答え戸塚宏氏は、破天荒の天才であり真の教育者でもあるが、同時に無学であったから。
家庭内暴力の場合も、ほとんどの事例が、まず病院に連れていく。専門医が診て、どこも悪くありません。神経に異常はありません、精神にも異常がありません。専門の医者がそう言えば、親は仕方がないから、家に連れて帰る。しかし、ますます暴れて、ついに殺し合い。
ところが、そんな子どもを戸塚ヨットスタールに連れてくると、ケロリと治る。なぜか。神経病でも、精神病でも、心身症でもない、アノミーだからだ。
戸塚校長が渾身の誠意を込めて、バカッ、バカッと、ぶん殴る(マゾヒズムは皆無)。それからヨットに乗せて、独りで海に出ろと命ずる。ヨットに乗って独りで海に出て行けば、たいがい死ぬ。だから、その前に猛訓練を受けなくてはならない。ヨットの猛訓練は、教師に絶対服従。ぶん殴ってでも教え込まなければ、海で死んでしまう。死に物狂いの猛訓練をやっているうちに教師との問に連帯ができる。連帯が生じればアノミーは収まる。
しかし、一見、アノミー現象に見える児童の中に、ごく少数、本当の病人もいる。神経病、精神病、心身症(サイコソーマティックス)になっている場合がある。神経症だったら本業の医者にかからなくてはならない。精神病だったら、精神科の医者にかからなくては治らない。心身症だったら、精神分析学者が治療すべきだ。
ところが、今のカウンセラーは、精神病とアノミーの区別がつかない。アノミーは精神病ではない、社会現象。だから、医者にも分からない。診断しても。「異常なし」と言うしかない、それで家に帰ったら親子殺し合いになる。
戸塚宏氏は、医学や神経学、精神病理学、精神分析学を知らないから、本当の病入とアノミーにかかっている人間との区別がつかない。
新左翼、親子殺し合いの家庭内暴力、いじめ、オウム教団、全部アノミーだ。新左翼は没落したが、アノミーは家庭内暴力、いじめに吸収されていた。それをカルト教団が結集したということなのである。
そして、ついに死に至る病は行き着いた、アノミーは、日本の舵取りたる高級官僚に浸潤して官僚制を腐朽させ、機能を失わせた。終焉(やんぬるかな)。


これは今から10年前に小室直樹氏が出版された「日本国民に告ぐ」クレスト社の中に書かれたものです。10年前から何も良くなっていないようです。

昨日、石原都知事と久米宏氏がテレビ出演していたのを見ました。その中で石原知事が「菊と刀」を例に出して恥について述べられましたが、今は恥や卑怯な事を親が教えなくなった事もいじめに影響していると言えるでしょう。(モノ食う場所をわきまえよ)
これも道徳教育の欠如ではないでしょうか。親の代から道徳に対して稀薄になってきている為、子供はもっとおかしくなっている。

戸塚ヨットスクールについては、ひどく反対する人が大勢います。教育再生会議の義家氏を始めマスコミ全体がそのようです。
しかし私は必要だと思っています。
本当に必要がないのなら子供を入れなくて、親が治せばいいのです。

この中で「アノミー」が使われてますが、小室氏が使うアノミーは「無規範」よりも「無連帯」の事とされています。連帯感の無さもおかしな日本人を作っているのかもしれません。


戸塚校長出所





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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
高校の応援部、運動部を復活させましょう (人生の厄介息子)
2006-11-12 22:31:12
多くの高校の運動部や応援部はほぼ絶滅状態になったとのこと。me-ismと連帯感の欠如を学校全体で奨励していたようなもんです。ヨットの荒波対処法は理にかなっています。ある程度の病者がはいってくるのはしかたありません。戸塚氏の勝率はかなりなものです。それどころか国全体が荒波に対する対処や波のみかたを失っている危険性がありますね。死生観もうしなったブロイラーの平和は亡国の予感です。肉体を徹底的にうごかして自発的に戦いのなかに身をおく(それがたかが運動会でも)やりかたが集団の生き残りを保証するでしょう。他方、浅間山荘のリンチ殺人はまさにそのアノミーの典型です。その昔倉前盛道氏が的確にぶんせきされていました。小室氏といい倉前氏といいメディアはまったくといっていいほどおしえてくれません。安倍さんのとりくみに期待したいです。徴兵制が日本を救うなんて本もありました。あらゆる意味でたりないです。。。今の日本は。
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Unknown (まさ)
2006-11-13 09:21:21
人生の厄介息子さん、
連合赤軍によるリンチ殺人事件は衝撃的でした。当時殺された人数や殺し方にショックを覚えました。
昨日まで仲間だった人間に殺される。今のいじめ問題に通じる物があるようです。
高度経済成長が終わってから、公害問題が噴出しだして適度な緊張感が無くなってきたのかもしれないですね。
返信する
Unknown (元訓練生)
2019-01-04 14:40:01
当時、いじめられて不登校になり、アルバイトをして生活していた自分を拉致・監禁し、
暴行を繰り返したのがこのスクールだった。
戸塚ヨットスクールで行われていた具体的な(教育)とは、
事あるごとに弱い立場の者を自分達に服従する都合の良い人間に仕立て上げようと、

●自分に都合が悪いか、自分が勝てない(主張)は(口答え)で、
思い通りにならないと逆恨みして暴力・脅迫・恫喝
(取り囲まれて角材で殴られ、手の皮が剥がれて骨が見え、
無数に殴られ、踏みつけられて、真っ赤になった左目は未だに殆ど見えない程)
で押し切り、言いなりにさせる事を(教育・指導・治療)だとする

●何かにつけて、お強い自分を見せて自惚れると同時に、自分に対する恐怖心を植えつけ、
(自分が正しいから従う)を装った(自分に脅えるから従う)にして
(厳しいけど正しい指導者)気取り

●気まぐれに陰湿なイジメやシゴキを行い、
理由を聞くと、頭を殴ったら「頭を強くする為」体を殴ったら「体を強くする為」
それでも説明がつかないもの(大勢の前で性器を露出させる、汚物を口に入れるなど)は
「根性をつけさせる」「厳しさを教えてやってる」

●自分に都合のいい考えや行動から外れる者が出ると
「皆やってんのに、なんでお前だけやんねーんだよ!」
逆に自分に都合の悪い考えや行動に合わせようとすると
「皆やってるから良いとでも思ってんのかコラ!」

●何か結果を出せば、それを喜ぶ者と、迷惑する者が出るのに、
自分に都合の悪い結果の場合、迷惑をかけた僅かの例を探して全体に当てはめ、
「お前なに人様に迷惑かけてんの?自分だけ良けりゃいいのかコラ!」
自分に都合の良い結果の場合、迷惑している人間が大多数だろうと見て見ぬフリか
「必要な犠牲なんだよ!」と力説

●コソコソ根回しして、わざと失敗させ、その失敗を責め立てる(勢い)を利用して、
デタラメや関係のない事や過去の逆恨みをこじつけ「ハイ」と言わせたり
「この失敗をどうにかして欲しいか、なら今後はこうすんだろうな?」と
説得するフリをした脅迫をしたり
「むこうも俺と同じこと言ってんだろうよ!」「俺の言った通りになっただろうがよ!」
「てめえのせいで皆に迷惑かけてんだよ!」と卑屈にペコペコさせて(個性潰し)

●頑張って成功させても「調子コイてんじゃねえぞコラ!」と自信をもつ事を許さないくせに
「やる気を出させる手段だった」「俺は憎まれ役を引き受けた」
「こういう気持ちを理解して欲しくて、あえてやった」「そのおかげで成功した」
とコソコソ自分の手柄にする

●自分が弱い立場の者から責められると、見え透いた寄せ集めの後付け話を並べ
「だから俺は正しいって事だろうがよ!それを俺のせいとか言いやがってよ!」と
自分の責任は(認めたくない・向き合いたくない)で逃げるくせに、相手の責任は責め立て
「今度舐めたこと言いやがったら殺すぞ!」と今後は自分が何をしても責められないようにする

●これら見え透いた卑劣で幼稚な手口を繰り返しておきながら、
それがバレてない、通用してると自惚れていて、いざバレてるとなると、
「俺がこうしねえと、お前こうなんだよ!こうなる位なら、こうすんのも正しくなんだよ!」と
自分を正当化するのに都合の良い設定を作って押し付けるか、
相手の弱い立場を良い事に、無理矢理「正しいです」と言わせ、
「だからお前の為にしてやってんだよ!」と
勝手に作った(為になる)や卑劣で幼稚な手口の責任を押し付け、恩の押し売りをして、正義面

●暴力・脅迫・恫喝に脅えて本当の事を言えなくなり、
卑劣で幼稚な手口に騙された(演技)をしたり(嘘)をついて機嫌を取るようになった者を見て、
その(演技や嘘)の上で、自分にはカリスマや信頼や素晴らしい人生観があると自惚れ、
他のコーチや番外訓練生(戸塚の仲間になる事でリンチされる側から、する側に逃げた訓練生)
に「アイツはこうすれば言いなりになるから」と根回し

…とても書ききれない。
結果、登校どころか、極度の対人恐怖症と人間不信になり、
(スクールを勧めた学校の教師達や、具体的に何をされるのか調べもせず、
戸塚の精神論や宣伝文句を鵜呑みにし、拉致・監禁・暴行を許可した両親も信用できなくなった)
アルバイトも続けられず、自殺未遂までした。
今は、両親と縁を切り、鬱病を抑える強い薬に頼りっきりで、定職にもつけない。
自分の人生を破壊した戸塚もコーチも番外訓練生も絶対に許さない。
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