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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ロスト・フライト』

2023年12月04日 | 映画(ら行)
『ロスト・フライト』(原題:Plane)
監督:ジャン=フランソワ・リシェ
出演:ジェラルド・バトラー,マイク・コルター,アン・ヨーソン,ダニエラ・ピネダ,エヴァン・デイン・テイラー,
   ポール・ベン=ヴィクター,レミ・アデレケ,ハレイ・ヘッキング,トニー・ゴールドウィン他
 
TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『首』の後に。この順番で観てよかったと心底思いました(笑)。
だって、ジェラルド・バトラー主演の作品でスカッとしないことはほぼないでしょうから。
 
ブロディ・トランスはスコットランド出身、元英国空軍のパイロット
現在はトレイルブレーザー航空のパイロットで、ブレイザー119便に乗客14名と客室乗務員3名を乗せ、
シンガポールから東京を経由してハワイ・ホノルルへと向かう予定。
 
天気予報によれば嵐に直撃される可能性がある。
トランスと副操縦士のサミュエル・デレは航行を取りやめるか行く先を変えるべきではと思うが、
無責任な気象官は嵐の上を飛べば大丈夫だし燃料ももったいなどと言って取り付く島もない。
あきらめ顔で操縦席に着くトランスとデレ。
 
乗客の中には招かれざる者が1名。
16年前に殺人罪で逮捕されたルイス・ガスパールをカナダへ移送するのだという。
もちろん手錠をはめられて警察官がぴったりと張り付いているが、
明らかにガタイと人相の違うガスパールを見て怖がる客もいれば面白がる客も。
 
そんな中を離陸した119便だったが、やはり予想通りの悪天候。
しかも途中落雷に遭い、さまざまな機器にダメージを受けたうえに、無線も途切れてしまう。
 
トランスがなんとか不時着する場所をなんとか見つけたものの、
着陸地はデレの推測によればフィリピン・ホロ島で、最悪の島。
フィリピンの分離独立を目指す武装組織と民兵が巣くっており、誰も近づこうとしないらしい。
 
まずはトレイルブレーザー本社に不時着地を知らせようと、
乗客に説明をして通信機器を探しに行くことにしたトランスは、同行者としてガスパールを指名。
ガスパールは元軍人で、彼の協力なくしては乗客たちを救うことができないだろう。
 
こうしてその場を離れたトランスとガスパールだったが……。
 
全員無事に帰還できるかどうかは別として、良い終わり方が来るに決まっているから、
ジェラルド・バトラーの主演作は安心して観られます。
予想に反して早いうちに2名も死んでしまうのは驚きましたが(笑)、大勢に影響は無し。
 
デレ役のアン・ヨーソンは香港出身の俳優だそうで、私は初にお目にかかります。
別にイケメンで目立つとかじゃないけれど、実直な人柄の役がピッタリで、
無事に帰還したときには「よくやった!」と声をかけたくなりました。
また、マイク・コルター演じるガスパールの頼りになることと言ったら。
 
本社の危機管理監スカースデイル役のトニー・ゴールドウィンもシブい。
体面を取り繕おうとする取締役会に「アホか」とでも言うかのように(言わないけど)冷ややかに当たり、
トランスらを救出するために実に冷静に決断を下しつづけます。こんな人、企業にほしいよねぇ。
 
A級ではないですよ。B級アクションと言うべきでしょう。
でも、疲れた一日の〆に観れば気分スッキリ。

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『リアリティ』

2023年11月29日 | 映画(ら行)
『リアリティ』(原題:Reality)
監督:ティナ・サッター
出演:シドニー・スウィーニー,ジョシュ・ハミルトン,マーチャント・デイヴィス,ベニー・エレッジ,ジョン・ウェイ他
 
キノシネマ神戸国際で前述の『デシベル』を観たあと、シネ・リーブル神戸へ移動。
おなかが空いたけれど、晩にごちそうが待っているから、あまり食べてはいけない。
だからって酒飲んだらあかんと思うのですが、劇場売店でハイボール缶とおつまみナッツを買ってしまった。(^^;
そのせいで、本作鑑賞中にしばし睡魔に襲われる。ごめんなさい。m(_ _)m
 
そもそもこんな事件があったことを知りませんでした。
2016年、アメリカ大統領選挙へのロシアの介入疑惑に関する機密情報をリークした疑いで、
NSA(米国家安全保障局)の契約社員だったリアリティ・ウィナーが逮捕されたそうです。
 
本作は、機密情報の漏洩を知ったFBI捜査官が彼女のもとを訪れたさいの音声記録を再現。
ドキュメンタリーではないけれど、実際の有様に限りなく近いため、緊迫感があります。
 
ジョージア州オーガスタでペットと暮らすリアリティの外見はいたって普通の若い女性。
諜報関連業務に携わる彼女ができる語学というのがちょっと普通とは言えないぐらい凄い。
雇用されたのはペルシャ語部門ですが、本当はパシュトゥーン語の業務に就きたかったと言う。
ほかにアラビア語とターリ語も堪能と聞くと、只者ではない印象です。
 
世間ではいろんな情報がリークされているのに、
トランプ大統領の誕生はロシア政府が仕組んだものだった」という情報は出てこない。
こんなことはおかしいと考えたリアリティは、メディアへのリークを決断します。
 
最初はシラを切っていた彼女がだんだん追い詰められていくのですが、
FBI捜査官の尋問はいたって穏やかで、彼女に寄り添っているようにすら思えます。
 
「私はスノーデンじゃない」と涙ぐむ彼女。確かにスノーデンほどの計画性も覚悟も感じません。
ちょっとした出来心でやっちゃいましたという雰囲気もなくはない。
彼女の気持ちの揺らぎも感じられて面白い。
 
観て損はない作品です。って、ハイボール飲んでうとうとしていた者が言うと説得力に欠ける!?(^^;

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『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』

2023年11月22日 | 映画(ら行)
『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』(原題:Hargrove)
監督:エリアン・アンリ
 
TOHOシネマズ西宮で2本ハシゴの1本目。
仕事帰りに萎えそうな気持ちを盛り立ててヨレヨレしながら西宮まで行くのだから、
本命の2本目の前に観るのも家の近所では上映していない作品を。
で、本作にしました。
 
1969年10月、テキサス州に生まれたロイ・ハーグローヴは、10代の頃に才能を開花させ、
瞬く間に時代の寵児となった伝説のトランペット奏者なのだそうです。
私は音楽なら基本的に何でも好きですが、自分がピアノを習っていたこともあり、
どの楽器がいちばん好きかと聞かれたらピアノと答えます。
いちばん興味があるのもピアノで、管楽器にはわりと疎く、
トランペット奏者としてすぐに思い浮かぶのはマイルス・デイヴィスぐらい。
だから、こんなにも有名な人を今まで知らずに来ました。ごめんなさい。
 
絶対的な耳を持つ彼は才能を発揮し、ジャズ界で巨匠と呼ばれるほぼすべてのミュージシャンと共演。
しかし生来悪かったとおぼしき腎臓に30代のときに耐えがたい痛みをおぼえ、
透析を受けながらツアーに臨むも、49歳で亡くなってしまったとのこと。
 
本作はまさか最期になるとは思わなかったツアーの模様を含め、
ロイと昔なじみの女性映画監督エリアン・アンリが取材して撮り上げたドキュメンタリーです。
 
デビューしてすぐに彼のマネージャーとなったラリー・クロージアは善人か悪人か。
インタビューに答えるミュージシャンの面々は、「ロイのことを嫌いで彼から離れた人はいない」、
要はマネージャーがアカンと言います。
 
実際、本作を撮るさいにも、ツアーの模様をフィルムに収めることを希望した監督をラリーは拒絶。
それに関してロイとラリーが言い争う姿はラリーの了承のもと撮影されていますが、
結局ラリーは最後まで映画にすることを拒否、今もそうらしい。
 
ロイの死後、2軒あったはずの家はなくなり、貯金はできない性分だったとはいえ、
少なくとも数十万ドルあったといわれる金も消え失せている。
いったいどこに行ったのか考えれば、やっぱりマネージャー!?と思わざるを得なくて。
 
そんな黒い話も交えつつ、でもロイの奏でる音を存分に楽しめる作品です。
映画の中では彼が作った曲を使えないから、他者が作った曲と即興で演奏された曲ばかりだけれど。
余計なことを考えずに観たい。
でも「お金の管理はちゃんとしておかないと」、監督のそんな声も聞こえてきます。

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『リゾートバイト』

2023年10月27日 | 映画(ら行)
『リゾートバイト』
監督:永江二朗
出演:伊原六花,藤原大祐,秋田汐梨,坪内守,佐伯日菜子,梶原善他
 
老健に入所中の父を病院に連れて行くため、休みを取っていた日、
思いのほかシュシュッと診察が済んで、あら、時間が空いちゃった。
風邪を引いていたので家でゆっくりするべきだとは思うものの、
夕方に予定があったから、出たり入ったりは億劫で、このまま外で過ごしたい。
イオンシネマ茨木へ向かい、映画を2本ハシゴしました。
 
監督は『きさらぎ駅』(2022)が面白かった永江二朗。
都市伝説を取り上げるのがお得意なようです。
主演の伊原六花は大阪府立登美ヶ丘高校ダンス部出身、
あのバブリーダンスで有名になった彼女ですよね。
 
離島の旅館“八代屋”でバイトすることになった幼なじみの3人、
内田桜(伊原六花)、真中聡(藤原大祐)、華村希美(秋田汐梨)。
 
主人の八代健介(坪内守)が脚を負傷したせいで急遽バイトを雇うことになったらしいが、
当の健介は迷惑そうな顔で実に素っ気ない。
その代わり、女将の真樹子(佐伯日菜子)は笑顔で歓迎してくれる。
また、従業員の岩崎公太(松浦祐也)は軽いこと極まりないが明るく気が好い。
 
なんだかんだでリゾートバイトを楽しんでいた桜たちだったが、
仕事にもそろそろ慣れたかという頃、岩崎から肝試しの提案を受ける。
岩崎によれば、八代屋の2階には開かずの間があり、
真樹子が毎晩その部屋に食べ物を運んでいると言う。
そして真樹子が戻ってくるときには盆の上の器は空になっているのだと。
 
丑三つ時になると廊下を歩く人の気配を感じていた桜は、
とてもそれを確かめるような肝試しをする気にはなれない。
しかし乗り気になった希美は、かねてから桜と聡をくっつけるつもりだったから、
ふたりに先陣を切るようにそそのかす。
 
その場の雰囲気を悪くするのもどうだかと思った桜と聡は階段下へ。
怖がる桜を置いて聡がひとりで開かずの間へと向かったところ、何が起きたのか、
その日から聡には見えないはずの子どもの姿がそこらじゅうで見えるようになる。
聡を助けたい桜も後日開かずの間へと足を運び、同じ状態に。
 
重い口を開いた健介は、この島では十代の少年少女が行方不明になることがよくあり、
生きているのか死んでいるのか、戻ってこないらしい。
聡と桜に見えているのは成仏できない子どもたちなのか。
子どもたちに取り囲まれた聡は、やがて現れた化け物に魂を抜かれて……。
 
冒頭いきなり、桜が開かずの間への向かうシーンから始まり、
何よこれ、「20分ルール」無視!?と思いました。
というわけでもなくて、このシーンが終わると話が戻り、
これがどういうシーンだったのかは30分ほど経ってからわかるわけです。
 
怖いんですけど、松浦祐也演じる岩崎が良い味を出していて、結構笑える。
そして素晴らしいのは、悪霊を祓おうとする和尚役の梶原善
過去にこれほどまで彼が格好いい役者に見えたことがありましょうか(笑)。
 
妖怪“八尺様”のビジュアルもどことなく可笑しいし、
魂に体を貸す際に入れ替わってしまったことにも笑う。
運転免許がないにもかかわらず、ゲームで鍛えた腕で八尺様とカーチェイスするところなども笑ってしまいました。
 
オチが衝撃的だったのですが、私の解釈で果たして合っているのか。
ここに書いちゃってもいいですか。書きますよ。ネタバレですよ。
魂抜かれて戻ってきた桜と聡は、実は和尚の娘と八代夫妻の息子だったのでした、という。
えっ、えっ!?と思い、ようできてるわと感心し、でも合っているのかどうか自信なし。
かと言ってもう一度確かめるために観るのは怖い。
誰か観て教えてくれんかな~。
 
なんだかんだでいちばん怖かったのは、佐伯日菜子の笑顔ですけど。(^^;
貞子健在。

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『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』

2023年10月19日 | 映画(ら行)
『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(原題:Rock, Stock and Two Smoking Barrels)
監督:ガイ・リッチー
出演:ニック・モラン,ジェイソン・ステイサム,ジェイソン・フレミング,デクスター・フレッチャー,スティング,
   スティーヴン・マッキントッシュ,ヴィニー・ジョーンズ,レニー・マクリーン,P・H・モリアーティ他
 
ガイ・リッチー監督の新作公開直前、1998年の本作がリバイバル上映されていました。
めっちゃ面白かったことは覚えているけれど、劇場では観たことがない。
これはぜ~ったい観に行かなきゃ後悔すると思ってなんばパークスシネマへ走りました。
 
現在リッチー監督は55歳だから、本作の公開当時は30歳。
イギリスの俊英としてもてはやされ、この1本で一流監督の名を得ました。
なんてったって、新人監督でありながら英国の映画興行収入1位を稼いだのですから。
ショーン・ペンと離婚したマドンナと結婚して、またまた話題に。
マドンナと別れた後は一回り以上下のモデル、ジャッキ・エインズリーと再婚。
人のよさそうなオッサンの顔をしていますが、結婚相手はみんな派手だわ(笑)。
 
さて、本作について。
始まってしばらくのうちは、登場人物が多すぎてワケがわからない。
こんなややこしい話だったっけと思っていたら、すぐに面白さが炸裂。ニヤニヤが止まりません。
 
ロンドンの下町。
エディ、ベーコン、トム、ソープは盗品を売るなどして小銭を稼ぐ4人組。
一攫千金を狙って“ハチェット(=手斧)”の異名を持つハリーが仕切る賭場に出たい。
金のない奴は出られないから、4人で金を出し合ってなんとか10万ポンド集める。
 
ギャンブルの才覚があるエディが皆の金を預かって賭場へと乗り込むものの、
ハリーは部下を使ってひそかにイカサマをおこない、
エディに50万ポンドもの借金を負わせて1週間以内の返済を求める。
 
そんな大金を用意できるわけがない。4人はない知恵を出し合うが無理に決まっている。
指を詰めて済めばいいほうで、命もどうなることやら。
絶望的な気分になっているとき、エディの部屋の隣室でよからぬ相談をしているのが壁越しに聞こえてくる。
 
どうやら金持ちのぼんぼんが小遣い稼ぎに大麻を育てて売っているらしく、
それが上物であることから、客は富裕層の人間ばかり。
鍵はいつも開けっぱなし、大麻も金もたんまり部屋に放置されている。
あれを全部いただいてしまおうというのが隣室の相談。
 
隣室の悪党が持ち帰った大麻と金をこちらが奪い取ってやろうじゃないか。
4人は計画を練って実行、いとも簡単に成功したかに見えたが……。
 
めちゃくちゃ面白いです。
まさに金は天下の回りものというやつで、ついでに大麻も天下の回りもの。
そうそう簡単には転がっていないし、もとをたどればぐるぐる回っていただけ。
 
リッチー監督のお気に入り、ジェイソン・ステイサムは私のお気に入りでもありますが、
この頃の彼よりも今の彼のほうが好きだなぁ。何が違うのかしら。
見た目はそれほど変わっていないように思うけど、なんか今のほうが断然カッコイイ。
 
カッコイイんだけどみんなどこかマヌケで、そのマヌケっぷりに笑ってしまう。
4人組のあとの3人にはニック・モラン、ジェイソン・フレミングデクスター・フレッチャー
エディの父親を演じるスティングがまた超シブくて。
借金の取り立て屋はいかつすぎるヴィニー・ジョーンズ
彼の最後の台詞を借りたい。「面白かったぜ」。
 
サイコー。また劇場で上映されたら必ず観に行きたいです。

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